ケガで戦列を離れていた男子テニス元世界ランキング13位のニック・キリオス(オーストラリア/現670位)が、2026年シーズン開幕戦「ブリスベン国際」(1月4日~11日/オーストラリア・ブリスベン/ハードコート/ATP250)でツアー復帰を果たした。現地6日に行なわれたシングルス1回戦ではアレクサンダー・コバチェビッチ(アメリカ/現58位)と対戦。3-6、4-6で敗れ、2回戦進出はならなかった。
現在30歳のキリオスがツアー公式戦に出場するのは25年3月の「マイアミ・オープン」(ハード/ATP1000)以来、約10カ月ぶり。今大会には本戦ワイルドカード(主催者推薦)で単複に出場している。ダブルスでは同郷の親友タナシ・コキナキス(元65位/現450位)とペアを組み、現地4日の1回戦ではマシュー・エブデン/ラジーブ・ラム(オーストラリア/アメリカ)に5-7、6-4、[10-8]で勝利した。
一方のシングルス1回戦では、現在キャリアハイのランキングにつけている27歳のコバチェビッチと初対決。試合を通してのアンフォーストエラー(自滅的ミス)は10本、ファーストサービスのポイント獲得率も79%と安定したプレーを見せたキリオスだったが、第1、2セット共に終盤でブレークされ、66分で初戦敗退となった。
年末のエキジビションマッチで女王アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)との男女対決を経たキリオスは、今大会前のメディア対応で「身体は最高の状態に近づいている」と語っていたが、試合後の会見では過去を振り返りつつ、つらい胸の内を正直に明かしている。
「手首の再建手術をして、ヒザにも2度メスを入れた。もう2度と以前と同じレベルには戻れない。身体は何度も俺の期待を裏切ってきたし、今のレベルの高い競争に耐えられる状態ではなくなっている。今は試合に出ること自体がつらいし、練習コートに立つことですら簡単じゃない。
2022年は、自分を世界最高の選手の1人だと思っていた。コートに足を踏み入れるたび、誰にも負ける気がしなかったし、毎年どこかでタイトルを取っていた。でもケガをしてからは、その感覚が完全に失われた。もうあの頃のような自信は持てない。悲しいことだが、それが現実だ」
それでもこの1カ月はエキジビションを中心に多くの試合をこなし、「純粋にテニスを楽しめた」とキリオス。長くケガに苦しんできたぶん、「再びコートに戻れたことには感謝しているし、誇りにも思っている」と復帰の喜びもひとしおだ。だからこそ今年は再来週開幕の「全豪オープン」(1月18日~2月1日/四大大会)を含め、「可能な限り多くの試合でプレーして、自分にできる最高のテニスをしたい」と並々ならぬ意欲を示す。
そんな彼の今のモチベーションはシンプルに「テニスでお金を稼ぐ」こと。「今のキャリアの段階では、経済的な目標が一番重要」とした上で、「エキジビションに多く出られたのは素晴らしかった。自分が本当にやりたいことをそのままやれている今の生き方には、本当に満足している」と、最後は充実感をにじませた。
文●中村光佑
【動画】キリオスがコバチェビッチに敗れた「ブリスベン国際」1回戦のハイライト
【関連記事】「ブリスベンでツアー復帰するキリオス、全豪OPのワイルドカードには慎重姿勢「万全の状態の選手に譲りたい」<SMASH>
【関連記事】サバレンカVSキリオスの男女対決エキジビに女子世界2位シフィオンテクが見解「男子と比べる必要はない」<SMASH>

