そこで、MOVIE WALKER会員向けに「4K作品」にまつわるアンケートを実施。2025年にスクリーンを彩った名作のなかで、特に映画ファンの心をつかんだのはどの作品か。それぞれの作品に寄せられたコメントを紹介しながら、今後4Kでの復活が控えている・期待されている作品もあわせてチェックしていこう。
■異例の大ヒットを記録中!『落下の王国 4Kデジタルリマスター』

まずは2025年11月21日に公開された『落下の王国 4Kデジタルリマスター』(公開中)。1990年代からMV界でその名を轟かせ“映像の魔術師”と称されたターセム監督の長編第2作である本作は、大怪我で入院したスタントマンの男が病院で出会った少女に語る壮大な寓話が描かれる。オスカー受賞経験のある石岡瑛子による衣装デザインと、世界各地の世界遺産でのロケ撮影など、4Kの高精細な映像で観るのにはうってつけの一本。
そんな本作の4Kリマスター版が、映画ファンから熱い支持を集めたのにはもう一つ大きな理由がある。2008年にシネスイッチ銀座をはじめとしたミニシアターで公開された本作は、レンタルDVDやレンタルBlu-ray化がされたものの、セル用ソフトは廃盤。再上映の機会もなければ、動画配信サービスなどでも一切配信されておらず、レンタルビデオ店が姿を消しつつある現在では鑑賞機会が極めて少ない“幻の映画”となっていたからだ。

そのためアンケートでは、本作を劇場で観るのは初めてだという声はもちろんのこと、作品自体を4K版公開のタイミングで初めて知ったという人もいたほど。43館からスタートした上映は、口コミで反響が広がり100館まで拡大。壁掛け可能な劇場用パンフレットも話題を集め、興行収入は12月15日時点で2億円を突破。初公開時の興収を倍以上も上回る、再上映としては異例の展開を見せている。
「以前から観たかった作品で、満を持して4Kリマスターで映画館で観れて、本当に素晴らしい体験でした。権利関係などのこともあり、観られるチャンスが極端に少ない伝説の映画でしたが、このタイミングになったのは、一番素晴らしい形で、一番いい時期に観られるためだったのでは?と運命を感じるくらい」
「もともと色彩美が際立つ作品だが、4Kによって質感が驚くほど鮮明になり、砂漠の光や衣装の細かい刺繍までも“見える”体験だった。スクリーンで観た時に、まるで絵画の中に入り込んだような没入感があり、4K上映の恩恵を強く感じた」
「レンタルDVDで見たことはあったものの、あの映像美はスクリーンで観たいなと思っていたし、映画館の音響で体感できたらどんなに良かったかと何度も思ってきた作品でした。その願望が4Kリマスターという最高の形で実現されたので、製作に携わる全ての人に、そして公開してくれた劇場に声を大にして感謝を伝えたいです」
■青春時代を思い出す人が続出の『リンダ リンダ リンダ 4K』

多くの場合、公開当時の本来の状態を復元することが目指される4Kリマスター。フィルム上映とデジタル上映の違いがあっても、映画館で懐かしい作品と再会するだけで“あの頃”の思い出がよみがえってくるという人も少なくないだろう。
8月に公開20周年を記念して上映された『リンダ リンダ リンダ 4K』(2026年1月21日Blu-ray発売)は、まさに公開当時に青春時代を謳歌していた30代以上の映画ファンから熱い支持を集めた一本。公開前夜祭には韓国からペ・ドゥナも駆けつけ、前田亜季と香椎由宇、関根史織(Base Ball Bear)による劇中バンド“パーランマウム”が20年ぶりに再集結したことでも話題を集めた。

「冒頭から、おそらく懐かしさ、戻れない/戻ることのない、あの時代を思い出し、涙を流しながら観ました」というコメントからもわかる通り、当時とまったく同じ気持ちで楽しむだけでなく、大人になった視点でまた異なる作品の見方ができるというのも、青春映画の4K版ならではの楽しみ方だ。
■押井守が手掛けたアートアニメの傑作『天使のたまご 4Kリマスター』
発売当時に劇場公開された押井守監督の伝説のOVA作品『天使のたまご』は、35ミリフィルムの原版から4Kリマスターが施され『天使のたまご 4Kリマスター』(公開中)としてスクリーンに再降臨。

水に沈んだ都市を舞台にした幻想的な世界観と、独創的なアニメーション表現を大画面で味わうまたとない機会として、押井監督ファンやアニメファンを中心に大反響を獲得。公開から10日間で動員1万5000人&興収3700万円を突破し、日本と同タイミングで北米でも公開。1億円を超える興収を記録している。
「ずっと気になってた作品なのですが、今回、はじめて観ることができました。押井監督らしい当時ならではの前衛アニメ作品が4Kで復活。なんでもかんでも説明してしまういまの時代の作品に飽きた人、アートを求める人にはぜひとも観ていただきたい」
「内容と絶妙なバランスの素晴らしい映像で、まさに劇場で観て良かったと感じた一本。解釈は観た人それぞれってところも最高でした」
■2026年も注目の“4K版”が続々公開!

2026年も年明けからさまざまな名作・隠れた傑作の4K版再上映が控えている。早逝の天才・今敏監督の怪作の公開20周年を記念した初のリバイバル上映となる『パプリカ 4Kリマスター版』(公開中)や、ホラー映画史にその名を刻む傑作の公開50周年を記念した『悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター 公開50周年記念版』(1月9日公開)。
さらにはダーレン・アロノフスキー監督とジャレッド・レト、名女優エレン・バーステインがタッグを組んだ、2000年公開の衝撃作『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』(2月6日公開) 。2000年代前半に社会現象を巻き起こした韓国ドラマ「冬のソナタ」をスクリーンで堪能できる『映画 冬のソナタ 日本特別版』(3月6日公開)など、多種多様なラインナップが控えている。

また、アンケートで「今後、4K版で劇場鑑賞したい作品」を募ったところ、『エクソシスト』(73)や『悪魔のはらわた』(73)、『ゾンビ』(78)、『ファイナル・デスティネーション』(00)など、ホラー作品を挙げる声が多数寄せられていた。やはり“目を背けたくても背けられない”大画面と“音”で迫ってくる映画館は、ホラー映画を味わうのに絶好の環境なのだろう。
そして冒頭で触れた『もののけ姫』の影響なのか、『天空の城ラピュタ』(86)や『千と千尋の神隠し』(01)などのスタジオジブリ作品の4K化を求める声もちらほら。テレビでは頻繁に放送されているものの、配信はされておらず、劇場で再上映される機会もほとんどないジブリ作品。4Kリマスター化されれば、また次の世代に受け継がれるきっかけとなるはずだ。

はたして、2026年はいったいどんな映画がスクリーンに帰ってきてくるのか。今後も4K作品情報から目が離せない!
文/久保田 和馬
