■出版業でも活躍!メインでもサブでも光るパク・ジョンミン

近年、映画の中で気になるキャラクターは、パク・ジョンミンが演じていることが多かった。特に、彼の存在が焼き付いたのは、『密輸1970』(23)のドリという役である。クセモノだらけのこの映画の中にあっても、インパクトの大きいキャラクターであったし、私の中では、主人公を演じたキム・ヘスと同じくらい、パク・ジョンミンの顔が思い出されるのである。その後、彼が『別れる決心』(22)で追い詰められる犯人のホン・サノであったことに気付いてびっくりした。『ハルビン』(24)でも活躍していた。2025年に日本で公開された、セウォル号沈没事故を題材にした映画『君と私』(22)にも出演。ここでも、素なのか演技なのかわからない役でインパクトを残していた。なんでも本作の監督でもあり俳優としても活躍しているチョ・ヒョンチョルとは学生時代からのつきあいで、共に映画を学んでいたのだと言う。しかも、パク・ジョンミンはエッセイも書いており、「疎外されたものたちのスピーカーになりたい」という理由から、出版社も立ち上げ、来日もしていた。こうした芸術活動をしている人が、今後の映画界も盛り上げるのだろう。韓国映画も次のフェーズに入っていくのだなと思えるのだ。
(映画ライター・西森路代)
2025年はパク・ジョンミンの年だったと言っても過言ではない。大半の時間を俳優業以外に費やしたのにもかかわらず。まず俳優としての活躍から言えば、2024年末に韓国で公開された映画『ハルビン』でヒョンビンが演じた主人公の安重根(アン・ジュングン)と共に祖国独立のために命がけで戦う同志として、重みある演技で引き立てた。さらに映画『顔(原題:얼굴)』では、一人二役で視覚障がい者の息子と、父の若かりし日、つまり視覚障がい者も演じ、パク・ジョンミンの映画と言ってもいいほどだった。常に難役に挑戦してきたが、今回もしかり。実はパク・ジョンミンの父親が視覚障がい者で「演じてみてやっと父の気持ちが理解できた」と語っていた。俳優業を一時休んだのは自ら代表として率いる出版社MUZEの仕事に専念するためで、本を読めない父がきっかけでオーディオブックに力を入れた結果、それが大当たり。さらに青龍映画賞の授賞式でMAMAMOOのファサの祝賀ステージにコラボ出演したので人気に火が付き、その勢いで12月開幕の舞台「ライフ・オブ・パイ」の熱演も絶賛を浴びた。とことん魅力の尽きない俳優だ。
(映画ライター・成川彩)

主演でもすばらしい活躍を見せるパク・ジョンミンをバイプレイヤーに数えるべきかは悩ましい…でも2025年は助演で光る作品で目を引くものが多かった。『ハルビン』(24)での力強い同志ウ・ドクスンの渋さも光ったが、個人的に印象深いのは『君と私』(22)での“ストーカー男”。監督を務めたチョ・ヒョンチョルと高校時代からの友人という縁で出演したそうだが、女性の嫌悪感を絶妙に誘う勘違い男の解像度が高く、さすが演技の神だと唸らされた。もちろん本人は知性を持ったナイスガイ。11月に開催された第46回青龍映画賞でファサが「Good Goodbye」を披露した際は、MVに出演したパク・ジョンミンも一緒にパフォーマンス。そのロマンティックなムードは格別で、視聴者をことごとく恋の沼に引きずり込んだのも記憶に新しい(もちろん私も未だに抜け出せていません)。来年は新作『顔』の日本公開も控えている。出版社の社長との二足のわらじを履きながらの活躍、まだまだ期待値は上がり続けている。
(映画ライター・荒井南)
■『しあわせな選択』で夫婦役を演じるイ・ソンミン&ヨム・ヘラン
すでに韓国を代表する名バイプレイヤーの二人だけど、北米などでは年末、そして日本では3月に公開になるパク・チャヌク監督の『しあわせな選択』(3月6日公開)では、誰もが彼らの怪演に注目することになるでしょう。チョー・ヨンピルの「赤とんぼ」が流れるなか、イ・ビョンホンとこのカップルが繰り広げる壮絶かつ抱腹絶倒のあのシーンでは、ヴェネチア国際映画祭のプレス・映画業界向け試写中に大拍手が起きていました。

イ・ソンミンは、『ソウルの春』(23)や『ハンサム・ガイズ』(24)、「財閥家の末息子~Reborn Rich~」と出る作品ごとに「これがベストなんじゃないだろうか?」を更新し続けるカメレオン俳優。彼が出演する作品にハズレなし、まさに“信じて観る俳優”です。Netflixのドラマシリーズ「おつかれさま」の母役も素晴らしかったヨム・ヘランは、キム・ジウン監督の新作『The Hole(英題)』にも「イカゲーム」のチョン・ホヨンやクリスチャン・スレーターと出演。おそらくどこかの映画祭で上映されると思うので、2026年も国際的な注目を集めることになりそう。
(映画ジャーナリスト・平井伊都子)

2019年のドラマ「椿の花咲く頃」以降、毎年演技賞を受賞し続けているヨム・ヘラン。2025年もNetflixドラマシリーズ「おつかれさま」で百想芸術大賞と青龍シリーズアワードで助演女優賞を受賞。主人公エスンの母である済州島の海女を演じた。どうしようもなく貧しいなか、女手一つで子ども3人を育て、若くして病気で亡くなる役だったが、なんとか子どもを生かそうとする強力な母性はエスンに引き継がれ、ドラマ全体を貫くパワーとなった。パク・チャヌク監督の『しあわせな選択』でもまた個性的なキャラクターで、イ・ソンミンと共に笑いと緊張感を同時に与えてくれた。イ・ソンミンはイ・ビョンホンが演じる主人公マンスの再就職のライバル役として登場し、ヨム・ヘランはその妻役。この3人の運命は奇妙に絡み合って、ハイライトシーンを彩った。2026年は済州島の虐殺事件(済州4.3事件)をモチーフとした映画『私の名前は(原題:내 이름은)』で主人公を演じる。ついに主演賞に輝く年となるかもしれない。
(映画ライター・荒井南)
■親近感の湧くキャラクターを演じる視聴者の“心の隣人”イ・ボンリョン

「2025年に見たドラマのなかで最も好きなキャラクターは?」と聞かれたら、「『いつかは賢いレジデント生活』のソ・ジョンミン教授!」と答える。自分のことしか考えない新人医師たちを、厳しく温かく、チャーミングに指導し、いつの間にか一人前にしてしまった彼女は本当に魅力的だった。「おつかれさま」では、主人公の娘が一酸化酸素中毒で運び込まれる病院の看護師役で特別出演。セリフはほとんどないが、若い恋人たちに対する感情を表情と体の動きで巧みに表現し、笑いを誘った。
(映画ジャーナリスト・平井伊都子)
■名ドラマにキム・ソニョンあり!どんなに小さな役でもキャラクターの人生の重みを感じさせる

“この人が出ていれば磐石”というバイプレイヤーが韓国には何人もいるけれど、間違いなくキム・ソニョンはその筆頭格だ。「トラウマコード」「コンフィデンスマンKR」でのクセが強いキャラもインパクト大だったが、 「告白の代価」で演じた女性刑務所のチンピラ風なボスキャラは、そこまで出演シーンが多くないにもかかわらず確実に爪痕を残した(ちなみに彼女の悪口だらけのセリフはほぼアドリブだったらしい)。しかしキム・ソニョンの真価は、余韻を残す深い演技。特に忘れがたいのは、パク・ボヨン扮する双子の姉妹ミジとミレの生き方をめぐるヒューマンドラマ「未知のソウル」で見せた、姉妹の幼なじみ・ホスの母ブノン役。ブノンはホスの実母ではなく継母で、自身の家族や周囲から反対されたり偏見を受けながらも、耳に障がいを持つホスに愛情を注いで育ててきた。苦しみを見せることなく明るくふるまってきた彼女がたった一度見せた悲しみを必死にこらえるシーンと、姉妹の母で長年の友人オクヒとの不器用ながら暖かな友情を感じさせるシーンは本作屈指の涙を誘う名場面として大きな感動を呼んだ。2026年も多くの作品でキム・ソニョンの顔を見たい。
(映画ライター・荒井南)
■“キム・ゴウンのマブダチ”から脱却!マイルドな笑顔に隠された、ワイルドな実力派イ・サンイ

ミュージカル、ドラマ、映画、さらにはバラエティまで――ジャンルを横断して活躍する、まさしくオールラウンダー。かつては「キム・ゴウンさんのマブタチ」という印象が強かった彼ですが、気づけば、私が観るドラマ、観るドラマにいる(笑)。昔観ていた作品も実は名前がクレジットされていた…なんてことも数知れず。取材で作品選びのポイントを問われ、「自分がおもしろいと思う作品を選ぶ」と語っていたのを見ると、私たち趣味が合うのかも(笑)。今では画面にイ・サンイさんが出ると「パンガウォ(会えてうれしい)」とつぶやいてしまいます。彼の俳優としての魅力は、演技力はもちろん、キャラクター選びの上手さ。映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』(24)ではラストで“マブタチ”キム・ゴウンさん演じるヒロインと結婚式を挙げる役で思わず歓喜。「損するのは嫌だから」の軽快なコメディ演技も大好きで、「社長のお品書き」ではその高い歌唱力にびっくり。「ブラッドハウンド」ではボクシング選手役として、引き締まった細マッチョボディも見せてくれ、作品ごとにエンターテイナーとしてのポテンシャルを見せてくれるのです。ちなみに、軍人(素人)時代に仲間と特技披露番組に出演した時のオーラも格違いでした。今年は、パク・ボゴムさんと美容室運営に挑戦したり、日韓合同制作の音楽番組で歌声を披露したりと、バラエティ分野でも話題を提供。これからも芸能界を縦横無尽に駆け回り、私たちを楽しませてくれそうです。
(映画ライター・酒井絵美子)
■作品の完成度を上げる、韓国インディーズ映画界の至宝イ・サンヒ

ここ数年の出演作を振り返ると、イ・サンヒの2026年もまた、堅実な活躍が期待される。2010年の映画『視線(原題:시선)』でデビューして以来、インディペンデント映画を中心にキャリアを積み重ねてきたイ・サンヒ。感情を強く押し出すのではなく、登場人物が置かれた状況のなかでどんな選択をし、どんな態度を取るのかを丁寧に描く演技で、確かな存在感を築いてきた。彼女の演技は、場面を支配するタイプというよりも、物語の流れを自然に保つことに長けている。そのため主役の物語を邪魔することなく、登場人物の立ち位置をはっきりと印象づけることができる。テレビドラマに活動の場を広げてからも、そのスタンスは一貫している。「ミストレス」「ライフ」「ある春の夜に」「検事ラプソディ~僕と彼女の愛すべき日々~」「半分の半分」などでは、物語を牽引する主役というより、現実的な判断を重ねながら物語の軸を支える役柄を数多く演じてきた。派手に感情をぶつけるのではなく、セリフの間や視線、人との距離感といった細部で人物を表現するイ・サンヒ。その演技は、ジャンルや出演分量に関係なく、作品の完成度を確実に支えている。
2025年には、ディズニープラス「北極星」、Netflix「広場」と「ザ・リクルート」シーズン2、SBS「わたしの完璧な秘書」、Wavveオリジナル「Sライン」など、配信サービスや作品のタイプを問わず幅広く出演し、どんな現場でも安心して任せられる俳優であることをあらためて印象づけた。こうした流れを踏まえると、イ・サンヒは2026年も、作品が求める役割を的確に担いながら、全体の完成度を底上げする俳優として、引き続き多くのオファーを受ける存在であり続けるだろう。
(映画ライター・柳志潤)
