2025年の大晦日イベントは、RIZIN10周年の記念すべき大会だった。
前日の公開計量からRIZINの前身であるPRIDEのレジェンド、ミルコ・クロコップとアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラが登場するなど、歴史を感じさせる場面も。大会オープニングでは、RIZIN10年の名勝負、名選手を振り返るVTRが流れた。
今大会で行なわれた5大タイトルマッチの一つ、フライ級トーナメント決勝戦(王座決定戦)も歴史という背景のあるカードだった。
扇久保博正は修斗の世界王者を経て2018年からRIZINに参戦。朝倉海を下してバンタム級トーナメントで優勝したことも。対する元谷友貴はDEEPで2階級制覇。RIZINには2015年の旗揚げ戦から出場している。
扇久保38歳、元谷36歳。RIZIN以前からトップクラスで活躍してきたベテランがトーナメントを勝ち上がり、タイトルマッチで闘う。どちらもRIZINのベルトを巻いたことがなく、勝ったほうが初戴冠でもある。
「元谷選手と決勝でベルトをかけて闘えることが嬉しい。決勝まできてくれてありがとう」
公開練習でそう語った扇久保。2人のどちらかがRIZIN王者になるという感慨は、多くのファンも感じていたことだろう。
また扇久保は「この試合は修斗対DEEPだと思ってます」とも。決して順風満帆とばかりは言えなかったキャリア。黒星も多い。だが、それも含めて扇久保と元谷は感情移入を誘う。
「苦しんできた2人、おっさんとおっさんの集大成」(扇久保)
一方、元谷は集大成という感覚ではなかったようだ。ベテランではあるが、まだ成長の途中だからというのがその理由。実際、元谷は2023年から堀口恭司と同じアメリカの名門アメリカン・トップチームの所属となり、実力を伸ばしている。
6年ぶりのリマッチは、手数の多い打撃戦となった。フェイントを混ぜながら、お互い当たれば倒れる距離でパンチを繰り出す。3ラウンドには元谷がテイクダウンするが、扇久保は立ち上がると試合終盤にパンチのラッシュを仕掛けた。
元谷もコーナーに詰められながら打ち返し、場内が大ヒートアップした状態でゴング。クリーンヒットで上回ったように見える扇久保が、判定3-0で勝利した。
RIZIN17戦目のベルトに「重いですね」と扇久保。ラストの打ち合いは「相手が元谷選手だったから」だと言う。
「テイクダウンにいってもよかったんですけど、気持ちに応えたかった」
敗れた元谷は「打ち合いながら会話してた感じがします」と語っている。また「結果として負けましたけど、最後まで気持ちでは負けていなかった。どの局面でも」とも。
新チャンピオン・扇久保はトーナメント1回戦、準決勝で自ら望んで強豪外国人と対戦し、最後は日本人ベテラン対決を制した。
「強い選手を選んできてよかった。きつい道を選んでよかった」
どん底を味わったこともあると扇久保。それでも諦めなかったし楽な道を選ばなかった。だから、時間はかかったがRIZINのベルトにたどり着いた。現在は堀口恭司、平良達郎の活躍もありUFCフライ級が盛り上がっているが「RIZINフライ級が世界で一番と言われるように盛り上げたい」。そして今一番やりたいことはと聞かれると「子供たちに会いたいですね」と即答した。
ベテランにしてピープルズ・チャンピオン。優勝賞金2000万円は「いったん奥さんに全部預ける」そうだ。
取材・文●橋本宗洋
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