2009年のF1ワールドチャンピオンであり、現在はWEC(世界耐久選手権)に参戦するジェンソン・バトン。今季限りでWECから退くが、来年のル・マン24時間にスポット参戦する意向もないという。
F1を離れた後、日本のスーパーGTにも参戦しチャンピオンを獲得したバトンは、2024年にハーツ・チームJOTAからWEC最高峰クラスにフル参戦し、ポルシェ963をドライブした。JOTAのマシンがポルシェからキャデラックにスイッチした今シーズンは、サンパウロで2位表彰台を獲得している。
ただそんなバトンも、WECに参戦するのは今季限り。ハイパーカークラスの車両をドライブすることの複雑さから、将来的にル・マン24時間のみに出走することにも関心がないと語った。
「耐久レースをやりたいなら、常にそこに身を置いていなければならない」とバトンは言う。
「マシンやシステムがどうなっているかを学び続けなければならない。乗るたびに新しい発見があって、学びが繰り返されていく」
「44歳になってからその世界に飛び込むと、20代の頃よりも明らかに時間がかかるんだ」
バトンは今年7月、2年契約が満了するJOTAからの離脱を明らかにした際、レーシングドライバーから引退するわけではないと強調しており、2026年以降もフル参戦ではないながらも、何らかの形でレースに参加するだろうとしていた。
今回、その立場について改めて明確にしたバトンは「プロとしてレースをする」のではなく「純粋に楽しむためにレースをする」と説明。今後の主な活動はヒストリックレースになると語った。
「なぜかヒストリックカーが好きなんだ。歳のせいかもね」
バトンのコレクションには、ヒストリックカーが増え続けている。今季は新たにジャガーEタイプを加えたが、5度のF1王者ファン・マヌエル・ファンジオが乗っていたロードカーでもあるジャガーCタイプ、そしてアルファロメオGTジュニアを所有している。
またバトンは、2023年にリック・ウェア・レーシングからNASCARカップシリーズにスポット参戦したことがあるが、ハイパーカーとは複雑さという面で異なるNASCARへの復帰については完全には否定しなかった。
「NASCARは(ハイパーカーと)全然違う。とてもメカニカルだからね」
「乗ればすぐにマシンの挙動を感じ取れるから、できないことはないだろうね。システムがたくさんあるわけじゃないから、ずっと簡単なんだ」

