
1995年の映画『ゴジラvsデストロイア』ポスタービジュアル (C)東宝
【1~8位】「えっ、まさか1位が…」 これがファン1000人が選んだ「初心者にすすめたいゴジラ映画」ランキングです(4枚)
「ゴジラ復活」早まったのは「ある映画」のせい?
日本を代表する特撮映画「ゴジラ」シリーズは、1995年公開の『ゴジラvsデストロイア』で、一旦の終止符を打ちました。
「ゴジラ死す」という衝撃的なキャッチコピーとともに 封切られた本作は、1954年公開の初代『ゴジラ』で「ゴジラ」を葬り去った兵器「オキシジェン・デストロイヤー」によって誕生してしまった完全生命体「デストロイア」との、文字通りの死闘が描かれます。まさに最終決戦に相応しい内容でした。
実際、本作においてゴジラは死にます。自らの放射熱によって体が融解(メルトダウン)していく様は 神話的でもあり、今なおファン人気の高い作品です。興行 収入は20億円を超える大ヒットを記録。ゴジラシリーズの「有終の美」を飾ったと言えるでしょう。
制作陣としても「ゴジラの死」を描くことは相当な覚悟が必要だったに違いありません。事前に、初代『ゴジラ』プロデューサーを務めた田中友幸さんに「ゴジラの死」を伝え、承諾を得てから 撮影に臨んだのです。なおこの時、田中さんは「次に繋がる終わり方」を唯一の条件として提示したと言います。
そして本作は条件通り、「次に繋がる」ラストで幕を閉じました。これまでも「ゴジラ」シリーズは何度も空白期間を経ては復活してきた経緯はあるものの、少なくとも劇場に足を運んだ観客の多くは「ゴジラとの長い別れ」を感じたに違いありません。
結果はどうだったでしょうか。1995年の『ゴジラvsデストロイア』で、大きな物語が終焉したかのように思えたゴジラシリーズですが、それからたった4年後の1999年に『ゴジラ2000 ミレニアム』が公開されました。
ファンにとって朗報には違いないのですが、「復活」とするには、若干ながら早い気がします。だったらなぜ「ゴジラ死す」などと前作で銘打ったのでしょうか。実はこの「復活」は、東宝側からしても想定外の「前倒し」だったのです。
というのも、『ゴジラv sデストロイア』公開当初、東宝は国産ゴジラの復活を、少なくとも「21世紀になってから」と考えていました。しかし4年の間に、方針を転換せざるを得ない状況が発生したのです。もちろん理由はひとつだけではありませんが、無視できない要因として挙げられるのが、1998年に公開されたハリウッド版『GODZILLA』です。後のハリウッド版と区別するため、俗に「エメリッヒ版」「トライスターゴジラ」と呼ばれる、あの作品です。

ローランド・エメリッヒ監督による、1997年の『GODZILLA』DVD(東宝)
「似て非なるゴジラ」だが、圧倒的な興収を見せつけられて?
ご存知の通り、このエメリッヒ版『GODZILLA』は、国産ゴジラのイメージとはまるで異なる作品に仕上がっており、国内外のゴジラファンからは戸惑いと、あからさまなブーイングで迎えられました。
なかにはゴジラ作品でなく、「パニック映画」として観れば上出来、という声もありましたが、「ゴジラ」という概念を通さず本作を評価することは本末転倒でしょう。ただし忘れてならないのは、同作が「大ヒット」を記録したという事実です。
日本国内でも本作の配給収入は『ゴジラvsデストロイア』よりも多い30億円と、ビジネス的には大成功を収めていたのでした。つまり(私見ながらも)東宝からすれば「ゴジラ」ブランドの影響力の大きさを再認識すると同時に、そのブランド価値自体が、「エメリッヒ版」の影響で揺らぎ始めていることも同時に認識した と考えられます。
こうした事情を踏まえて、ゴジラの復活は前倒しになりました。4年ぶりの国産ゴジラである『ゴジラ2000 ミレニアム』が、エメリッヒ版との格の違いを見せてくれれば面目躍如だったのですが……。秀作ではあったものの、今では「エメリッヒ版」よりも顧みられることが少ないの作品となっています。
ただし、繰り返しますが、「エメリッヒ版」がどんな評価であったとしても、「ゴジラ」は復活する予定だったのです。ゴジラは、「復活するまでがゴジラ」なのでした。
※参考文献:『別冊映画秘宝 平成大特撮 1989-2019 』(洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)
