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演者が本気で痛がった『ウルトラマン』伝説のシーン 「素のリアクション」の真相は…?

演者が本気で痛がった『ウルトラマン』伝説のシーン 「素のリアクション」の真相は…?


初代ウルトラマンは素手で怪獣と格闘するシーンも多かった。画像は第1話でベムラーと格闘するウルトラマンが描かれた、「The Rise Of Ultraman」(Village Books)

【画像】「えっ」「見たかった」これがまさかの戦闘中に「巨大化」したウルトラヒロインです(3枚)

「中の人」が、思わず痛がる名シーン

 今なお怪獣特撮の金字塔として輝き続ける『ウルトラマン』の魅力は、なんといっても「ウルトラマン」と怪獣との格闘シーンでしょう。怪獣をぶん投げ、ビルが破壊され、火花が散る……令和の子供らにも愛される空想特撮シリーズの大傑作です。

 さて、虚構を本物らしく見せるところに特撮の真髄がありますが、なかにはウルトラマンや怪獣の「中の人」による、ちょっとした「素のリアクション」が映り込んでしまう、なんてこともしばしばありました。

 ファンの間でもとりわけ有名なのが、第18話「遊星から来た兄弟」のワンシーンです。このエピソードでは、「ザラブ星人」が「にせウルトラマン」に変身して、街を破壊し、ウルトラマンの信用を失墜しようと企みます。いざ、ウルトラマンが「にせウルトラマン」に対峙し、その顔面に目がけて思い切りチョップを繰り出します。次の瞬間、ウルトラマンは素早く手を引っ込め、「おーいてて」と言わんばかりの勢いで手を強く振るのです。

 真相はどうだったかというと……本当に痛かったのでした。ウルトラマンのスーツアクターを務められた俳優の古谷敏さんが後のインタビューに語ったところによると、にせウルトラマンのマスクにチョップを振り下ろした時、「あまりの硬さに小指が折れた」と思ったほどでした。

 とはいえ、監督の「カット」はまだ。古谷さんはその後も、激痛に耐えながら、撮影を続行します。幸い大事には至らなかったようですが、まさか「素のリアクション」がそのまま使われるとは思いもしなかったようです。この「伝説のシーン」はその後、映画『シン・ウルトラマン』でもしっかり再現されていました。古谷さんのプロ意識に、頭が下がる思いです。

「素のリアクション」の例で、もうひとつ。第33話「禁じられた言葉」のフジ・アキコ隊員(演:桜井浩子)も忘れてはなりません。「メフィラス星人」によって「巨大フジ隊員」となってしまった彼女は、巨大化した姿でビル街をさまよいます。メフィラス星人に操られているフジ隊員の目は終始、うつろで焦点も定まっておりません。平常時のフジ隊員とのギャップに思わずゾッとさせられます。さて、そんな巨大フジ隊員でしたが、いざビルを破壊する段取りとなると、目にギュッと力を入れて、及び腰になっていました。

 演じた桜井浩子さんによれば、この撮影は本当に大変だったようです。というのも、美術班が作ったビルのセットがあまりにも頑丈で、なかなか壊れずに、何度も微調整を繰り返す必要がありました。結果、手袋はしていたものの、手はあざだらけの状態でした。あまつさえ、操られている設定のため、破壊するビルを凝視することもできません。

 最終的に、美術班がセットに切れ込みを入れ、申し訳程度に殴る位置の目印を設けた状態で、桜井さんは再び本番に臨みました。そりゃあ、頑丈さを身にしみてわかっていれば、及び腰になってしまうのもわかります。その上、煙まで立ち上ってくれば、どんな人でも目を瞑ってしまうことでしょう。改めて桜井さん含む、全ての現場スタッフに、お疲れ様と申し上げたい次第です。

 さて、紹介したエピソードはどちらも「偽物」「幻」といった虚構に翻弄されるエピソードでした。この主題のもとで、「痛み」という確かな肉体感覚だけが実在を主張する構造は、奇しくも『ウルトラマン』という虚構(フィクション)の文学性を、高めてくれていたのでした。

※参考書籍:『桜道 -『ウルトラマン』フジアキコからコーディネーターへ-』(桜井浩子)

配信元: マグミクス

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