
ジェームズ・キャメロン監督の最新作となる映画「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」が、12月19日に日米同時公開された。物語の舞台は、神秘の星「パンドラ」。人間の体を捨ててパンドラの住民である種族・ナヴィになった元海兵隊員のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)と妻・ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)が、同じ種族でありながらも訳あってパンドラのことを憎むアッシュ族のヴァラン(ウーナ・チャップリン)からの攻撃に立ち向かう姿を描く。
WEBザテレビジョンでは、日本語吹替版で本作から「アバター」(ディズニープラスで配信中)シリーズに登場する新たな“ヴィラン”ヴァランの声を担当している声優・田村睦心にインタビューを実施。「悪役だと思って演じていない」というヴァランへの思いや、アニメ・吹替えでの演じる際の違いについて、そして2026年の抱負などを語ってもらった。
■「アフレコのときに泣く余裕はなかったんです」
――完成した作品を見た率直な感想をお聞かせください。
日本語吹替版を3Dで拝見しましたが、映像がきれいですし、泣ける部分もとても多いなと。私が声を担当したヴァランは襲撃シーンが多くて感動できるような場面はあまりなく、しかも演じることに必死だったので、アフレコのときに泣く余裕はなかったんです。
でも、あらためて完成したものを見るとジェイクやネイティリたち家族の物語には泣ける要素がたくさんあるなと思いました。
――ヴァランを演じる上でどんなアプローチを試みましたか?
私は今作からの参加なのですが、1作目と2作目を見ていない状態でアフレコに臨みました。今は全作見ましたが、当時はジェイクとネイティリのことを知っていても、他の登場人物たちのことはあまりよく分かっていなくて結構手探り状態。ヴァランに関しては、アフレコの前に「ちょっと大人過ぎるからもう少し若く」というアドバイスを頂いて、どこかに大人らしさを残しつつ、少女っぽい未熟さを意識しました。
――人気シリーズに途中から参加するプレッシャーのようなものは感じましたか?
そこに関してはあまり思わなかったです。1作目も2作目も評価が高い作品なので、今回も絶対に面白いだろうなと。まさか自分が「アバター」シリーズに出られるとは思っていませんでした。
――ヴァランは必ずしも悪役とは言い切れないキャラクターなのかなと思いましたが、演じながら彼女なりの“正義”のようなものを感じることはありましたか?
私自身もヴァランのことを悪役だと思って演じることはなかったです。ヴァランはエイワ(地球から遠く離れた神秘の星であるパンドラの調和を保つ神のような存在)に裏切られたと思っていて、実際に彼女たちの部族の中には助からなかった人たちもたくさんいる。
そんな絶望を味わってもなお、エイワのことを信じることができるのか。それは、とても難しいことですよね。だから、自分たちで何とかして切り開いていくしかない。そんな思いを抱きながら演じていました。
でも、完成した作品を見たらヴァランたちが襲撃するシーンは普通に怖いし、パッと見た感じでは悪だなと。火炎放射のシーンではニコニコしていますから(笑)。あの姿を見ていると「ヴァランたちにも正義がある」とは思えないですけど、ものすごく強い武器を持って子どもみたいにはしゃいでいる彼女はどこか純粋でかわいいところもあるような気がします。
――アニメのアフレコとは違う、吹替えならではの面白さや難しいと感じる部分はどんなところですか?
アニメの場合は自分でもそうですし、スタッフさんたちみんなで1つのキャラクターを作り上げていく感じが楽しいです。吹替えは、すでに演じている役者さんがいて、それに声を当てるところが面白くもあり、難しい部分でもあるのかなと。同じ空間で向かい合いながらお芝居をしているわけではなく、画面を見ながらその場の息使いなどを感じ取らないといけない。これは結構大変な作業だなと思います。
その一方で、もともと演じられている俳優さんのお芝居に寄り添えたと感じたときや出来上がった作品を見たときに自分の声がぴったりハマっているかもと思えたらすごくうれしいですね。
■クオリッチ大佐との関係「急にどうしたのって(笑)」
――自分が声を担当する俳優さんからヒントをもらうことも?
それは、ありますね。表情だったり、声の出し方だったり、全部教えてくれるからやりやすいと感じることも。キャラクターによっては、なぜこういう感情が生まれるのか分からない場合もありますけど(笑)。
ヴァランで言うと、ナヴィという種族なのでしゃべるときに言葉が変なところで切れていたりするんですよ。動きに関してもヴァランはヘビみたいな不気味さもあったりして、その雰囲気を出すお芝居が難しかったです。
――ヴァランは怖さの中に妖艶なところもある魅力的なキャラクター。劇中では、クオリッチ大佐との関係も気になります。
2人の関係については明言されていないので私もすべては分からないんです。最初の頃はクオリッチ大佐に対して挑戦的なところがあったヴァランも彼の力に魅力を感じてからはパートナーみたいな関係になっている。
――確かに距離が縮まっていましたよね。
そうなんですよ! 急にどうしたのって思いました(笑)。しかも、クオリッチ大佐の力を得てからのヴァランはものすごく調子に乗っている感じ。それが恐ろしくもあり、ちょっとかわいかったりもして。とても親近感が湧きました。

■「みんなの絆が本当にすてきです」
――他にも個性豊かなキャラクターが続々登場しますが“推しキャラクター”はいますか?
パヤカンはいいやつですよね。ロアクが「兄弟、兄弟」と言って信じている関係もいいですし、ツィレヤたちもスパイダーも大好き。みんなの絆が本当にすてきです。
――あらためてですが、本作の注目ポイントは?
シリーズを最初から見ている方はもちろん、3作目から見ても絆が描かれている物語は楽しめると思います。つらい気持ちになるシーンもありますけど、見たら必ず優しい気持ちになれる作品。
それと、やっぱり映像美ですよね。映画を見ているといろいろなアトラクションのようなものが出てきて、まるで“パンドラ”に遊びに来たみたいな感覚。通常の劇場はもちろん3D、4D、ドルビーアトモスで見たらより作品の世界を堪能できると思います。
――2025年もさまざまなキャラクターの声を担当されましたが、2026年はどんな1年にしたいですか?
おかげさまで2025年もたくさんの作品に参加することができました。自分から積極的に触れて吸収することも大事ですけど、一つの作品に出演したときの没入感はとても楽しいですし、より深く関わることができるので、2026年も貪欲にもっともっといろいろな作品に出たいと思っています!
◆取材・文=小池貴之

