お屠蘇気分が残る中で、世界が驚愕した。アメリカのトランプ政権が南米ベネズエラを1月3日に攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束するという挙に出たからだ。各国からは「国際法違反だ」との指摘が飛び出した。
昨年末から今年にかけてトランプ政権の支持率は落ちていたが、さらにベネズエラ問題で数字はどう動くか。そして11月の米中間選挙の行方は…。アメリカのメディア関係者が語る。
「このタイミングでベネズエラを爆撃したのは、トランプ大統領の支持率を上げる複数の要素が詰まっているためだとされます。ひとつはヘロインの50倍の効力があるという『ゾンビ薬物』フェンタニルを代表とする、麻薬壊滅をやっているという、国民への猛アピールです」
ベネズエラから密輸されているとトランプ大統領が主張するフェンタニルは、「大量破壊兵器」に指定するほどだ。その麻薬により、アメリカでは毎年7~8万人が死亡し、中毒者は数十万人に上るという。アメリカ全土に薬物汚染は広がり、アメリカを蝕んでいく。アメリカメディア関係者が続ける。
「国の体感治安は悪化の一途をたどっています。そのためトランプ大統領は麻薬を止めるためなら何でもやる、という姿勢を強め、流入ルートとされるメキシコ、ベネズエラなどに本気度を見せつけた。そしてトランプ大統領がベネズエラを攻撃した2つめの理由は、世界有数の産油国ベネズエラの石油の確保にある。3つめは、アメリカの裏庭の南米に、ロシアがバックアップする反トランプ政権を放置できないこと。この攻撃効果で支持率をアップさせ、秋の中間選挙をニラんでいます」
しかし、ベネズエラの政権を転覆させてまでして支持率アップを狙うほど、トランプ政権の支持率は厳しいのか。ロイター通信による昨年12月中旬発表の調査では、政権発足時より10%前後も落ちた、39%だった。アメリカPR企業関係者が言う。
「今、アメリカでは『アフォーダビリティー(手の届く暮らし)』が合言葉となっています。トランプ政権の様々な政策でも物価高騰は止まらず、家賃や食費が人々の家計を圧迫、不満が鬱積しています。その不満で政権支持率は低下。そして直近の選挙で負け続ける…」
その顕著な例は、昨年11月のニューヨーク市長選でマムダニ氏が「物価対策」を掲げて、トランプ支持候補らを破った。「勝負」となる11月の中間選挙で、問題となるのは下院だ。
「下院選挙は政権への不満が爆発するだけに、今のままでは与野党逆転の可能性があります。そうなると、政権はレームダック(死に体)に陥る。トランプ大統領にすれば、なんとしても勝ち切らねばならない」(前出・アメリカPR企業関係者)
トランプ大統領が中国と関税の応酬を繰り広げていたのを一転させ、昨年秋に習近平国家主席と握手したのも、中間選挙をニラんでのことだという。
レアアースはIT機器、現代最新兵器に欠かせない。しかし、世界の生産量のほぼ8割を中国が押さえている。中国はエスカレートするトランプ関税に手を焼き、レアアースのアメリカ禁輸措置を繰り出した。トランプ大統領は習主席と握手するしかなかったわけだ。
4月の訪中など、トランプ大統領は今年、計4回の首脳会談を模索。EU関係者は言う。
「今のトランプ大統領の頭の中は明らかに、アメリカと中国が世界をコントロールするというG2構想に傾きつつあるのではないか」
もしトランプ大統領がさらに中国へと傾くなら、高市政権はどう動くべきなのかが改めて問われることになる。
(田村建光)

