本年は午年。それに因んで、モータースポーツと馬の共通点をいくつかご紹介させていただこうと思い、パソコンのキーボードを叩いている。馬と言っても競馬だが。
昨年はドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』が大ヒット。年末の有馬記念の売り上げも、絶好調だったと聞く。競馬業界は大いに沸いたことだろう。そこに、昨年映画が大ヒットしたモータースポーツ界としても乗っかれないかというのが、本稿の趣旨のひとつである。
モータースポーツと競馬には、共通する部分が多くある。例えばパドックだ。
モータースポーツでパドックと言えば、ピット裏の広い空間のことを指す。そこには、レーシングカーや資材を運んできた大型トレーラーが所狭しと並ぶ。
しかし元を辿れば、パドックとは競馬の下見所のこと。レースに出走する直前の競走馬が、厩務員に引かれながらゆっくりと歩いて周回するのがこの下見所(=パドック)である。ファンはこのパドックで、歩く馬の歩様や毛艶などを見て優劣を判断する。「この踏み込みはいいぞ。本命だ!」とか、「この毛艶では、ちょっと調子が悪そうだ……馬券を買うのは控えよう」とか、そういう決断をするわけだ。人によって馬券の流儀が異なり、パドックを全く見ずに買うという方もいらっしゃるが。
競技そのものの成り立ちもよく似ている。モータースポーツも競馬も、オーナーが自動車もしくは競走馬を購入し、そこにできる限り最高のドライバーやライダー、騎手を乗せる。
またF1に参戦するフェラーリのF1チームは、その正式名称をスクーデリア・フェラーリHPとして登録している。レーシングブルズの前身であるアルファタウリも、正式名称はスクーデリア・アルファタウリだった。
このスクーデリアという言葉は、イタリア語で”厩舎”を意味する。厩舎は、競馬では調教師が管理する競走馬のトレーニング等を行なう施設/組織のことだ。例えば皆さんご存知ディープインパクトは、池江泰郎厩舎で武豊が騎乗する形だった。これをF1に置き換えると、SF-25はフェラーリ厩舎所属で、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンが騎乗する……ということになるのだろうか?
だからなのか、実はモータースポーツに馴染みのある名前を持つ競走馬も多い。
一番有名なところでは、サイレンススズカであろう。世紀の逃げ馬として名を馳せたが、1998年の天皇賞・秋のレース中に骨折してしまい、他界することになってしまった。
このサイレンススズカの馬主はトヨタカローラ三重を率いた永井啓弐氏で、冠名に”スズカ”を用いた。ご子息は現役でスーパーGTのGT300クラスにapr GR86 GTで参戦する永井宏明選手である。
ちなみにこのサイレンススズカには、もうひとつ数奇な運命がある。それが生まれた日だ。
サイレンススズカの誕生日は1994年の5月1日。そう、あのアイルトン・セナがF1サンマリノGPの事故で亡くなった、まさにその日である。セナもサイレンススズカも、悲劇的な最後を遂げたということもあり、関連づけて語られることが多い。
このセナの名前を頂戴した馬もいる。アイルトンシンボリやアドマイヤセナあたりが代表例。この他にもプロストラインやサーストンベルガーといった、レーシングドライバーの名前をつけた競走馬が何頭もいる。記憶にはないが、バリチェロという馬もいたらしい……。
そんな中で面白い存在が一頭。それが2019年のG1レース、マイルチャンピオンシップを勝ったインディチャンプだ。その名前もさることながら、母親の名前を見ると、モータースポーツファンならば「おおっ!」と思われるはず。インディチャンプの母の名は”ウィルパワー”……インディカー・シリーズで2014年と2022年にチャンピオンに輝いた、あのウィル・パワーと同じ名前なのである。実際に「インディカーの年間王者に輝いた、母親と同名のレーサーにちなんで」名付けられたと、JRAの公式サイトで説明されている。
このインディチャンプの子供たちが2025年にデビュー。その産駒一覧を見ると、モータースポーツファンならばつい単勝を勝ってしまいたくなるような名前の馬が何頭もいるというのが素晴らしい。
ざっと見つけたところをご紹介しよう。
・フィオラーノ(間違いなくフェラーリの本拠地)
・モントーヤ(ファン-パブロ・モントーヤから?)
・デイトナチャンプ(デイトナ)
・アルガルヴェ(ポルトガルのサーキットでしょうな)
・サイドポンツーン(レーシングカーの部位名ですね)
既に名前が登録されているだけでも、これだけモータースポーツに関連付けられた子供達が! モータースポーツファンの皆さんにおかれましては、この午年の2026年、インディチャンプの子供たちに注目してみてはどうでしょう?
本年も、何卒よろしくお願いいたします。

