25歳でテニスを始め、32歳でプロになった市川誠一郎選手は、夢を追って海外のITF(国際テニス連盟)大会に挑み続ける。雑草プレーヤーが知られざる下部ツアーの実情や、ヨーロッパのテニス環境を綴る転戦記。
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ひと口にヨーロッパと言っても、その中で各国ごとに異なるテニスのスタイルがあります。前回はイタリアについて述べましたが、今回はイギリスや他の国々、またヨーロッパから目を転じてアメリカにも触れてみましょう。
その国のテニスタイルに影響を与えるものとして、国民性と共にコートサーフェスも挙げられます。イギリスは、低いフラット系の弾道で、速い展開のプレーをする選手が主流です。
雨が多い気候のため、ヨーロッパで唯一、ほとんどクレーコートがなく、ウインブルドンに代表される天然芝や、日本同様人工芝コートが非常に多いことが大きな理由です。
天然芝のコートをテニスの中心に考えているのか、ハードコートもバウンドが低く、速いコートが多いと感じます。そのため、スピンボールでストロークするメリットが少なく、フラットなボールで速く展開していくスタイルが有利になるわけです。
日本人にはスライスや滑るタイプのバックハンドをうまく打つ選手がいますが、イギリス人も低いバウンドのボールを扱うのが巧みで、日本人と似ています。これはコートサーフェスの影響に他なりません。
ただし、体格には違いがあり、イギリス選手はより早く攻撃的に展開し、短くポイントを終わらせる傾向が強いですね。
アメリカ人選手も速い展開を得意にしますが、これもやはりハードコートが主流である影響が大きいと言えます。また、アメリカ人はより個性的な打ち方や独創的なテニスをする選手が多く、これは間違いなくアメリカという国の“多様性を許容する文化”だと感じます。
世界の国々を見回すと、一番攻撃的なのは東欧の選手でしょう。フラット系の強いボールで攻めていく傾向が強いと思います。これは彼らの大柄な体格、そしてインドアの速いハードコートやカーペットコートでプレーする機会が多いことが背景にあります。
文●市川誠一郎
〈PROFILE〉
1984年生まれ。開成高、東大を卒業後ゼロからテニスを始め、32歳でプロ活動開始。36歳からヨーロッパに移り、各地を放浪しながらITFツアーに挑んでいる。2023年5月、初のATPポイントをダブルスで獲得。Amebaトップブロガー「夢中に生きる」配信中。ケイズハウス/HCA法律事務所所属。
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