
アーセナルは悲願のプレミア制覇を果たせるのか。前半圧倒→冷や汗勝利のブライトン戦で感じた“らしさ” 怪我人続出のなか英代表MFを右SBで起用した指揮官は「信じられない」【現地発】
アーセナルは悲願のプレミアリーグ制覇を果たせるのか? もしかしたら、本拠地エミレーツスタジアムでブライトンを退けた 12月27日のこの試合こそが、そのカギを握る一戦になったかもしれない。
赤と白のシャツを纏ったリーグリーダーは、序盤から青と白のシーガルズイレブンを圧倒した。前半だけで15本のシュートを浴びせ(対するブライトンは0本)、14分にはマーティン・ウーデゴーが簡単に、そして鮮やかに先制点を奪った。チームをけん引するキャプテンの昨シーズンの最終戦以来となる今季初ゴールにより、スタジアムは大いに盛り上がった。
その後も押せ押せムードだったが、得点には及ばずにわずか1点のリードでハーフタイムを迎えた。プレスラウンジに戻った私は、記者仲間と「今日のブライトンはまるでダメ。抵抗する術が見当たらないし、後半には大差をつけられるだろう」と予想していた。最初の45分はそれほど一方的な展開で、ガンナーズの11人が各自の役割を理解して完璧にこなしているのに対して、ビジター側は誰一人として力を発揮できず、自信を失ってピッチを降りる彼らの顔からは焦燥感が読み取れた。
とりわけアーセナルの攻撃の両翼を任された右のブカヨ・サカ、そして左のレアンドロ・トロサールは対峙したブライトンの両ウイングバックを完全に凌駕し、再三にわたってオランダ代表GKバート・フェルブルッヘンが守るゴールを襲った。1失点で終えられたのも奇跡的な幸運と感じられたくらいで、「後半はさらに失点を重ねる」、スタジアムを訪れた多くがそう考えていただろう。
この状況に、ブライトンのファビアン・ヒュルツェラー監督は積極的な選手交代で対応した。後半頭からブラヤン・グルダとマクシム・デ・カイペルを下げて、マッツ・ヴィーファーとヤンクバ・ミンテを投入したのである。左ウイングバックのデ・カイペルは、クオリティが高くスピードのあるサカのプレーに翻弄され続けてまるで対応できなかった。最大の急所となり、当然の交代だった。
それでも52分。再び得点したのはアーセナルだった。デクラン・ライスの鋭いコーナーキックを、ニアサイドでクリアしようとしたジョルジニオ・リュテールがヘディング、不運にもボールはそのままゴールに吸い込まれるオウンゴールとなり、追加点を挙げることに成功したのである。
だがブライトンのダブルチェンジの効果が次第に表れはじめる。特に右サイドはウイングバックにヴィーファー、さらにFWにスピードのあるミンテが入ったことで縦への推進力がグッと上がり、今季最少失点を誇るアーセナル守備陣を追い込んでいく。
そして64分、ついにブライトンがディエゴ・ゴメスのシュートで鉄壁のディフェンスラインを破り、1点差に詰め寄った。
その後はアーセナルのバックラインはどんどんと後退し、逆に自信をつけたブライトンがディフェンダーまで敵陣に入り込み攻撃参加。試合を追うごとにブライトンサポーターのボリュームが増し、逆に余裕があったはずのアーセナルファンの応援は悲鳴に近い、死に物狂いの音へと変化していった。
ハイライトは77分、守護神ダビド・ラヤがスーパーセーブでチームを救った瞬間だ。試合後にミケル・アルテタ監督は「センセーショナルだった!」と興奮気味に話した場面。エリア内側でミンテが放った強烈な左足のシュートはゴール左上を捉えていた。誰もが同点だと思ったが、スペイン代表は抜群の身体能力を生かして横っ飛び。右手でボールを弾いてゴールを阻んだのだった。
その後も苦しみながら、2-1で逃げ切りに成功。アーセナルは、数時間前にノッティンガム・フォレストを破って暫定で順位表の首位に立っていたマンチェスター・シティから再びポールポジションを奪い返したのである。
余裕で勝てた試合が、終わってみれば薄氷を踏む勝利となった。アルテタ監督は「パフォーマンスにとても満足している。個人とチームの両面で試合を支配していた」と会見で振り返った際、“支配”という言葉には思わず眉をひそめたが、直後に指揮官は次のように続けて説明している。
「我々は大きな脅威だったし、これらの点ではとても嬉しい。ただ、点差はもっと広くすべきだった。チャンスの数、オープンチャンスの数を考えれば、2-1では絶対にあるべきではない試合。だがこれがプレミアリーグであり、こういうステップを歩まなければならない」
そしてこれこそが、今季のアーセナルの強さとも言える。今季挙げた13の勝ち星のうち、1点差での勝利が7回、2点差が3回、3点差が2回、4点差が1回である。先述のとおり、アーセナルはリーグ最少の11失点と強固な守りをベースに白星を重ねて続けているが、後半になって勝ち越したぎりぎりの試合も多くなっている。
また怪我人も多く、チーム全体でそれをカバーしながら勝点を手繰り寄せている。
「私が嬉しいのは、いまチームは多くの問題を抱えているが、それをみんなで信じられないような形で助け合っている。昨日はユリエン(ティンベル)が離脱し、今日は試合前の練習で(リッカルド)カラフィオーリを失った。デクランがサイドバックに入らなければならなかったが、彼の素晴らしいパフォーマンスはご覧のとおり。これこそが我々のスピリットで、どれだけ選手がそれ(優勝)を欲しているかが分かるはずだ」
これに呼応するようにウーデゴーも試合後のインタビューで、ライスについて「アンビリーバブルなパフォーマンスだった。ライトバックは初めてかもしれないけど、それであのプレー。最高のパフォーマンスだったね」と称賛。さらに「これこそが僕らのチームなんだ。みんながチームのために何でもできる準備をしていて、今日の出来事がその良い例だよ」と、指揮官とまるで同様の内容を話している。
アルテタ監督が首位としてクリスマスを終えたのは、22-23、23-24シーズンに続いて今回で3回目。しかし過去2度は、シーズン終了時にタイトルには手が届かずに涙を飲んだ。ただ今季はチームに漂う雰囲気はこれまでと異なり、アーセナル首脳陣、プレーヤー、そしてサポーターも3度目の正直を信じて疑わない。
ブライトン戦でも、1点差を守ろうと終盤にしっかりとコーナーフラッグにボールを運ぶなど、勝利にこだわる強い意識が感じ取れた。当たり前にやるべきことながら、過去数シーズンにわたり辛酸を味わい、以前に比べてチームが成熟しているからだ。1-0で辛勝した前節のエバートン戦でも、敵地のヒル・ディキンソンスタジアムで「Boring, boring Arsenal(つまらないサッカーのアーセナル)」というチャントが聞かれた。
どんな形でも勝ち続けていればいい。そしてこれこそが現在の“アルテタイズム”と言える。
「勝てばそれが糧になり、また続けられる。勝利に付帯する効果は信じられないほどにパワフルだ」と、スペイン人指揮官は笑顔でブライトン戦の記者会見を締めくくった。
現地30日に行われるアストン・ビラ戦で、ようやくシーズンの折り返し地点にたどり着く。わずか勝点3差で、現在3位につける難敵チームを相手にどのような結果を残せるのか。悲願のリーグ制覇に向け、真価を問われる試合になる。
取材・文●松澤浩三
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