読者の皆様からお寄せいただいた、2025年のモータースポーツシーンで”バズった”と思われる言葉。ランキング上位3位はこんな言葉になった。また選外だったものの、今年を語る上で欠かせない言葉を編集部でピックアップ。併せてご紹介する。
■第3位:オワサ
年末になって急速に殴り込んできた流行語がこの「オワサ」だ。
この言葉が生まれたのはF1の2025年最終戦アブダビGP。日本人ドライバーの岩佐歩夢がレーシングブルズからFP1に出走したときのことだ。
この言葉を作り出したのはメルセデス。ジョージ・ラッセルに対する無線で「”オワサ”とは3秒差だ」と伝えて来たのだ。
当然オワサなどというドライバーはこのFP1には出走していなかったが、ラッセルは冷静に「オワサじゃなくて、オワード(パトリシオ・オワード/マクラーレンからFP1出走)だと思うよ」と返していたことも、『オワサ』という言い間違えの面白みを増すのに一役買っていそうだ。
ちなみにF1では、各ドライバーをアルファベット3文字に置き換えて表示している。このセッションで岩佐は「IWA」、オワードは「OWA」となっており、確かに紛らわしかったとも言える。
なお言い間違えた”張本人”のメルセデスも、この件をネタにしている。
岩佐とオワードをかけ合わせた”オワサ”という言い間違えは、日本人ファンにはかなりウケたようで、岩佐に関するニュースなどに言及する際にあえて“オワサ”、”オワッサ”といった表現も見られるように……なかなかインパクトのある流行語だった。
■第2位:Must be the water.(フェラーリ)
「それは水だね」
数々の珍プレー名プレー(?)を生み出しているF1界きっての名門チームフェラーリ。彼らの名門っぷりは流行語部門でも輝いている。
ことが起きたのは2025年開幕戦のオーストラリアGP。当該GPはレース前の雨と、レース中の雨予測によって翻弄されるレースとなったが、レース中盤にルクレールから「シートが濡れていて、何か漏れているのか」という無線があり、そこでのエンジニアの言葉がそれだ。
ルクレール「何か漏れてる?」
エンジニア「何が漏れてるだって?」
ルクレール「シートが水でいっぱいなんだよ! 水みたいなやつで!」
エンジニア「それは水だね(Must be the water)」
ルクレール「格言に加えとこう」
レース中に起きたこのコントのようなやりとりは、たちまち拡散。ルクレールの言うように”格言”ではないにしろ、F1界隈ではこのワードが大流行……2位にランクインしたのも当然と言えるだろう。
なお、お笑いとして消化されたこの一幕だが、その一方でF1ドライバーがコース上を走っていても、無線の返答でそんな洒落た返しができるくらいには、頭に余裕があるという点に対しては、称賛の声もあった。
また3月のシーズン開幕戦で生まれたやり取りにも関わらず、年末まで多くのファンの記憶に残っていたようだ。
■第1位:パパイヤルール
栄えある流行語第1位に選ばれたのは、2025年のF1で非常に良く使われた言葉であるパパイヤルールだった。
2024年にコンストラクターズタイトルを獲得したマクラーレンは、2025年も絶好調。前半戦は他チームを圧倒する事が多く、ドライバーズタイトル争いはランド・ノリスとオスカー・ピアストリのチームメイト対決を主軸に進んだ。
チームメイト同士の争いということもあり、マクラーレンがどうやって手綱を握るかが注目されてきたが、彼らは「パパイヤルール」と呼ばれる一定の決まり事のもとで、ドライバー達に自由に争わせる方針を貫いた。
ノリスとピアストリの争いが激しくなる度に、このパパイヤルールが取り沙汰されていたため、F1ファンは何度もこの言葉を目に、耳にして来たはずだ。さらに終盤戦でマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が急速にポイント差を縮めてタイトル争いに加わったため、事態はさらに複雑に……ライバルの逆転王座の可能性を阻止するためにパパイヤルールを曲げてチームオーダーを出すのでは? といった視点からも話題になるなど、このルールは1年を通じてF1界の注目を集めた。
2025年シーズンが単調な1年にならなかったのは、このチーム内規が果たした役割も大きいだろう。2026年は大きくレギュレーションが変わるため勢力図にも変化が期待されているが、マクラーレンは再びパパイヤルールを適用するほどに独走できるだろうか?
■番外:古代兵器、グラウンドエフェクト、マルケス兄弟……
トップ3はかなりの票を集めたが、その他多くの言葉にも投票をいただいた。
そんな中でも「古代兵器」はなかなかの投票数だった。
古代兵器……これは2025年のスーパーGT300で表彰台、そして優勝を達成したTEAM MACHの5号車マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号のコト。ここ数年は入賞も厳しいレースが続いていたマザーシャシー”MC86”には限界説すら囁かれていたが、2025年は塩津佑介と木村偉織のコンビで躍動。第5戦鈴鹿では4番手フィニッシュだったが、2番手チェッカーの60号車Syntium LMcorsa LC500 GTが最低重量違反で失格となり繰り上がりで表彰台を手にした。さらに最終戦では優勝してみせた。
MC86は2014年に登場……つまりは既に10年以上が経過した車両であるため、”古代兵器”との異名もついた。しかし古いからと言ってパフォーマンスが劣るわけではないことを証明した格好だ。そういった結果を考えれば、多数の票を集めたことも納得だ。
なお玉中哲二代表はMC86はチームの思い入れの強いマシンとなっており、来季以降もできる限り継続して走らせたいという意向を示している。
また「グラウンドエフェクト」という言葉も票を集めた。F1では2022年に現行のレギュレーションが施行され、いわゆる”グラウンドエフェクト・カー”が登場した。グラウンドエフェクトとは、車体の底と路面の間を流れる空気を活かしてダウンフォースを発生させる考え方のことである。
ただこの効果を最大限活かすためにはサスペンションを硬くセッティングする必要があったり、ダウンフォース量が増減することでマシンが上下動する”ポーパシング”と呼ばれる現象に悩まされたりと、ドライバーらからの評判は悪かった。またオーバーテイクを増やすという目標も達成できなかった。
ただ2026年シーズンからはレギュレーションが変わり、マシンが一変する。グラウンドエフェクトを一切使わなくなるというわけではないが、それでも2025年までのマシンとは一線を画す。一体どんな挙動のマシンになるのか、年明けのテストが見逃せない。
二輪からは2025年シーズンのMotoGPを席巻した「マルケス兄弟」が多くの票を集めた。2024年に青木兄弟以来となるMotoGPでの兄弟表彰台を達成した彼らは、史上初の兄弟ワンツーフィニッシュを何度も積み重ね、さらに最後は兄マルクが王者、弟アレックスが2位と、これも史上初の兄弟でランキング1位2位を達成。まさに”マルケスイヤー”だった。

