
2025年12月の「冬コミ」会場となった東京ビッグサイト(以下すべて筆者撮影)
【画像】「えっ、そんなに」「いつ入れたんだ」これが昨年末「冬コミ」会場周りの異様な混雑ぶりです(7枚)
まるでコロナ禍前のコミケのような賑わい
2025年12月30日から31日にかけて、東京ビッグサイトにおいて今回で50周年を迎えた国内最大の同人誌即売会「コミックマーケット107」(以下、C107)が開催されました。夏に開催されたC106を5万人上回る、両日合わせてのべ30万人が参加した現場の様子はどうだったのでしょうか。
人の川、人の波、人の海。
今回のC107を表現するならこのような言葉になるでしょうか。まるでコロナ禍前のコミケが帰ってきたようでした。好天にも恵まれ、気温も高かったため薄着のコスプレイヤーからも「今日は全然寒くないです」との声が出るほどで、寒さよりも水分不足を警戒しなければならなかったのは冬のコミケとしては珍しい状況だったのではないでしょうか。
なぜC107は混雑したのか。それは3つの理由が考えられます。まずひとつには東館の1~3ホールが工事中で使えなかったため、スペースが限られていた点です。ビッグサイトそばのTFTビルをコスプレイヤーの着替え場所として確保するなどの工夫が見られましたが、それでもスペースの不足感は否めませんでした。
この問題は2028年3月には解消予定となっていますが、もはや東京ビッグサイトの規模ではコミケを受け止めきるには足りないと感じられました。交通の便を保ちつつ、より大きなスペースを確保できる施設は現時点では見当たらないため、完全な問題解決は難しいでしょう。
ふたつ目としては、参加者の滞留時間が長かったことがあります。以前のコミケであればサッと入って目的のものを手に入れたらすぐ帰る方も多かったのですが、今回は長く会場にとどまる人が多数見られました。これはおそらく、入場費用の高騰化により「長く楽しみたい」「元を取りたい」と考えるようになった人が増えたという理由に加え、単純に混みあっていたため移動や買い物に時間がかかってしまったという点も挙げられるでしょう。

混雑する「冬コミ」会場の様子
「夏」に備える対応が急務?
3つ目は酷暑のなかで開催される夏コミを避けて、冬コミを楽しみにしていた人の存在です。ご存じの通り、近年の夏は日中の気温が35度を超えるのが当たり前の状況となっており、体調面を考慮して参加を見送るサークルも出ています。コミックマーケット運営が公開している2025年夏に開催されたC106のレポートにも、参加者が外で並んでいるときに熱中症で倒れ、頭を打って緊急搬送された事例があると記されていました。
運営側も瞬間冷却剤を約3万個配布し、東8ホールを臨時の休憩所とするなど、できる限りの対応を行っていますが、近年のコミケ参加者は年齢層が高くなっているように感じられ、熱中症のリスクを考えて夏の参加を見送り、冬に備えてお金を貯めておいた……という人も一定数いたのではないでしょうか。
2026年8月に開催予定のC108は、今回とは反対側の東館の4~6ホールが工事のため使えない状態で開催されます。もし今回と同じような混雑が発生してしまうと、かなりまずいことになるかもしれません。
さらに、2025年12月にはコミケ開催50周年という節目を迎えたことで、今後に向けて気合を入れている関係者や参加者も多いはずです。
ファンの熱意が込もった二次創作や、アダルティなもの、ニッチな専門誌まで、多くの同人誌が一堂に揃うイベントは、コミケをおいて他にはありません。色とりどりの衣装に身を包んだコスプレイヤーや、数多くのグッズを取りそろえた企業ブースだけでなく、「ヌートリアの毛皮」まで頒布されているコミケは、日本という国が持つ多様性を形にした世界と言えます。
この貴重な場を守るために、2026年の夏に開催されるC108は、コミケを愛するすべての人がいっそうの注意を払っていく必要があるでしょう。C108は、多くの人の愛が試される場所となるのかもしれません。
