
「MG 1/100 RX-75 ガンタンク」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
【画像】えっ、同じサイズ? こちらガンタンクとリアル戦車の120mm砲です(4枚)
同じ120mmでもリアル現代戦車とは大違い!
2026年、あけましておめでとうございます。本年もマグミクスをよろしくお願いいたします。
元旦ゆえ、ガンタンクのお話です。『機動戦士ガンダム』に登場する「RX-75 ガンタンク」は、両肩に装備された120mm低反動キャノン砲が特徴的な長距離支援用MS、その砲の射程距離は、一説には260kmにも及ぶといわれています。東京都心から撃てば西は名古屋市あたりまで、北は新潟市あたり、日本海にも届く距離です。
一般に砲の「射程距離」といえば、「有効射程」を指します。これは単に砲弾が届く距離、すなわち「最大射程」ではなく、目標に命中し、効果を発揮することができる距離のことです。ガンタンクの「射程距離260km」が有効射程なのか最大射程なのか、今回の記事執筆に際し調査したなかでは判然としませんでしたが、とはいえおそらく前者と見られます。
ただ、それだけのスペックが活かせる場面となると、ミノフスキー粒子下の戦場ではかなり限られてくるでしょう。
ガンタンクの全高は15m程度ですから、地球上で海抜0mにおける水平線までの距離は14km弱になり、これがおおよその「目視できる範囲」になります。無論、見晴らしのよい高台などからはもっと先まで見渡せることもあるでしょうが、ともあれ地上のガンタンクから地上物を光学観測できるのは、その程度のレベルなのです。そして、ミノフスキー粒子散布下のガンタンクのセンサー有効半径は6km程度といいます。
260km先というと、富士山の頂上からでも水平線/地平線の彼方です。その距離の射撃となると、観測機などなんらかの方法で目標を確認できて、通信にも問題がなくて、初めて有効なものといえるでしょう。拠点などあらかじめ位置がわかっていたとしても、実際に射撃が当たったかどうかがわからなくては、有効な手段とはいえないからです。
宇宙空間ではどうでしょうか。宇宙空間には空気抵抗による運動エネルギーの減衰はありません。実体弾を発射すれば、何かにぶつかるか星の重力に捕まらない限り、それこそ無限に思える彼方まで飛んでいきます。
正確には星間物質、つまりガスなどの微粒子と衝突して運動エネルギーは減衰し、いずれ止まるものと考えられますが、たとえば宇宙空間で撃たれた現代戦車の砲弾が、微粒子に遮られて止まるまでどれくらいの年月がかかるのか、その間にどのくらい先まで飛んでいくのか、想像がつくでしょうか。
つまり宇宙空間では、最大射程や運動エネルギーの減衰といった概念はほぼ意味をなさなくなり、「射程距離260km」というのは260km先まで精密射撃ができる、くらいの意味合いになってきます。ただそれを活かせるのも、地上と同じく、かなり限られた場面になってくるでしょう。
なお、「ガンダム」世界のシリンダー型スペースコロニーは、直径6.5km、長さ30km程度というサイズですから、コロニー内戦闘においても、260kmという数字は文字通りケタが違います。
では、この「射程距離260km」というのがほぼ無駄スペックかというと、おそらく発想が逆なのではないかと思われます。つまり、敵MSを撃破できる威力を求めた結果、地球上で260km先でも有効な砲弾になった、ということではないでしょうか。ただまぁ、260km先でも精密射撃ができるほどの精巧な「砲」が必要だったかどうかは、ツッコミどころかもしれませんけれども。
ちなみにリアルな現代の120mm戦車砲の射程距離は、諸説あるものの直接照準で2kmから3km、間接射撃で10km程度といわれます。砲弾はおおよそ20kg弱です。ガンタンクの120mm砲は、それほど現代の戦車砲とはかけ離れたもの、といえるでしょう。
