●「シンプルさ」が選ばれる理由
スマートホーム市場には、「設定が複雑すぎて、結局使わなくなった」という失敗事例が数多く存在します。SWITCHBOTが重視するのは、「使った瞬間に『待っていました』と思えるリアルな課題解決」だといいます。
その代表例が「ハブミニ」や「プラグミニ」です。ハブミニがあれば、既存のエアコンやテレビ、照明をスマートフォンから操作できます。プラグミニを使えば、既存の加湿器や空気清浄機もスマート化できるのです。またアナログ家電に対しても、遠隔操作やトリガー連携といったスマート化を実現できます。
買い替えではなく、今あるものを生かす。これは、多忙な共働き世帯にとって、最も現実的な選択肢です。
「一度に全てを揃える必要はない」――SWITCHBOTはそう考えています。
実際、SwitchBotのユーザーには特徴的な購買サイクルがあります。一般的な「なんとなく買い替えたい→情報収集 → 購入」ではなく、「次の新作が楽しみ→また新作が出た→すぐチェックして購入」というサイクルです。これは製品に対する信頼と期待があるからこそ成立している購買サイクルです。
●目指す未来
今後、スマートホーム市場はどう変わるのでしょうか。SWITCHBOTは「AIとの結びつきが一層強くなる」と見ています。
開発理念は、IoT=「モノのインターネット化」にあります。この積み重ねが、製品をAIとつなげていくための土台になっているといいます。
実際、成果が出始めています。AIアートキャンバスは、テキストから画像を生成し、ユーザーの内なるアーティストを呼び覚ます体験を目指しています。AI Hubは、出来事をテキストで記述し、「いつも起こること・起きてほしくないこと」がそのまま自動化のトリガーになる仕組みです。KATA Friendsは、AIが環境やシーンを理解し、ユーザーが今いちばんうれしいことを先回りして行うパートナーロボットです。
「今後は家の中のデバイスが、AIを前提に再設計されていく時期になります。ただ操作するための機械から、暮らしを理解して提案してくれる相棒へ。デバイスのあり方を進化させたい」とMarketing Teamは述べています。
リモートボタンは、スマートフォンがない場面でもボタン一つで家電を操作できる製品です。高齢の家族がいる家庭でも、デジタルデバイスへの抵抗感を減らすことができます。
SWITCHBOTは、日本のスマートホーム市場において「既存ユーザー」と「未体験ユーザー」の間に溝が存在していると分析しています。「200万世帯、500万台という数字は決して大きいとはいい切れない」というのが正直な認識ですが、着実に成長を続けています。(マイカ・秋葉けんた)
■Profile
秋葉けんた
編集プロダクションのマイカに所属するITライター。雑誌、書籍、新聞、Web記事など、多岐にわたるメディアで執筆活動を行っている。特に家電やガジェット、IT関連の記事に豊富な実績があり、生成AIに関する書籍も多数手がけている。

