『WRESTLE KINGDOM 20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退』東京ドーム(2026年1月4日)
NEVER無差別級選手権試合 ウルフアロン デビュー戦 ○ウルフアロンvsEVIL×
東京五輪金メダリストのウルフアロンが鮮烈デビューを果たした。棚橋弘至に捧ぐハイフライフローを披露すると、EVILの暴走ファイトを耐えしのぎ、最後は三角絞めで絞め落として劇的勝利。いきなりNEVER王座を奪取する大仕事をやってのけた。
東京五輪の柔道男子100kg級金メダリストのウルフは、昨年6月にプロレス転向を発表。2026年の1・4東京ドーム大会でのデビューが決定した。そんなウルフに牙を剥いたのがHOUSE OF TORTUREの首領・EVILだった。
昨年の10・13両国大会で大暴走を見せるH.O.Tを見かねたウルフが制止に入り、拷問軍を次々とぶん投げて制裁。EVILが激怒すると、ウルフが一騎打ちを志願し、NEVER王座を懸けた一戦が決定した。EVILはNEVERのベルトを金メダルよろしく金色に塗りかえると、その後も幾度となくウルフを挑発して乱闘を展開。前日会見では「負けたら、坊主頭&柔道着禁止」を要求していたが、ウルフはそれに関係なく「プロレスラーになると決めた時から考えていた」という坊主頭姿でデビュー戦を迎えた。
ウルフはライオンマークの入った柔道着で入場ゲートに登場。「今後、柔道着を着ることはないと皆さんにアピールしたかった」との思いでそれを脱ぎ捨てると、新日本伝統の黒いショートタイツ姿があらわに。まるでEVILの要求に先に応えるように髪を短く切り、ギラついた目で初めての選手コールを受けると、場内は大歓声に包まれた。一方、EVILはH.O.Tのメンバーを引き連れて入場する。
EVILが奇襲を仕掛けるが、ウルフは引かずにエルボー合戦で幕開け。ショルダータックルで吹き飛ばすと、串刺しラリアット、ブレーンバスター、ランニングエルボードロップと躍動感溢れるプロレス技で暗黒の王を圧倒し、東京ドームから大歓声を巻き起こした。場外に転落したEVILのあとを追うが、EVILはインサイドワークで翻ろう。レフェリーの注意を引きつけると、H.O.Tの面々が集団で暴行する。EVILは花道に連行すると、ウルフの首にパイプイスを引っかけ、別のパイプイスで豪快に痛打。場内は大ブーイングに包まれた。ウルフが花道で大の字になると、EVILは小川直也ばりに飛行機ポーズを披露する。
ウルフはなんとか自力でリングに戻るが、EVILは剥き出しになったコーナー金具に叩きつけると、執ようにフォールして追撃。立ち上がれないウルフに歓声が集中する。すると、ウルフは逆水平を連続して振り抜き、サミングを防いで一本背負いをズバリ。乱入した裕二郎、SHO、SANADAを柔道殺法でバッタバッタとぶん投げて雄叫びを上げた。
しかし、狡猾なEVILはパウダー攻撃で黙らせると、Scorpion Deathlockで絞めに絞める。大歓声を背中に受けたウルフは執念でロープに逃れるが、大の字になって動けず。余裕の笑みを浮かべたEVILはラリアットを連発した。ウルフは仁王立ちで受け止め、豪快なパワースラムをカウンターで決めると東京ドームは大歓声。さらに、オリンピックスラムでぶん投げると、ボディスラムから「いくぞ!」と拳を突き上げて、今大会で引退する棚橋に捧げるように、豪快なハイフライフローを投下した。
場内は沸騰。決定的な場面だったが、裕二郎がレフェリーの足を引っ張ってカウントを妨害する。すかさずH.O.Tの面々が乱入。本隊の矢野通やYOH、マスター・ワトが救出に入っても返り討ちにされた。ここでドン・ファレがテーブルを投入。ウルフをそこに寝かせると、ファレがボディプレスを投下した。テーブルが真っ二つにへし折れて、ウルフは意識もうろうとなった。
場内は「ウルフ」コール一色になるが、EVILはラリアットを振り抜くと、笑みを浮かべてから必殺EVILへ。しかし、その瞬間、腕を掴んで豪快にぶん投げたウルフは腕ひしぎ十字固めに捕獲。切り返されそうになっても三角絞めに持ち込んで絞め落とし、劇的勝利を手にした。
ウルフがEVILの無法ファイトを耐え抜いて、いきなりNEVER王座を戴冠。ベルトを腰に巻くと、東京ドームは大歓声に包まれる。ウルフは四方の客席に頭を下げると、リング中央で堂々のファイティングポーズを披露した。
大勢の取材陣に囲まれたウルフは「これまで長い道のりを歩いてきて、柔道を23年間やってきて、それを去年6月に引退して、そこから新日本入団という新しい道が始まりました。今日からやっとプロレスラーになれました」と開口一番、感慨をのぞかせた。
ドームの大舞台で迎えた初陣を「これだけの大勢の人が見てくれてる中で試合したのは僕の人生で初めて。ずっとこれだけの人に見られてプロレスをしたいと思いました」と振り返ったウルフ。初めて見たプロレスの試合が「石井智宏vs柴田勝頼」のNEVER王座戦だったといい、「今日ベルトを獲ることができて感無量です。これに満足せずに精進していきたいと思います」と謙虚に喜びを表現したウルフは「プロレスラーとして日々成長していくこと、このベルトに見合うプロレスラーになること。大きな目標は変わらずIWGP世界ヘビー級王座を取ることです」と誓ってみせた。
終盤には棚橋ばりのハイフライフローを披露した。独学で練習したものだったが、棚橋から使用許可は得たといい、「今日、棚橋さんが引退する日で、僕がデビューする日で、本当に偶然が重なってこの日になって。僕も運命的なものを感じてましたし、棚橋さんのハイフライフローを自分のモノにしたい」と誓った。
棚橋引退後の新日本をけん引するであろう大型新人が最高の形で産声を上げた。
【試合後のウルフ】
▼ウルフ「これまで長い道のりを歩いてきて、柔道を23年間やってきて、それを去年の6月に引退して、そこから新日本プロレス入団という新しい道が始まりました。今日からやっとプロレスラーになれました。正直、今日の勝利はビギナーズラックみたいな部分が大きいというふうに感じています。EVILからすると僕の技が分からない中の戦いだったので、ここからが本当の戦いだと思ってます。どれだけ研究されても、対策されても、その上をいけるプロレスラーを目指して日々精進して、もっともっと高みを目指していきます。今日からプロレスラー、ウルフアロンをよろしくお願いいたします」
――頭を丸めた理由は?
▼ウルフ「正直、もともと新日本プロレスに入団したタイミング、というか僕自身プロレスラーになるって決めた段階でデビュー戦の日には坊主にしようというふうに考えていたので、その時から決まっていたというふうなことですね。やっぱり新日本プロレスでゼロから、イチからプロレスをするのであれば、正直、入門の段階で坊主でもよかったかなというふうには思ったんですけど、試合当日に坊主にしていこうというふうにはずっと考えてました」
――東京ドームの舞台でデビューして試合を振り返って?
▼ウルフ「これだけ大勢の人が見てくれてる中で試合したのは僕の人生でも初めてで、とても大きな経験になりましたし、今日だけではなく、これからもずっとこれだけの人数に見られながらプロレスがしたいというふうに感じました」
――介入もある中での試合だったが?
▼ウルフ「介入してくるというのは僕の中では対策をしていたので、そういうところを考えながら。しかし、そういう攻撃を食らってしまった場面もあったので、それは次の試合でしっかり活かせるように。まだまだ僕のプロレスラー人生は始まったばかりなので、もっともっと高みを目指してやっていきます」
――かつて会場で石井選手と柴田選手のNEVER王座戦を見たとのことだが?
▼ウルフ「僕が一番最初に見た新日本プロレスの試合が石井選手と柴田選手のNEVER無差別の試合で。まさか僕自身のデビュー戦がこのNEVER無差別をかけた試合になるとは夢にも思ってなかったんですけど、それが現実になって、今日こうやってベルトを獲ることができて感無量です。ただ、これに満足せずに精進していきたいと思います」
――リングで試合をしてプロレスの難しさを感じた部分は?
▼ウルフ「やっぱり今まで柔道という競技はこれまで対戦相手にだけ全集中してきたんですけど、今日たくさんの観客の方が応援してくれて、それがあらためて凄く力になるなというふうに感じましたし。相手だけじゃなく他のところにもしっかりと広い目で、広い視野でやっていかなきゃいけないというふうにあらためて感じましたね」
――ハイフライフローは棚橋選手直伝?
▼ウルフ「いや、自分で練習しました。一応、棚橋さんの許可はいただいて」
――継承したい思いがある?
▼ウルフ「今日、棚橋さんが引退する日で、僕がデビューする日で。この日に合わせて僕がデビューってわけでなく、本当に偶然が重なってこの日になって。そうなると僕も運命的なものを感じてましたし、棚橋さんのハイフライフローを自分のモノにしたいというふうに思いました」
――入場の際、鈴木桂治さんが太鼓を叩いたが?
▼ウルフ「柔道界の大先輩が僕のことを送り出してくれてるっていうのは、とてもうれしいですし、力になりますし。やっぱり僕のバックボーンとしてあるのは柔道という競技なので、僕が柔道をやって付き合った方々が応援して下さるというのは力になりますし、今後もこういうふうな関係を築いていきたいですね」
――オリンピック金メダリストとして最初の1勝となったが?
▼ウルフ「金メダリストだからっていうところを僕が意識しすぎる必要はないのかなと思ってるんですけど。デビュー戦というこの大きな舞台で勝利することができたのは、これから先、レスラー人生を歩んでいく中で大きな自信になりました」
――フィニッシュの絞め技は技名はある?
▼ウルフ「逆三角を狙っていったんですけど、逆三角だけだと極めが甘かったので、右手と左手両方関節も取りながら絞めも狙って。その3点を取りにいきました」
――身近な目標と大きな夢は?
▼ウルフ「身近な目標はプロレスラーとして日々成長していくこと、このベルトに見合うプロレスラーになること。そして大きな夢というのは変わらずIWGP世界ヘビー級のベルトを獲ることです」
――オリンピックスラムも出したが?
▼ウルフ「少し研究しながらってところですね。オリンピックとはまた別の緊張感でしたね。なかなかこの時間に試合をするというのは柔道時代にはなかったので、朝起きて試合までこんなに時間が空く、緊張感が高まる時間が多いように感じました。ただ、オリンピックスラムという言葉がIOCに怒られちゃうので、一応それはやめておいてもらえると。アングルスラムに途中変わってるので」
――デビュー戦でチャンピオンになったのはおそらく世界を見渡しても初となるが、快挙を成し遂げた気持ちは?」
▼ウルフ「本当に率直にメチャクチャうれしいですね。ただ、ここにおごってしまうと足をすくわれてしまうので、僕はしっかりと地に足をつけて日々成長していきます」
――今後の出場はどうする?
▼ウルフ「もちろん出れる大会はすべて出ます。(地方も)もちろんです」
――自己採点すると何点ぐらい?
▼ウルフ「分かんないです。無我夢中でやってたので。点数つけるほど今落ち着いてないですね。ちょっとまだ興奮状態なので。一回、僕の試合を見返して、どうだったのか考えていければいいですね」
――柔道着を脱ぎ捨てたが?
▼ウルフ「柔道という競技を今までやってきて、新日本プロレスに入るにあたって、今日の入場だけは最初、柔道着を着ようと思ってたんですよ。柔道という競技からプロレスに転向するっていう意味で、これから先、柔道着を着て戦うことはないふうなアピールを皆さんにしたかったということですね」
――体重について?
▼ウルフ「もう少し痩せたかったんですけど、実は。練習がきつくて。やせようと思ったけど、そうすると練習でバテてしまうんですよ。なので、これから体重を絞っていきながら体を作っていければ。ただ筋肉量的な部分はかなり増えてるので、パワーとかスタミナはまったく問題ないですね」
――相手のEVIL選手の感想は?
▼ウルフ「やっぱり技の一つとってもかなり重かったですし、戦う中でその強さを実感しました。やっぱり技術力だったり、プロレスのキャリアってところでは僕よりまだまだ上の人がなぜああいう戦い方をするのかって思ってるところが大きくて。ホント正々堂々と戦ってみたいなと思ったところでありますね」
――パワースラムの切れ味が凄かったが狙っていた?
▼ウルフ「パワースラムは練習でかなりやっていたので、どっかのタイミングで出したいというふうに考えていましたね。もっと高さを出して衝撃を与えるようなパワースラムができたらと思いましたね」
――頭を丸めたのはいつ?
▼ウルフ「今日の朝の10時半です。誰かに会っちゃったらまずいじゃないですか。髪丸めて帽子をかぶって、そそくさと入ってきました」
――プロレスラーとしてこれから楽しみにしていることは?
▼ウルフ「やっぱり戦うことですかね。たくさんの選手と戦いたいですし、僕のこの欲求を。渇きですかね。あますことなき欲求すべてを満たしていきたい。それが凄く楽しみです」
――これから引退試合をする棚橋に贈る言葉はある?
▼ウルフ「正直、僕が送れる言葉っていうのはないと思うんですけど、逆に棚橋さんが最後に今日残してくれるものを僕はしっかり焼きつけて、これからのプロレスラー人生の糧にしたいと考えてます」
――ウルフコールが起こったが?
▼ウルフ「うれしかったですね。やっぱ体から力が抜けてるような時に、体に力が入らなくなってしまった時にああいったコールが起きると、意識とはまた別のところで体が動こうとする。そんな感覚がありましたね」
――これから戦いたい選手、目標とする選手は?
▼ウルフ「目標とする選手は全員が先輩なので。目標とするというのはちょっとおかしいですかね。僕が一番になりたいという気持ちが強いんで。全員の上にいきたいという気持ちがありながら。戦ってみたい選手は同級生である、今戦っているKONOSUKE TAKESHITA選手、戦ってみたい気持ちがありますね」

