シーズン開幕直後は歯車が噛み合わず、停滞感が漂っていたアトレティコ・マドリー。しかし、時間の経過とともにチームは巻き返しを見せ、上位争いに復帰しつつある(17節終了時点で3位)。その原動力となっているのが、意外にも「過去の象徴」と見なされかけていた2人、コケとアントワーヌ・グリーズマンだ。
昨シーズン後半、アトレティコは失速した。その戦犯とされたのが、長年チームを支えてきたこの2人である。コケは怪我の影響もあり、パブロ・バリオスやロドリゴ・デ・パウル(現インテル・マイアミ)に定位置を譲る試合が増加。グリーズマンも精彩を欠き、自慢の得点力は鳴りを潜めた。
近年アトレティコは、積極的な大型補強によって世代交代を推し進めている。若く、身体能力に優れた選手が次々と加入し、チームは大きく姿を変えつつある。そうした流れの中で、親友同士でもあるコケとグリーズマンが揃って退団し、MLSへ新天地を求める可能性すら現実味を帯びて語られていた。
そのため今年6月に相次いで発表された両者の契約延長には、少なからず疑問の声が上がった。グリーズマンは2027年まで、コケは2026年までの延長。果たして、この判断は正しかったのか。高齢化を避け、未来へ舵を切るべきではないのか――そんな議論が彼らの周囲を取り巻いていた。
だが、現在の2人は、その疑念にピッチ上で明確な答を示している。戦術アナリストのアレハンドロ・アロージョ氏は、彼らの存在を「チームを支える屋台骨」に例え、こう語った。「アトレティコは大胆な新陳代謝を進めている。しかし、だからこそ彼らを手放すわけにはいかなかった。家を改築する際に、梁を外すわけにはいかないのと同じだ」
とりわけ目覚ましい活躍を見せているのが、キャプテンのコケだ。17節のジローナ戦では、豪快なミドルシュートで先制点を奪取。これがアトレティコでの通算50ゴール目となった。それは突然の覚醒ではなく、今季を通じた安定したパフォーマンスの延長線上にあった。
スペイン紙『AS』のアトレティコ番記者、フランシスコ・ハビエル・ディアス氏は、今季のコケをこう評価する。「チームで最も高いレベルのパフォーマンスを見せている。彼の努力、高いプロ意識、そしてクラブへの愛情に、フットボールが報いている。コケはファンの感情を体現するレジェンドで、声を荒らげることなくプレーで語るリーダーだ」
コケがチームにもたらしている最大の価値は「落ち着き」だ。フリージャーナリストのミゲル・キンターナ氏は、チャンピオンズリーグのインテル戦で途中出場から流れを変えたコケのプレーをこう分析する。「ビルドアップを円滑にし、中盤に的確な判断をもたらした。彼がピッチに立つ1分1分は、他の選手以上の価値を生み出している」 一方、より直接的な形で結果を残しているのがグリーズマンだ。全公式戦での先発出場は9試合にとどまるものの、すでに9ゴールを記録。16節のバレンシア戦では、後半から投入され、値千金の決勝点を奪取。コパ・デル・レイ3回戦のバレアレス戦でも2ゴールを挙げ、勝利に大きく貢献している。
ディアス氏は、グリーズマンの姿勢を高く評価する。「先発か途中出場かに関係なく、チームの成功のために全力を尽くす。その献身性こそが、今の彼を特別な存在にしている」
かつて絶対的エースだった男が、「非レギュラー」という新たな立場を受け入れ、知性と経験を武器に戦う。スペイン紙『EL PAIS』のラディスラオ・ハビエル・モニーノ氏はこう語る。「全盛期の脚力は失われたが、閃きや判断の速さは健在だ。コンディションが整えば、彼はまだ多くのものをチームにもたらせる」
与えられた役割や出場時間に不満を抱くのではなく、限られた時間の中で最大限の価値を発揮する。それはディエゴ・シメオネが監督就任以来、一貫してチームに浸透させてきた哲学そのものだ。
若手時代からその精神を体現し続け、生え抜きのキャプテンとして生けるレジェンドとなったコケ。そして、天賦の才能にハードワークを融合したシメオネの“最高傑作”とも称されるグリーズマン。ベテランが精神的支柱として存在感を放つ今、アトレティコは勝負の後半戦へ、確かな手応えを携えて突き進んでいく。
文●下村正幸
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