部下職員とのラブホテル通いが発覚した前橋市の小川晶前市長(43)の辞職に伴う出直し市長選が1月5日に始まった。小川氏が第一声を上げた選挙事務所は詰めかけた議員や支持者の熱気に包まれ、スキャンダルが原因で辞職したとは思えない普通の選挙の光景だった。
自民党系の弁護士らほかに4人が出馬した選挙戦で小川氏の陣営が一番目の敵にしているのは実は群馬県の山本一太知事のようだ。
「小川か、小川以外か」を選ぶ選挙だと強調
「こんな状況にあっても私に期待をしてくれて思いを寄せてくれる、その1人1人の皆さんの願いになんとしても答えなければいけない。どんなに辛くてももう1度ここから立ち上がって市民の皆さんとこの前橋の政治を作っていく。しっかりと闘ってまいります」
時折、目を潤ませ謝罪を口にしながらも再選へ向けた決意は固い小川氏。第一声は候補者のタスキが届いたばかりの選挙事務所で行なわれた。約40人の近隣市町の議員やその倍ほどの支持者やメディアが集まり「大丈夫、大丈夫」「がんばれー」と応援の声が飛ぶ。
昨年末には学歴詐称疑惑の末に失職した静岡県伊東市の田久保眞紀前市長(55)が出直し市長選で惨敗したが、数人のコアな支持者しか演説現場にいなかった田久保氏とは対照的に、小川氏の陣営では本人の大チョンボは済んだことにされている気配だ。
9月のラブホ通い発覚後、不倫を否定しながら「行政を止めるわけにはいかない」と引責辞任を拒否した小川氏は11月下旬の市議会で不信任決議案が可決されそうになると一転して辞職。ホテル通いの相手となった元職員A氏が停職6か月の懲戒処分を受けて12月末に依願退職したのをわき目に復活を目指す。
群馬県議と市長を計15年務めただけに演説は手慣れたものだ。小川市政の「実績」とするものを次々羅列した上で未達成の政策を紹介し、「これらをやり遂げよ」と市民に期待の声をかけられたと強調。「これからの行動」を見てほしいと訴えた。
選挙カーでの出発前にはメディアに「責任をとって一旦辞職をするということになりました。市民の皆さんにもう一度この私に任せていいのかどうかを判断してもらう選挙だと思っています」と話し、“小川か、小川以外か”を選ぶ選挙だと強調した。
第一声を聞いた支持者の女性は「アキラ(晶)ちゃんの魅力は正直で元気なところです。私は(彼女には)まだやるべきことがあるから皆に謝らなくちゃって歩き回ったんです。その結果『もう一回(市長になることを)考えろ』というお声が多かった。彼女が出直す決心をしたのは遅かったけど、その分、随分勉強したんじゃないですか」と期待をかける。
山本知事は「ラブホ」を連呼
その小川氏の有力な対抗馬は市議会の自民系の2つの会派がそろって推す40歳の丸山彬弁護士だ。市のはずれの農協で行なった出陣式の参加者は小川氏の事務所に集まった数には劣ったが、自民の組織力が強力な武器になる。
第一声では「前橋が全国の皆さんから笑われてしまってます。子供が頑張って前橋の代表で全国大会に行った時に馬鹿にされるそうです。自分たちの町は自分たちで守っていかなければいけない。それは騒動を引き起こした当事者では不可能なのです」と小川氏を口撃したが、品位を気にしてか「ホテル」という言葉は封印した。
その丸山氏の背後で、世間が食傷気味のラブホ通い問題を連日クローズアップし、丸山氏を全面的にバックアップする人物がいる。群馬県知事の山本一太氏だ。
「山本知事は丸山氏の出馬表明直後から個人のブログで全力応援を始めました。小川氏の前任の自民党系の山本龍元市長が立候補に色気を見せると、保守票が割れるのを防ぐためブログで『(山本氏は)当選する望みはほぼないと思う!!』『前橋市の未来のため、今回は身を引いて欲しい!』と牽制し、山本元市長は結局出馬をやめました。
そしてブログでは『政治家 山本一太に出来る最大の貢献は、前橋ラブホ問題をめぐる事実を改めて伝え、歴史に刻むこと!』と表明し『ラブホテル問題で辞職した小川晶前前橋市長を決して復活させてはならないと思うこれだけの理由』と題した連載を書くなどラブホ、ラブホと連呼しています」(地元政界関係者)
ブログで山本氏は、
〈大変、申し訳ないが、国民の大多数は、「小川前市長の説明は嘘だ!」という認識を持っている。(キッパリ)〉
と断言。
〈小川さんは、現役の弁護士ですよね?既婚の男性と2人だけでラブホテルに行き、たった一度でも、一緒に出て来るところを発見されたら、訴訟で負ける可能性が高い。弁護士なら、誰でも分かっていることだ。
(中略)これほどのリスクを冒してまで、2ヶ月で10回以上も、2人きりで「密かに複数のラブホテルに通っていた」のは、なぜなのだろうか?〉
と、確かにラブホテルという言葉も包み隠さず綴っている。

