2025年下半期のドラマ界を席巻したひとつに、子供時代のいじめが原因で連続殺人事件に発展するという「良いこと悪いこと」(日本テレビ系)がある。ドラマは小学生時代のいじめが原点だったが、現役高校生による、いじめを通り越した身体的暴力の日常化が発覚し、甲子園出場辞退に追い込まれたのが、広陵高校野球部(広島県)だった。
コトの起こりは2025年1月。同校の野球部寮で暴力事案が発生し、保護者が学校側に連絡を入れ、内部調査が行われた。高野連から「厳重注意」を受けた同校は、加害生徒たちを一定期間、公式戦出場停止処分にしたが、学校自体は大会への出場資格が維持されたままだった。
7月になって、被害者が広島県警に被害届を提出。8月の夏の甲子園大会開幕直前には、被害者の関係者とされる人物が、事件の詳細をSNSで拡散させた。広陵は2回戦の出場を辞退し、加害者や学校側の対応への批判が一気に高まることになったのである。
ところがさらに世間を驚かせたのは、学校長による8月10日の謝罪会見だった。
カメラの前に立った校長は冒頭こそ頭を下げたものの、根本原因であるいじめをめぐる事案の詳細報告もなければ、反省の弁もなし。甲子園途中辞退の理由として、激化する誹謗中傷や生徒への付きまとい、さらに寮への爆破予告などの脅威が続き、生徒や教職員、地域の方々の人命を守ることを最優先したのだと。これででSNSはさらに炎上することになった。
運動部記者が言う。
「加害生徒への教育的配慮や、残された部員たちの心のケアという美辞麗句は並んだものの、被害側への謝罪はなく、騒動拡大の原因である初動対応の不備や、組織の体質については説明せず。本来なら不祥事が発覚した時点で速やかに調査委員会を立ち上げ、透明性を確保すべき。そうしなかったことで、最悪のタイミングでの出場辞退という悲劇を招いてしまったわけですからね。しかも出場辞退後にようやく開いた会見では、自らの学校を『過激な世論の被害者』だと強調したことで、さらに反感を買う結果となりました」
広陵高校は10月10日、弁護士3名による第三者委員会を発足。だが、関係者らへの聞き取り調査は進んでいないとされ、一部報道では結果が出るのは2026年3月末が目処なのだと…。
「教育は愛なり」の精神を大切にしているというが、あの謝罪しない謝罪会見とそこに至る不透明なプロセスに、この精神を見出すことはとてもできない。
(灯倫太郎)

