幸いにも7月5日に大災害は起こらなかったわけだが、“予言”がある種のエンタテインメントとして機能しているのは明らか。1973年発刊の五島勉著「ノストラダムスの大予言」が当時大ベストセラーとなったのはその好例で、ノストラダムスによる「1999年7の月に恐怖の大王が来る」という予言は当時、一大センセーションを巻き起こし、1974年には特撮映画『ノストラダムスの大予言』として映画化もされたのだから、これはもう立派なエンタテインメントだ。実は、予言は映画の題材としても頻繁に取り上げられるので、そんな作品を紹介していこう。
■古代マヤ暦をもとに世界の滅亡を映画化した『2012』
まずは『インデペンデンス・デイ』(96)、『デイ・アフター・トゥモロー』(04)の破壊王ローランド・エメリッヒが放った定番のスペクタクル『2012』(09)。2012年に世界が滅亡すると解釈できる古代マヤ暦をもとにして、大規模な地殻変動による文明の崩壊と、そこからのサバイバルを描きだし、巨大な地震や津波による都市崩壊の迫力ある映像で観客を大いに慄かせた。現代でこれが起きた時、人間は“ノアの箱舟”に乗って生き延びることがでるのだろうか!?
■人類滅亡に直面した人々を描くニコラス・ケイジ主演作『ノウイング』
ニコラス・ケイジ主演の『ノウイング』(09)もノアの箱舟を意識した予言映画。50年前に小学校の校庭に埋められたタイムカプセルの中から、数字の羅列が記された紙片が見つかる。ケイジ扮する宇宙物理学者は、これが過去50年に起きた事故や災害を言い当てた予言であり、近い未来に訪れる大惨事が書かれていることも突き止める。そして、そこに記された最後の予言は、まさに人類の滅亡だった!本作の元ネタは旧約聖書の預言書で、そこからの引用も多い。話は少し逸れるが、ケイジは『NEXT ネクスト』(07)で、“2分先”を予知するという小ぶりの預言者を演じていたこともある。

■デミ・ムーア演じるヒロインが世界滅亡を阻止するため奔走する『第七の予言』
デミ・ムーアが主演した『第七の予言』(88)も、聖書をアイテムとして生かしたオカルトスリラー。こちらは新約聖書のヨハネの黙示録をモチーフにしている。世界中で異常気象が発生するなか、物静かで謎めいた男に部屋を貸した妊婦アビーが、彼の持ち物から世界滅亡の予言を記した紙を発見。黙示録の通り、世界は本当に滅んでしまうのか?そして、その鍵を握るのはアビーのお腹の中の赤ん坊だった!荒唐無稽な展開ではあるが、こちらもゾクゾクさせられる。

■予言に振り回されるのではなく、エンタテインメントとして割り切ることが大事
これらの映画を観て気づくのは、映画で描かれる予言は人類滅亡や世界滅亡といった終末論が多いこと。そして、映画の分野では、それがホラー的な恐怖発生装置として機能している。とはいえ科学的な根拠があるわけではない。実際、エメリッヒ監督は『2012』について、これはあくまでエンタテインメントであり、科学者が見たら笑ってしまうだろうと語っている。

近年の酷暑に地球温暖化の影響が見て取れるし、世界情勢も悪化している。滅亡の予言は、そこから発生するものを言い当てているのかもしれない…。不安な世の中ではそう信じたくなるのも無理はない。

しかし先に述べたとおり、予言はエンタテインメントでもある。安易なミームに踊らされるより、進んで踊るほうが楽しい。予言に反して、世界は1999年も2012年も、そして2025年も破滅を免れた。2026年も、大災害が現実にならないことを祈りつつ、振り回されない強い心を持ってみてはいかがだろう。
文/有馬楽
