上谷沙弥のプロレス大賞MVP獲得に代表されるように、今年のプロレス界は女子の活躍が目立った。上谷が牽引するスターダムに限らず、さまざまな団体で充実した闘いが展開されている。
それはトップ戦線だけでなく、若手たちにも言えることだ。スターダムのフューチャー王座、センダイガールズ(仙女)のジュニア王座をめぐる試合など、有望な新鋭がひしめいている。スターダム所属のうち、デビュー3年以内の選手はじつに11人。
キャリアが近いからこそ、仲間意識もライバル意識も生まれやすい。マーベラスの暁千華(2024年10月デビュー)とマリーゴールドの山岡聖怜(2025年1月デビュー)は、団体が違いながらもお互いを強く意識してきた。
山岡はジュニア年代にレスリングで実績を残し、デビュー決定の会見やデビュー戦に向けての公開練習も行なわれた“スーパールーキー”。姉はグラビアタレントの山岡雅弥という話題性も。
一方、暁は“雑草”タイプだが師匠・長与千種が課した過酷なプロテストを乗り越える姿がファンの心を掴んだ。自分より体格にも恵まれた暁のことを、山岡はこの頃からライバル視していたようだ。
デビュー直後にタッグ王座を獲得、大器ぶりを見せた山岡。防衛戦で暁と対戦するとフォール勝ちしたが、試合後に尊敬するパートナー・高橋奈七永が暁を絶賛して悔しい思いをすることにもなった。
もちろん、負けた暁も収まらない。仙女でじゃじゃ馬トーナメント優勝を果たし、ホームリング年間最終戦の12.28後楽園ホール大会で山岡との一騎打ちが決まった。
試合はグラウンドの攻防から張り手の打ち合い、エルボー合戦、さらに場外戦まで一歩も譲らない。青木真也もグラップリングの実力を認める山岡だが、最近はプロレスらしい立体的な動きも。619、スワンダイブ式ドロップキックなど多彩な攻めで成長を示した。
逆に暁は山岡のタックルを切ってみせる。自分のペースに持ち込むだけでなく、相手の土俵でも張り合おうという闘いを両者は見せた。
その上で、活路を切り拓いたのは暁のパワフルなアックスボンバー。最後はダイビング・ボディプレスで3カウントが入った。これで対戦結果はタッグを含め1勝1敗。しかしシングルで勝った意味も大きい。
印象的だったのは、勝利した暁も満足気ではなかったことだ。
「今年何があったかなと思った時に、常に山岡聖怜の存在があって。ここまでライバル視できる選手は山岡聖怜が一番だと思います。3月に負けて悔しいという言葉しか出てこなくて、今日やっとシングルで勝つことができました。だけどそれが望みじゃない。こらからもっとやり合える関係でいたいし、どっちが先に圧倒的な差をつけられるか」
山岡と闘うと、一発技を食らった時にやり返さないと気が済まないと言う暁。敗れた山岡はリング上で号泣した。
「次は絶対私が勝つし、ここで諦めてる場合じゃない。また成長して、圧倒的に勝ちたいです」
2人とも「圧倒的」という言葉を使っていた。ライバルだからこそ、競い合うだけ、勝つだけではなく圧倒的な差をつけたい。それだけライバル意識が強いということでもあるだろう。
「まだまだ足りないところが多いです。グラウンドだってもっと強くならないと」
スーパールーキーと呼ばれレスリングのベースがある山岡は、他の新人たちからライバル視されやすい存在だ。本人もそれを感じている。そして、あらゆる状況を跳ね返してこそのスーパールーキーだという強い自負がある。
2025年に始まったライバルストーリー。今回のシングルマッチは後楽園大会のセミファイナルで行なわれた。新人同士の試合としては異例だが、次はさらに重要な舞台で闘うことになるのではないか。そう思わせる初シングル対決だった。
取材・文●橋本宗洋
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