
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 「めっちゃ立派やん」「美しい」 コチラがトキとヘブンが引っ越すであろう「武家屋敷」の現存する姿です
ついに蛇と蛙が本編再登場か
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
2026年最初の放送となった第66話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」と「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、ついに結ばれました。まだ法的に正式な結婚ではありませんが、トキは女中ではなくヘブンの妻になっています。
そして、ヘブンは今住んでいる家からもっと広い「武家屋敷」に住みたいと言い出し、同僚の「錦織友一(演:吉沢亮)」に探すよう頼みました。
66話放送後には、「広い武家屋敷に移り住みたいってことは、そこに松野家全員呼んで住むってことかな?」「もっと広い武家屋敷に引っ越したいだと…もしかして旧雨清水家にお引越し!?」「もしかして錦織さん、以前雨清水や松野が住んでた家を偶然?契約してくるかもしれんね」といった声が相次ぎ、没落したトキの生家・雨清水家や養家・松野家がかつて住んでいた屋敷に住むのではないかという予想も出ています。
ただ、史実通りならヘブンたちは特にこれまでのストーリーとは特に関係ない、別の松江藩士が使っていた屋敷に引っ越すはずです。モデルのハーンさんとセツさんは、1891年6月22日に松江の北堀町にある武家屋敷に移住しました。こちらが、現存し観光地としても人気の「小泉八雲旧居」です。
この屋敷はもともと旧松江藩士の根岸家の家で、ハーンさんが気に入ったという庭は、根岸家によって明治維新後の1868年に造られたものでした。1891年当時、根岸家の家長・干夫さんは、現在は出雲市に属する簸川(ひかわ)郡の郡長として現地に赴任していたため、空き家となった屋敷をハーンさんに貸してくれたそうです。
セツさんは後年に残した手記『思ひ出の記』のなかで、「(ハーンが)私と一緒になりましたので、ここでは不便が多いと云うので、二十四年(明治24年、1891年)の夏の初めに、北堀と申す処の士族屋敷に移りまして一家を持ちました」と、ハーンさんと結婚したために旧居に引っ越したことを語っていました。
ちなみに干夫さんの長男・磐井さんは、島根県尋常中学校、熊本第五高等中学校、東京帝国大学と長年ハーンさんの指導を受けた教え子で、後年は恩師である彼の旧居を保存するために松江に戻り、小泉八雲記念館の設立にも尽力しています。
その後、根岸家が代々大切に管理してきた小泉八雲旧居は、2018年に松江市の所有となってからもしっかりと保存されてきました。『ばけばけ』OPで出てくる川島小鳥さん撮影の写真のなかには、旧居で撮影されたものも含まれています。
そして、旧居ではいよいよナレーターの「蛇と蛙(声:阿佐ヶ谷姉妹)」も、本編に登場してくるはずです。蛇と蛙は『ばけばけ』第1話でトキとヘブンが住む屋敷の庭の池にいましたが、それ以降声だけの登場で姿は見せていません。
旧居の庭には本当に蛇と蛙が生息していたとのことで、セツさんは『思ひ出の記』のなかで、心優しいハーンさんが「あの蛙取らぬため、これを御馳走します」と、蛇に自分の食事を与えたことを語っています。この逸話がもととなり、『ばけばけ』のナレーションが蛇と蛙になったそうです。
第1話でトキがヘブンに怪談を語っていた屋敷は、小泉八雲旧居で間違いないでしょう。ハーンさんたちは1891年11月に熊本に引っ越しており、旧居には半年も住んでいませんが、『ばけばけ』では旧居での生活がどれほど描かれるのかも要注目です。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『思ひ出の記』(ハーベスト出版)
