形に残る成果だけが大事なの?

特別なことはなかったけれど(写真:iStock)
「何か“形”が残ってないと、意味がない気がするんだよね」
直子のその言葉に、私は少し胸が痛くなった。形に残る成果だけが、価値だと思わされている気がしたからだ。でも本当に、この一年は“何もしていない一年”だったのだろうか。
大きな夢に向かって走らなくても、誰かと比べて勝たなくても、毎日を投げ出さずに生き延びたこと自体、十分すぎるほどの仕事じゃないか。
直子は年明け前、こんなことも言っていた。
「今年、特別なことはなかったけど、最悪でもなかったよね」
その言葉は、とても正直で、救いがあった。
年末年始は自分を責めないための時間

まあ、生きてたしね(写真:iStock)
年末年始にやってくる「この一年、何してた? 問題」は、きっと多くの人が抱えている。でもその問いは、少し意地が悪い。成果だけを切り取って、過程や耐えてきた時間を無視するから。
目立つ成功がなくても、踏ん張った日があったなら、逃げずに向き合った瞬間があったなら、それはちゃんと「やってきた一年」だ。直子は、年が明ける少し前にスマホを手に取り、こう呟いた。
「まあ、生きてたしね。今年も」
それくらいでいいのだと思う。年末年始は、反省するための時間じゃなく、自分を責めないための時間であっていい。何かを成し遂げなくても、誰かに誇れなくても、この一年をちゃんと終わらせた。
それだけで、十分だ。
