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【2025年シーズンを振り返るコラム】個人的にも垂涎だった、F1マシンと鉄道車両のコラボ。今後より大切になるであろう”他業界”との接点

【2025年シーズンを振り返るコラム】個人的にも垂涎だった、F1マシンと鉄道車両のコラボ。今後より大切になるであろう”他業界”との接点

2025年のモータースポーツシーンを語る上で、私個人的に外せないのは、京都鉄道博物館で行なわれた『レーシング&レールウェイ ヒストリー』である。重要なイベントだった。

 鉄道とレーシングカーなんて関係ないじゃん! とお思いになる方も多いだろう。でもそんなことはない。スピードはもちろん、使われているテクノロジーも、実はよく似ている部分がある。

 似ている部分を枚挙すると大変だが、ひとつ披露するといえば回生であろうか。

 今のF1マシン(つまりハイブリッド車)は、発電する際の抵抗でブレーキをかける。これが回生ブレーキで、大多数の鉄道車両もこれと同じブレーキを備えている。違うのは、ハイブリッド車は発電した電気をバッテリーに蓄え、鉄道は電気を架線に戻すというところである(一部鉄道車両には、発電した電気で発熱させて放出したり、バッテリーに蓄えるモノもあるが)。バッテリー開発は実に難しく、大きな電力を貯めようとすると、大きく重くなってしまう……そのため、電気的に他と接続されていない自動車でハイブリッドを再現するのは大変だったという。一方鉄道車両は、架線に電気を戻せばいいのでバッテリーを搭載する必要がなく、回生技術が自動車よりも一歩先に進んでいた。

 ただ今回のイベント、そういう技術的な近似値を訴えることができるという点だけで有益だったと言っているわけではない。もちろんそれも有益なことのひとつだが、それ以上に”全く別のコトに興味を持っている方に、モータースポーツの魅力を伝える一助になった”ということが、非常に重要だったのではないだろうか。”モータースポーツファンに、鉄道の魅力を伝える”ことができたという、全く逆の効果もあっただろう。

 今の日本では、モータースポーツの人気・知名度は、サッカーや野球と比べれば低いと言わざるを得ない。新たなファンを呼び込むためには、これまでモータースポーツに目を向けていなかった人々の視線に触れるような、そういう試みを行なうことが実に重要である。今回の京都鉄道博物館のイベントには、そういう効果があったはずだ。

 何もそれは、今回のイベントに限ったことだけではない。サッカーや野球を観戦するためにDAZNに入った人がF1を見てくれたり、お台場や六本木ヒルズ、歌舞伎町などで行なわれたF1やMotoGPのイベントの会場をふらりと通りかかり、「これは何だろう?」と興味を持ってくれた人もいるかもしれない。ブラピが好きで映画『F1/エフワン』を観たことで、実際のF1に興味を持った方もいたかもしれない。来季からF1はディズニーとのコラボレーションを本格化させるが、ミッキー・マウス好きが高じてF1を見るようになる方もいらっしゃるかもしれない……それこそ、様々な可能性が考えられる。

 我々メディアも、そして日本でモータースポーツに関わる様々な企業も、もっと外に目を向けなければいけない時期に来ているのではなかろうか? モータースポーツを熟知している人だけではなく、これまであまりモータースポーツに興味を持っていなかった方にも興味を持っていただくためにどんな手法があるのか……それを日々考え、実行しなければいけないと思う。それがきっと、日本のモータースポーツの未来につながると信じている。

 そういう意味では、鉄道とレーシングカーという、まったく別の分野の車両を並べた京都鉄道博物館でのイベントは、実に素晴らしいものだった。

 京都鉄道博物館も、そしてHRC(ホンダ・レーシング)も、今後新たな展開を考えたいとしている。再びコラボイベントが実施されるのであれば、その日を心待ちにしたいものだ。

 さて私はモータースポーツを報じる身であると同時に、鉄道も大好きである。会期中、2度にわたって会場を訪れ、F1と鉄道車両の共演、そして博物館内に所狭しと並べられた鉄道車両を満喫させていただいた。イベント最終週末には、WEST EXPRESS 銀河の実車が展示されていたのは垂涎だった。また同じ日、レッドブルRB16Bの実車が、世界初の寝台電車581系、そして特急「雷鳥」などに使われた489系に挟まれる形で展示されたのも、鉄道ファンのひとりとしては素晴らしい光景だった。

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