「リチウム金属の自己リサイクル技術はアルカリ電池にも応用可能

今回の研究によって、危険な廃電池の中でリチウムが自ら穏やかな反応を起こし、気がつけば有用な電池材料へと生まれ変わわるための方策が示され今後本格化するであろう次世代電池(リチウム金属電池や全固体電池)のリサイクルに光明が差し込みました。
使用済みの電池からリチウムを回収して再利用できれば、新たなリチウム採掘への依存を減らし、電池製造コストや環境負荷の低減にもつながるでしょう。
本手法はバッテリー業界の差し迫った課題に対する効果的な解決策です。
安全上の負債を回収の原動力に変えることで、実用的で持続可能な未来の構築に不可欠なプロセスを生み出したとされています。
もっとも、今回の成果は研究室レベルでの検証であり、工業規模で大量の使用済み電池を処理する際には、反応の制御やコストなど乗り越えるべき課題も残されています。
それでも危険ゆえに扱いづらかったリチウム金属を、安全かつ循環型に資源化できる道筋を示した意義は大きいでしょう。
実際、本研究のような塩基触媒を利用した「自己駆動」型の反応は、ナトリウムなど他のアルカリ金属電池のリサイクルにも応用できる可能性があります。
元論文
Self-driven aldol condensation enabling high-purity Li2CO3 recovery from spent lithium metal anodes
https://doi.org/10.1016/j.joule.2025.102136
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

