
【北中米W杯出場国紹介|第8回:エクアドル】強みはベテラン、中堅、若手のバランスが取れていること。躍進の予感漂う注目国だ
エクアドルは南米予選で前回W杯王者のアルゼンチンに次ぐ2位という成績を見ても、同国史上最強チームであることは間違いないだろう。
2006年大会ではイバン・カビエデスらを擁してベスト16に進出したが、タレント力は当時をはるかにしのぐ。チームを率いるのはアルゼンチン人のセバスティアン・ベッカセセ監督だ。
プロ選手の経験はないが、若くして指導者を志し、ホルヘ・サンパオリ監督のアシスタントコーチとして2014年大会のチリ代表、18年大会のアルゼンチン代表でW杯を経験した。エクアドル代表の監督を任されたのは2024年の8月。予選での初陣はブラジルに0-1で敗れたが、その後は10戦無敗で、最終節はアルゼンチンに1-0で勝利した。
現在ウルグアイを率いるマルセロ・ビエルサ監督を師と仰ぐだけあり、強度の高いプレッシングとダイナミックな攻撃を突き詰めている。
システムは4-2-3-1をベースに4-3-3、4-4-2を使い分けるが、基本的な戦術設計は一貫している。攻守の生命線となるのが、チームの心臓であるモイセス・カイセド(チェルシー)が統率する中盤だ。高いボール奪取力はもちろん、ここでボールを失わないことが、相手陣内に押し込んでいくためのベースになる。
カイセドの相棒を務めるペドロ・ビテ(プーマス)はメキシコリーグでプレーしており、北中米W杯での躍進の鍵を握る一人だ。
前線では大ベテランとなったFWエネル・バレンシア(パチューカ)が攻撃を牽引する。南米予選では6得点を記録して健在ぶりを見せつけた。両翼からは右ウイングのゴンサロ・プラタ(フラメンゴ)、左のニルソン・アングロ(アンデルレヒト)などが積極的に仕掛けて、エースにラストパスを供給する。
190センチのサイズを誇るケビン・ロドリゲス(ユニオンSG)がベルギーリーグでも得点を積み重ねていることもあり、本大会では2トップがメインになる可能性もある。
最終ラインは圧倒的な対人能力を備えるウィリアン・パチョ(パリSG)と欧州メガクラブから関心が集まる21歳のホエル・オルドニェス(クラブ・ブルージュ)のコンビが、中央に鉄壁を築いている。
右サイドバックのアンヘロ・プレシアード(スパルタ・プラハ)は縦の推進力があり、左は左足のスキルと戦術眼に優れるペルビス・エストゥピニャン(ミラン)と守備力が抜群のピエロ・インカピエ(アーセナル)という、おそらく世界で最も贅沢なポジション争いが繰り広げられている。彼らを最後方から支えるのは経験豊富なGKエルナン・ガリンデス(ウラカン)だ。
さらなる躍進のキーマンになりうるタレントが、19歳のMFケンドリー・パエス(ストラスブール)だ。左利きのテクニシャンは現在リーグアンで経験を積んでいるが、プレミアリーグのチェルシーが保有元であり、未来のワールドクラスとして期待される。
そしてもう一人、20歳のFWジェレミー・アルバロ(シュツットガルト)も左利きのスター候補生だ。大柄だが機動力が高く、セカンドアタッカーとしても稼働できる。この冬、スペイン2部のラシン・サンタンデールからシュツットガルトに移籍。ブンデスリーガで上位争いを演じるチームで、どこまで評価を上げられるか。
エクアドルが入ったE組ではドイツ、コートジボワール、キュラソーと戦うが、フィラデルフィアで行なわれるコートジボワールとの初戦で勝点を取り、第2戦でキュラソーに勝利すれば、ほぼ突破を決めた状態でドイツに挑むことができる。E組を首位突破できればラウンド32で3位チームとの対戦ということもあり、現在のチーム力を持ってすれば、躍進は十分に可能だろう。
エクアドルの強みはベテラン、中堅、若手のバランスが取れていること。兄貴分でもあるエースのバレンシアや大黒柱のカイセドが力強く引っ張り、パエスのような若手が伸び伸びと個性を発揮できれば、2006年大会の成績を超えることはあり得る。本大会で注目のチームだ。
文●河治良幸
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