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トミイチ守護神、サッカー人生最後の一日。卒業後は地元の企業に就職「今日みたいな試合を思い出して頑張っていこうと思います」【選手権】

トミイチ守護神、サッカー人生最後の一日。卒業後は地元の企業に就職「今日みたいな試合を思い出して頑張っていこうと思います」【選手権】


[高校選手権・3回戦]大津(熊本)2-1 富山第一(富山)/1月2日/フクダ電子アリーナ

 2年ぶりの選手権出場を果たした富山第一は、サッカー小僧が揃っている年代だった。

「振り返ったら、彼らは学校で何度も先生に叱られてきたし、僕も叱ってきた。遠征先で脱走していくやつもいた。だけど、純粋にサッカーが大好きで、僕らに厳しいことを言われても食らいついてきた年代。トミイチらしい選手たちだったと思います」

 そう振り返るのは加納靖典監督。サッカーとの向き合い方について指摘することは多かったが、プレー面については細かく口を出さず、選手自身がアイデアを出し、色んな工夫をしながら成長していった選手が多かったという。

 成長していった選手の筆頭として指揮官が挙げるのは、今大会でゴールマウスを守ったGK堀川昇栄(3年)だ。カターレ富山U-15時代から身長が高く、JFAエリートプログラムやナショナルGKキャンプに選ばれてきた世代屈指の有望株。当然のように富山U-18への昇格を打診されたが、選手権出場という夢を叶えるため富山第一への入学を決意した。

 しかし、入学してからの道のりは平坦ではなかった。彼の代はGKが豊作で、公立中学出身ながらも190センチの身長と身のこなしの軽さを備えたGK魚住陸斗(3年)、シュートセーブとコーチングが売りのGK十二隆太朗(3年)という実力者が揃っていた。夏のインターハイまでは魚住と十二の評価が高く、堀川は3番手だったが、「試合に出られない悔しさはあったのですが、チームのために応援や手伝いをしてきた」。

 トレーニングではメンタルや技術など自らに足りない部分を磨いてきた。「自分に足りない部分を自主練で伸ばしていくうちに、自信を持ってプレーできるようになった。そうしてメンタルを強くしていった結果、大舞台でも堂々とプレーできるようになった」。
 
 そうした取り組みの成果が出たのは、3回戦の大津戦だったと言えるだろう。プリンスリーグ北信越2部の富山第一に対し、大津はプレミアリーグWESTに所属。かつ夏のインターハイでは準優勝を果たし、今大会も上位候補に挙げられるチームだ。

 押し込まれる展開が予想されるなか、「自分を中心に後ろからしっかり声を掛け合って、守備で耐えようと思っていた」と振り返る堀川は、積極的にゴール前に飛び出す選手を捕まえるため、マークを確認する声掛けを絶やさなかった。

 相手に隙を与えない堅守によって無失点で試合を進めると、後半27分にはFW山田聖心(3年)が先制点をマーク。31分にはDF村上慶(3年)にヘディング弾を決められたが、39分には絶妙なコースに跳んだMF福島京次(3年)のミドルシュートを好反応でセーブ。40+2分には村上のサイドチェンジからDF開地心之介(3年)に打たれたシュートも「味方があそこまで詰めてくれていたから、止めやすかった。これが決まったら僕の責任だと思っていた」と枠からかき出した。

 堀川の奮闘により、危ない場面が続いても同点を維持できていた。だが、アディショナルタイムの4分を過ぎ、PK戦が目前に迫ったタイミングで、味方の選手がMF岩﨑天利(3年)を倒してしまい、PKを献上。事前の分析が当たって、FW山下虎太郎(3年)が蹴ったキックの方向に堀川が跳んだものの、わずかに届かず涙を飲む形となった。
 
 185センチ、80キロというガタイの良さはGKとしての素質十分。控えでも腐らず正守護神まで駆け上がったメンタルも魅力的だ。将来性を期待する人も多かったが、「サッカーは好きですが、高校できっぱり辞めようと思った」と話す堀川は高校卒業後、地元の企業に就職し、スパイクを脱ぐため、この日が彼のサッカー人生最後の一日となった。
 
 悔しい最後となったが、「サッカーを始めたのは4歳ぐらい。小学6年生まではフィールドをやっていたけど、キーパーを勧められた。最初は嫌だったけど家族のことを考えたら、キーパーで良い選手になろうとこれまで頑張ってきた。辞めたい時もたくさんあったのですが、家族の声や支えがあったから腐らなかった。サッカーはすごく楽しかったです」と口にする彼の表情から未練は感じられなかった。

 酸いも甘いも経験した14年間のサッカー人生は、これから社会人に出た時に必ず役立つだろう。「社会に出たらメンタルをやられる時があると思うんです。でも、そうした時は高校サッカーの今日みたいな試合を思い出して、これから頑張っていこうと思います」。

取材・文●森田将義

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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