昨年末、女子テニス世界ランキング1位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/27歳)と男子元13位のニック・キリオス(オーストラリア/30歳)によるエキジビションマッチ「Battle Of The Sexes(バトル・オブ・ザ・セクシーズ)」(12月28日/UAE・ドバイ)が開催された。
サバレンカ側のコートが9%縮小され、さらに両者ともサービスを1本に限定するという、女子有利の特別ルールが設けられたこの一戦。結果は6-3、6-3でキリオスの勝利となった。
開催前から、このイベントには疑問を呈する声が絶えなかった。四大大会4勝を誇る現役最強の女子選手が、ケガで長期離脱し世界ランク671位まで低迷している男子選手と変則ルールで戦う意義はどこにあるのか。
当人たちは、「リスクに身を晒しているとは思わない」(サバレンカ)、「テニス界の“団結”を示すもの」(キリオス)と語っていたが、試合後にも批判は噴出した。元女子ホッケー選手で解説者のジョージー・パーカー氏は、英メディア『デーリー・メール』のコラムで、「コートを小さくし、ルールを操作することで『公平』を装っているが、実際には女子テニスが男子に劣るという古い偏見を助長しているだけだ」と指摘し、サバレンカの参加を厳しく非難した。
そんななか、女子世界ランク2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド/24歳)も、イベントに対して批判的な立場を明確にした。「ユナイテッド・カップ」(1月2日~11日)の記者会見でこう語っている。
「(今回の試合は)多くの注目を集め、エンターテインメントではあったと思います。でも、社会的な変化や重要なテーマと結びついていたとは言えません。1973年のビリー・ジーン・キングの試合と同じ名前だったという点以外、共通点はないと思います」(※当時のキング氏の勝利は、女性の権利運動を象徴する歴史的な出来事だった)。
さらに、昨年のウインブルドン覇者である彼女は、現代の女子テニスの価値を強調した。
「今の女子テニスには、素晴らしいアスリートや語るべきストーリーがたくさんあります。男子テニスと比べる必要はありません。まったく別の物語です」
そして、男女を対立させるのではなく、ともに高め合う舞台としての混合団体戦「ユナイテッド・カップ」を高く評価する。
「正直なところ、競争である必要はありません。この大会のようなイベントはテニスを一つにまとめ、WTAファンもATPファンも一緒に楽しめます」
会場を埋めた多くのファンが、この一戦を豪華な「エンターテインメント」として純粋に楽しんだことは事実だろう。一方で、男女を対立させて注目を集める手法は、現代の価値観や女子テニスの在り方にはそぐわなくなっていることが露呈した。シフィオンテクの「比べる必要はない」という主張は、その変化を端的に言い表している。
構成●スマッシュ編集部
【動画】キリオスVSサバレンカの「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」ハイライト
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