新しい年が始まり、清々しい気持ちで「何か新しいことに挑戦したい」と感じる季節。今回は、関西各地に息づく伝統の技や、豊かな自然と対話する3つの体験をご紹介します。
奈良に受け継がれる墨づくり、大阪・和泉のガラス工芸、そして琵琶湖を望む岩場でのロッククライミング。どれも関西だからこそ楽しめるもの。年始の小さな挑戦として、関西の“技”を習いに行ってみませんか。
( Index )
- 【奈良】墨の香りと手触りに触れる「にぎり墨」
- 【大阪】火とガラスが生む伝統「和泉蜻蛉玉づくり」
- 【滋賀】湖を望む岩壁に挑む「ロッククライミング」
【奈良】墨の香りと手触りに触れる「にぎり墨」
室町時代から続く、奈良の墨文化日本で作られる墨の約95%が、奈良市で生産されている。 そう聞くと、この町がいかに長く墨文化を支えてきたかがわかります。奈良の墨づくりは室町時代に始まり、現在も多くの工程が手作業で行われています。丁寧に作られた固形墨は、保存状態が良ければ「1000年以上使える」とも言われるほど。
奈良市内に8つある墨工房のひとつ、錦光園では、「にぎり墨」と呼ばれる体験を行っています。
材料は3つだけ。だからこそ奥深い
煤は松煙と油煙の2種類
接着剤となる「にかわ」
墨の材料は、煤(すす)・にかわ・香料の3つ。
煤には、赤松から採れる「松煙」と、室町時代中期から使われてきた「油煙」があり、錦光園では油煙を中心に用いています。
にかわは動物性コラーゲンを主成分とする天然の接着剤。にかわが溶けると独特のにおいが出るため、匂い消しとして香料(クスノキから抽出される樟脳)を使います。これが、墨をすった時にほのかに香る“墨の香り”なのだとか。
錦光園では、フランス産ムスクなどを調合した独自の香料を加えており、墨特有の香りに奥行きを与えています。
煤、にかわ、香料を混ぜた墨
握りやすいよう棒状に
炊飯器で温めた生墨を取り出し、空気を抜く工程までは職人が担当。
参加者はサラダ油を手に塗って、ほんのり温かい生墨を手のひらに乗せ、指全体で包み込むように握ります。形は整えすぎず、力の入り方もそのまま。
完成したにぎり墨には、その人の手の跡が自然に残ります。
桐箱に入れて持ち帰り、直射日光を避けて約3カ月保管すれば完成。芳香剤や筆置きとして使うほか、毎年作り続けて子どもの成長の記録としている方もいるそうです。
1000年以上前から続く奈良の伝統産業、墨作り。自分の手で作った世界に一つだけの「にぎり墨」を、記念に残してみませんか。
奈良墨工房「錦光園」
住所:奈良県奈良市三条町547
電話番号:0742-22-3319
※受付時間は9:00~21:00
体験時間:12:00ごろ~17:30ごろ
にぎり墨
料金:大人2,200円/高校生以下1,650円
(桐箱代込み)
所要時間:約40~60分
※要予約

