
逃げ切れば大金、捕まれば即死という命懸けのリアリティショーに参加することになった男の奮闘を描く本作は、1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演の『バトルランナー』として映画化済み。そんな『バトルランナー』といえば個性豊かなポンコツハンターこそ最大(?)の魅力!ということで、ここで愛しのヴィランたちを振り返っていきたい。
■ディストピア化したアメリカでは残酷なテレビショー「ランニング・マン」が人気に

世界経済の破綻によって貧富の格差が広がり、テレビも管理される独裁政権のディストピアとなった2017年アメリカ。凶悪犯を狩りの獲物“ランナー”として放ち、“ストーカー”(=ハンター)がそれを処刑する様子を楽しむ残酷なテレビショー「ランニング・マン」が人気を博していた。
警官のベン・リチャーズ(シュワルツェネッガー)は、パトロールの最中に「暴動者を排除せよ」という命令を無視したため、無実の罪を着せられ強制労働所に収容されてしまうが、労働所でレジスタンスたちと結託し、脱獄。しかし再び警察によって捕らえられると、その身体能力に目をつけたテレビプロデューサー、デーモン・キリアン(リチャード・ドーソン)の企みによって「ランニング・マン」に出演させられることに…。
■氷上で敵を切り刻むアイスホッケースタイルの“サブゼロ”

様々なステージが待ち受ける「ランニング・マン」に挑むことになったベンとその仲間たちがまず立ち向かう第1のストーカーが、プロフェッサー・トオル・タナカが演じた“サブゼロ”。氷点下を意味する名前が示すとおり、氷上をフィールドに戦うアイスホッケー姿の悪党だ。
開戦を告げる銅鑼をも真っ二つにしてしまう刃付きホッケースティックを武器に、これまで30人以上を氷上で切り刻み“刺身”にしてきたと紹介されるサブゼロ。パックを打ってぶつけたり、巨体でタックルしたりとアイスホッケースタイルで立ちはだかる。
レジスタンスのハッカーであるハロルド(マーヴィン・J・マッキンタイア)をドリブルしゴールに叩き込んで遊ぶ余裕を見せていたが、自慢の刃をことごとくかわされると、最後はベンによって有刺鉄線で首を絞められジ・エンド。トップバッターにふさわしい最高のかませ犬っぷりを見せてくれた。
■チェーンソーで戦ってればよかったのに…“バズソー”
確実にベンを仕留めたい番組側によって2人同時に放たれた続いてのエリア。そのうちの1人、第2のストーカーが“バズソー”(ガス・レスウィッシュ)だ。
バズソーは電動丸鋸という意味のとおり、特殊加工したチェーンソーで骨や肉だけでなく鋼鉄すら切断する某ホラーアイコンを彷彿とさせる男。バイクに跨りチェーンソーを振り回しながら襲いかかり、ベンと共にゲームに送り込まれたウィリアム(ヤフェット・コットー)を斬りつける活躍を見せたバズソーは、エンタテイナーとして色気づいたのか、もう一つの武器であるワイヤー投げ縄まで駆使する大サービスを見せてくれる。
ベンをバイクで引きずり回すバズソーだったが、機転を効かせたベンがワイヤーを鉄骨に絡ませたことで、バイクから投げだされて、その後は腕力勝負に。巨体を誇るバズソーだが、ベンには敵うわけもなく、最後は自身のチェーンソーによって股の間からざっくりと裂かれることになった。
■クリスマス電飾変態美声ぽっちゃり男“ダイナモ”
そして同時に放たれたもう1人が、ぽっちゃりボディに豆電球が発光するヘンテココスチュームを纏った“クリスマスツリー野郎”こと“ダイナモ”(アーランド・ヴァン・リドス)だ。
発電機の意味を持つダイナモは電気を操ることができ、電撃が最大の武器。ゲームに巻き込まれた女性アンバー(マリア・コンチータ・アロンゾ)を真っ先にねらい、改造車バギーに乗りながら、謎にオペラを歌い美声を響かせながら電撃を浴びせてくる“卑怯者+変態”という屈指のヘンテコストーカーだったが、車が横転してしまうと命乞いする始末。
無抵抗な者は殺さない(でも抵抗してくる者は必要以上に残酷に殺す)主義のベンから見逃されるが、終盤に再び登場すると、激キモな死に様でクライマックスを盛り上げてくれた。
■自分までも燃やし尽くす炎の魔術師“ファイアーボール”
かろうじでウィリアムを殺しただけというへっぽこストーカーたちのなかで、第4の男として登場するのが、火炎放射器をぶっ放しながら客前に現れ、ジェットパックで飛び去っていくクールな登場が目を引く“ファイアーボール”(ジム・ブラウン)。
耐火スーツを着ているのか、燃え盛る炎のなかも知らん顔で歩くなど、これまでのストーカーたちとは異なる貫禄を放つファイアーボールは、自分が行っていたある秘密を知ってしまったアンバーを殺そうと躍起に。
しかしベンによって背負った火炎放射器の管を引き抜かれてガスが止まらなくなると「火を貸そうか?」という捨て台詞と共に、発煙筒を投げ込まれ、あっけなく大爆殺されてしまった。
■ベアナックルが殺しの信条、引退した伝説の男“キャプテン・フリーダム”

そして最後の敵として立ちはだかるのが、中継にちょくちょく登場し、番組を盛り上げようと頑張っていた“キャプテン・フリーダム”(ジェシー・ベンチュラ)。その正体は過去に10勝をあげた伝説的なストーカーであり、番組がグダグダになってしまったデーモンの奥の手として登場する。
いとも簡単にアンバーを捻り殺すと、ベンとも死闘を繰り広げ、最後はリングの壁についたトゲトゲに押し付けて串刺しに…。というのは、番組を成立させたいテレビ局によるCG映像であり、キャプテン・フリーダムは用意されたヘンテコなパワードスーツに「素手で殺すのが俺の信条だ」とブチギレ、出演を拒否。謎のスポーツマンシップに縛られた、フリーダム感ゼロの男だった。

名前やギミックはかっこいいが、どいつもこいつも見かけ倒しばっかりの愛おしきポンコツたち。『ランニング・マン』では、どんな敵が登場するのか期待しながら、『バトルランナー』を観直してはいかがだろうか?

文/サンクレイオ翼
