日本のファンにとっても馴染み深いレーシングドライバーであるジェンソン・バトンは、今季限りでWEC(世界耐久選手権)を引退。彼が語る今後のプランからすれば、今週末のWEC富士は日本でバトンのレースが見られる最後の機会かもしれない。
F1ではホンダのドライバーとして活躍したあと、2009年にブラウンGPでチャンピオンに輝いたバトン。F1を離れたあとは日本のスーパーGTにも参戦しGT500王者となると、その後は主戦場を耐久レースに移した。現在はハーツ・チームJOTAで38号車のキャデラックVシリーズ.Rをドライブする。
そんな彼は家族との時間を重視するため、今季限りでWECを去ることに。ヒストリックカーレースや、NASCARへの参戦には意欲を見せているが、そうなるとおそらく日本で彼のレースが再び見られる可能性はとても低くなるだろう。
「僕自身、日本で多くの素晴らしい経験をしてきた。F1で16年間、スーパーGTで数年間、そして2018年とここ数年はWECでレースをしてきた」
WEC富士の金曜記者会見に出席したバトンは、馴染み深い日本についてそう語った。
「日本に戻ってくるのはいつも楽しいよ。この国はモータースポーツのファンが非常に多くて、みんなとても熱心だ。間違いなく、日本でレースをするのが恋しくなるだろうね」
「でも人生には進むべき時がある。今は家族が最も大切なんだ。WECには多くの時間を注ぐ必要がある。クルマは非常に複雑だし、裏方での作業に多くの時間と労力がかかる。寂しく思うけど、人生にはこれからも多くの挑戦と達成すべきことが待っているんだ」
WEC富士の金曜記者会見には、地元の小学生が招かれドライバーたちに質問するのが恒例となっている。オフの日に何をしているかと質問されると、バトンはまさに見事な子煩悩パパぶりを見せた。
「僕には君たちより少し年下の子どもがふたりいるんだ。6歳と4歳で、毎日その子たちを追いかけ回すのに忙しいんだ。それが僕の人生の中で最もストレスフルで、大変なことかもしれないね!」
またバトンはポルシェからキャデラックに乗り換えた今季のチームの進歩を賞賛。富士でも好結果を期待していると意気込んだ。
「キャデラック・ハーツ・チームJOTAがこれほど短期間で成し遂げたことは本当に素晴らしいよ。マシンを切り替える移行期間は本当に大変だった。ほとんど同じように見えても、全く異なる方法で機能しているんだ」
「でもシーズンを通じてクルマを大きく改善できた。ブラジルではチームでワンツーフィニッシュできたし、前のレースでもスピードがあった。ポジティブな気持ちでここに来たし、良い結果を期待している」
「富士は、クルマの挙動という点で誰にとっても奇妙なサーキットなんだ。あまりペースが上がらず、あちこちでスライドしているように感じても、みんな同じ状況だったりする。慣れるのが簡単じゃないコースだ」
「でも僕たちはペースを見つけられると思う。素晴らしいチームだし、2年間その一員でいられたことを誇りに思う」

