テレビ番組から占い企画が激減する中、正月特番になると決まって登場する光景に、不思議な違和感を覚える視聴者は多いのではないか。
例えば元日放送の「しゃべくり007 上田と女が吠える夜も緊急参戦!元日4時間SP」(日本テレビ系)では、占い師の水晶玉子氏による「2026年運勢ランキング」が発表された。
近年、占い番組はめっきり見かけなくなっている。かつては朝昼のワイドショーで定番企画として扱われていたが、現在では年始特番で触れられる程度にとどまっている。なぜ、正月だけ占いが「復活」するのか。その背景には、テレビ局の極めて現実的な事情があった。
民放局ディレクターが明かす。
「占いはとにかくクレームが生まれやすい。健康や金運、人間関係に踏み込むと『不安を煽られた』とすぐ苦情が来るんですよ。スポンサーも嫌がるので、通常編成ではまず通りません」
つまり占いがテレビから消えつつある理由は人気低下ではなく、コンプライアンスなのだ。根拠のない断定的表現は「危険物」扱い。それでも正月だけは別枠になる。
「初詣やおみくじと同じで、占いも縁起物として処理できる。人生相談ではなく、年中行事の一部という位置づけです」(前出・民放局ディレクター)
視聴者心理も追い風となる。正月は時間に余裕があり、「まあ、正月だし」と受け止めが甘くなる。多少の大げさな表現でも炎上しにくいのが現実だ。さらに編成サイドの本音も…。
「占いは制作費が安く、数字をそこそこ取れる。なにより、当たらなくても誰も責任を取らされないんです」(番組編成関係者)
1年後に検証されることもなく、外れても笑い話で済む。テレビが占いを「信じる」のは三が日まで。松の内が明ければ、運勢よりもコンプライアンスの方が、はるかに重くのしかかるというわけだ。
(カワノアユミ)

