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「カーリングが本当に好きだから」カーリング・山口剛史を動かす原動力と日々を支える食習慣

「カーリングが本当に好きだから」カーリング・山口剛史を動かす原動力と日々を支える食習慣

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、カーリング・山口剛史さん。幼少期にカーリングをはじめ、2018年に日本男子では20年ぶりとなる平昌五輪に出場して8位入賞。現在も日本カーリングの第一線で活躍する山口さんのここまでキャリアとその土台となる食への意識、今後への思いなどを聞いた。


――カーリングを始めたきっかけを教えてください。

 小学3年生の時に、地元の南富良野町にカーリング場ができて、同級生に誘ってもらって始めたのがスタートです。学校が終わった後に遊ぶところもそんなに外にないので、学校の友だちと一緒に遊べる場所というイメージでいい思い出がたくさんありますね。

――始めてみて、カーリングをどう感じましたか。

 最初は氷の上で滑って遊ぶのがすごく楽しくて、非日常を味わう楽しさがひとつ。ストーンという重さ20キロの石を投げるというか滑らせるんですが、的が40メートルぐらい先でなかなか思った通りに行かないけど小学生の時でも10回に1回ぐらいは石を弾き出すとか真ん中に止めるとかできて、思った通りにいった時の快感が楽しかったという思い出がありますね。今でもその楽しさは同じだなと思っています。
 ――高校時代には日本ジュニア選手権で優勝し、世界ジュニア選手権に出場しています。一方でラグビーでも全国大会に出場、カヌーもされていたそうですね。

 運動は小さい時から得意じゃなかったのですが、一個ずつできないことが少しずつできるのがすごく楽しくて、そういう意味でスポーツは好きでした。夏はカーリングができなかったのでラグビー中心、週末やラグビーの練習がない時はカヌーの練習、冬はラグビーの練習が終わって家に帰ったあとにカーリングの練習に行ったりしていました。

――最初に大学に進むときはカヌーに打ち込むことを考えて駿河台大学を選びました。カーリングではなかったのですね。

 南富良野町はカーリングの環境も整っていて何人か日本のトップレベルまで行った選手もいましたが、カヌーも町で有名なスポーツでした。カーリングでは世界大会に出場できた一方でカヌー選手としてはレベルがまだまだ低かったので、カーリングよりカヌーを一回しっかり学びたいなと思っての進路選択でした。

――その後、駿河台大学を中退し、青森大学に進んでカーリングに本格的に取り組み始めました。

 駿河台大学のカヌー部に入ったら、コーチも先輩たちもほとんどがカヌーの日本代表選手という環境だったんですよ。そこでワールドカップや世界選手権に遠征した話を聞いているうち、スポーツで世界のトップを狙うってすごく楽しそうだなって思うようになってきて、自分がやってきたラグビー、カヌー、カーリングを天秤にかけたときにカーリングが一番世界を狙えるんじゃないかなと思ったので、大学1年の秋か冬ぐらいにはカーリング1本で世界を目指そうと決心して動きました。――卒業後はSC軽井沢クラブに加入され、現在もプレーしています。チームや生活環境はいかがでしたか?

 僕が大学生の頃は、まだ女子でも企業所属のチームがなかったくらいの時代でした。男子も本当に環境が良くない中でしたが、働きながらカーリングをやらせてもらえる環境を作ってもらったり、長野では長野五輪のレガシーもあるおかげで軽井沢で国際大会があったり、環境がいいなと思いました。

――SC軽井沢クラブでプレーされる中で、まずは日本代表の争いがあって、次は世界選手権そして五輪を目指していったと思いますが、男子は五輪に届かない状況がずっと続いていました。どんな思いがあったでしょうか。

 やっぱり世界での成績を男子の方は出せていないので注目も浴びないんだなと思っていいましたし、女子の方は本当にレベルが高いなと思っていたので悔しい思いもありましたが、まずは自分たちがまず世界の中での位置を上げていく必要があるなと思って日々努力していました。

――そしてついに2018年に平昌五輪に出場しました。

 2014年のソチ五輪もあと一歩で出場権を取れるところまで行きましたが、最終予選で負けて出場はできませんでした。チームも解散するかどうかまでみんなで悩んだんですけれども、諦めずに次の4年をすごく頑張って、細かい計画も立てて、それが一個ずつかなっていって、すごく嬉しかったですね。
 ――初の五輪はいかがでしたか?

 会場が輝いてるように見えましたね。選ばれし者がプレーするみたいな感覚で、スター選手の一部だと錯覚するぐらい素晴らしいステージだなってずっと思ってプレーしていました。予選が9試合あって自分自身はゾーンに入っているみたいな感じですごく調子が良かったんです。

 ただ五輪という空間が楽しすぎたこと、ものすごく集中していたこともあってプレー中の記憶が全然飛んでしまって今でも思い出せないです。そんなことって今までのカーリング人生で一回もありませんでしたね。

――平昌五輪では女子日本代表が銅メダルを獲得しました。

 僕はその時33、34歳ぐらいで、カーリングを長くやってきたので一線を退こうかどうか考えていたんですけれども、表彰式を観客席から見ていて、五輪という場所はプレーするだけじゃなくて、表彰台に乗って形あるものを獲得するところまでが大きいストーリーなんじゃないかなって思いました。表彰式を見たとたん、次こそはメダルを狙いたいなと思いましたし、自分のカーリング人生の中では刺激的な時間でしたね。
 

――SC軽井沢クラブで長年プレーしていて、メンバーが替わったりチームの体制も変化する中で、若い選手も加わっています。どういう風にチームを引っ張っていこうとしてきたのでしょうか。

 どれくらいのレベルだったら世界に行けるのかをイメージできるようになったことが大きくて、次は出るだけじゃなくてメダルを持って帰ってくるところまで考えるようなったらもっとプラスアルファが必要だなと感じて新しいチームを作り始めました。

 カーリングはコミュニケーションが大事なスポーツです。お互いにバックグラウンドも経験値も違いますけれど、しっかり目線を合わせて疑問に思うことは言ってもらうし、自分も疑問に思うことは相手に対して言うし、我慢しないコミュニケーションがお互いにできる環境づくりを考えてやっています。

――男女を含め、日本のカーリングと世界の強豪との距離は縮まってきている実感はあるでしょうか。

 すごく縮まっているなって感じます。カーリングにも海外で行われているツアー大会があって、その結果で世界ランキングができています。

 現在は男子も女子も登録しているチームが500、600くらいあるんですけれど、女子の場合だと10年前ごろまでは日本の2、3チームだけがトップ20、30に入ってるくらいでした。それが今はトップ10に3チーム、4チーム入ってくるようなレベルの高い時代になりました。男子も平昌大会までは自分たちだけがトップ20、30にいるくらいで、他のチームは世界ツアーもまだ回れていない状況でした。最近ではツアーを転戦しているチームが男子も7、8チームぐらいまで増えてきて、トップ20、30に入ってくるチームも3チームぐらいあります。

――カーリングは試合時間が長いですし、実はハードな面を持つ競技だと聞いたことがあります。

 例えば心拍数でいくと、スイープ、つまりブラシでゴシゴシやった後なんかは160、170ぐらいまで上がります。ダッシュしたぐらいの心拍数くらいまで簡単に上がっていくので結構ハードだなと思います。僕はスキップという司令塔のポジションを今やっているんですけれども、去年ぐらいまではスイープもたくさんやるポジションだったので、1試合で体重が2キロぐらい落ちたりしました。

――そうなると食も大切だと思いますがどのように意識されているでしょうか。

 1試合3時間近くになりますし、世界選手権では1日2試合あるのも普通で、ウォームアップとかも入れると1日8時間以上も競技をすることになります。エネルギー切れしないように意識していて、炭水化物をちゃんと摂るのを心がけています。風邪も引きやすくなりますし、僕は口内炎ができやすいのでビタミン系や果物を摂ることも意識しています。

――海外遠征も多いですよね。

 今も遠征中でホテルでの生活ですが、外食が多くなりがちなので、サラダとかを多く摂ろうと気をつけています。それでも外食ばかりだと体重のコントロールが難しかったり、体の動が悪くなるので、炊飯器を持ち歩いてホテルでご飯炊いてお惣菜を買ってきて食べたりしています。

--食材としてのきのこの印象を教えてください。

 小さい頃から食べています。最近だとしめじやエリンギあたりをよく食べます。パスタが好きなので、和風パスタにしてもトマトソース系にしても使いやすい食材だし、食感も味も好きです。今日の夜のご飯も、ホワイトソース系のマッシュルームとチキンが入ったパスタを食べました。パスタ以外だと、今の季節なら鍋に入れたり、夏だとズッキーニなどとバター炒めにして食べたりしますね。

--きのこは栄養面が高く低カロリーです。腸内環境の改善の働きもありますが、ご存じだったでしょうか。

 あまり詳しくは分からないんですけれども、菌のあるものって体の調子を整えてくれるなっていう感じがします。なんとなくですがミネラルが多そうなイメージもありますね。
 ――選手として長く活躍されている一方で、普及への思いも強いように感じます。

 五輪や世界選手権で金メダルを獲りたい、世界一の選手になりたいというのは現在進行形の目標です。自分の人生の大きい目標としては、ここまでカーリングのおかげで自分の人生を豊かにさせてもらっているので、カーリングに対して恩返しをしたいという気持ちがずっとあります。

 特に男子はまだまだマイナーだし、もっともっと男子カーリングが憧れられる存在になって、小さい子どもたちが「かっこいいな、男子の選手は」って思われるようにしていきたい。そういう思いが普及活動の原動力です。

――最後に、スポーツに励んでいる子どもやジュニア選手に向けてアドバイスをいただければと思います。

 まずカーリングについてお話すると、僕は30年以上カーリングをやってきて日本カーリング界の第一線で挑戦を続けています。カーリング競技者としては珍しいキャリアかなと思うんですけども、ここまでやれているのはカーリングが本当に好きだから、楽しいからというのがやっぱり大きいです。その気持ちがどこで植え付けられたのかと言えば、小学生のとき。氷の上を滑ったり石をぶつけてみたりするなかで生まれた楽しいという純粋な気持ちを大切にしてほしいと思います。

 スポーツ全般に対してのアドバイスは、あまりえらそうに言えないんですけれども、スポーツは何かしら学ぶことができるものだと思っています。自分自身の気持ちの開き方によって見えることもあれば見れないこともあるので、なるべく気持ちを開いている時間を増やせるようにして、何かヒントを得ることができたらまた一歩成長できます。そういう姿勢を大切にしてほしいですね。
 山口剛史

1984年11月21日生まれ/北海道南富良野町出身/SC軽井沢クラブ所属
小学生の頃カーリングを始める。同級生にトリノ、バンクーバー五輪代表の目黒萌絵、トリノ代表の寺田桜子がいた。ラグビー、カヌーでも活躍したのち、カーリング一本に専念する。青森大学を卒業後SC軽井沢クラブへ。主にサードやスキップのポジションでチームの主軸となり、2018年平昌五輪に出場し8位。また世界選手権は7度出場し、2022年大会では4位。またミックスダブルスでも活躍し、世界選手権に3度出場している。
配信元: THE DIGEST

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