
毎週火曜24時よりテレビ東京系列にて放送中のTVアニメ『ダーウィン事変』 (C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会
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『ダーウィン事変』の貴重な裏話を取材!
うめざわしゅん先生によるマンガ『ダーウィン事変』は、ヒトとチンパンジーの交雑種「ヒューマンジー」の少年「チャーリー」を主人公に、「テロ」「差別」「人権」といった現代社会が抱える問題に正面から切り込む一方で、ミステリー、アクション、サスペンスなどのエンタメ要素がたっぷり含まれた作品です。
「マンガ大賞2022」大賞をはじめ、数々のマンガ賞を受賞し、累計発行部数は220万部を突破するなど、大きな注目を集める本作が、2026年1月6日(火)テレビ東京系列にて、ついにTVアニメとして放送を開始します。
唯一無二の主人公「チャーリー」が投げかける「なんで、人間だけが特別なの?」という問いは、私たちに何を突きつけるのでしょうか?
アニメ化への期待が高まるなか、原作者であるうめざわしゅん先生に、アニメーションの魅力やキャラクター誕生の背景、そして作品に込めた哲学まで、深くお話を伺いました。
* * *
ーーTVアニメの映像をご覧になった、率直な感想をお聞かせください。
ものすごく力を入れてアニメ化していただいてるな、というのが第一印象です。美術なども本当に細かくて、ものすごいクオリティの高いアニメにしていただいていると思います。
ーー本作の舞台はアメリカですが、なぜ日本ではなくアメリカを選ばれたのでしょうか?
この作品で扱っているアニマルライツ(動物の道徳的・法的な権利)やヴィーガニズム(動物の搾取や残虐行為を可能な限り排除しようとする考え方)といったテーマは、日本ではまだなじみが薄く、エンターテイメントとして多くの読者を獲得するのが難しいかなという思いがありました。そこで、海外ドラマのようなルックにすることで、より見てもらいやすくなるかな、と。ロードトリップ感覚で見て楽しんでほしいという意図がありました。
また作品では、キャラクター同士のディベートではなく、対話になることを意識しています。アメリカでは、「自分はヤバいやつじゃない」と伝えるために積極的にコミュニケーションを取ることが多いと聞きました。だからこそ、アメリカを舞台にした方がナチュラルに受け取ってもらえるかなっていうのがありました。

人間を超える知能とチンパンジーを超える身体能力を併せもつ少年「チャーリー」 (C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会
ーー物語の核であるチャーリーは、どのような着想から生まれたのでしょうか?
以前描いた短編『もう人間』で、『ダーウィン事変』につながるような生命倫理的なテーマを扱って、それをより延長させて描きたいなと思ってたんですよね。
そのとき、ネットの記事で「ヒューマンジー」の存在を知ったんです。もちろん実在しないのですが、この存在を主役にすれば、マージナルな存在(人間とチンパンジーのどちらにも属さない境目にいる存在)から見た人間社会や、権利はどこまで保護されるべきか、といったことを描けるのではないかと思い、少しずつキャラクターを作っていきました。
ーーチャーリーの魅力は、どこにあるとお考えですか?
彼は人間にとっての「他者」であるということです。ルーシーと分かり合おうとして変化していく部分もありますが、やはり一定の「他者である分からなさ」が常にある。そこが魅力だろうなと思って、崩さないように描いています。

『ダーウィン事変』の裏話を語る、原作者のうめざわしゅん先生(撮影:マグミクス編集部)
「大物声優」の悪役芝居に衝撃 「自分がコミカライズしてるみたい」?
ーー描いていて、特に印象的なキャラクターはいますか?
好きなのはリヴェラですね。彼は描いていて非常に楽しい。悪役だから自由ですし。
ーーキャラクターに特定のモデルはいるのでしょうか?
特定のモデルはいないんですが、ルーシーのデザインを考えているときに、たまたまビリー・アイリッシュさんの「bad guy」のミュージックビデオが流れていて。それを見て「この感じ、合うかもな」と。直接見て描いたわけではないのですが、イメージとしてあのときの彼女の雰囲気が少し入っているかもしれません。結構あとになってから彼女自身がヴィーガンだと知って驚きました。

頭脳明晰の優等生だけど町や高校での人間関係にはうんざりしている少女「ルーシー」 (C)2026 うめざわしゅん・講談社/「ダーウィン事変」製作委員会
ーーキャストの皆さんの声の印象はいかがでしたか?
ルーシー役の神戸光歩さんは、オーディションのテープを聞いたときから「あ、ルーシーこの人だ」と思うくらい、ものすごくハマっている感じがしました。アフレコに立ち会わせていただいて、声の演技によって感情の機微がより表現されていて、マンガよりもさらにルーシーだなと思いました。
リヴェラ役の大塚明夫さんは、もう、ものすごかったです。オーディションのときからカリスマ感と迫力があって、「こんなのを聞かされたら高校生はうっかりやられてしまうな」と。僕が描いているキャラクターなのに、大塚さんが演じているキャラクターを僕がコミカライズしているような、そんな感じがするくらい、すごいなと思いました。
チャーリー役はオーディションでは決まらず、監督が種崎敦美さんを一本釣りしてきたんです。僕自身もチャーリーの声のイメージがまったくなかったのですが、アフレコで種崎さんの演技を聞いたとき、ストンと腑(ふ)に落ちました。感情の調整が難しい役ですが、それ以上に、チャーリー自身は自分が存在することに何の疑いもなく、いて当たり前だと思っている。その感じが種崎さんの演技からすごく伝わってきて、ハッとさせられました。非常に納得のいく演技でした。
ーーオープニングはOfficial髭男dism、エンディングはa子さんが担当されます。主題歌についても感想をお聞かせください。
オープニングはもう、感無量です。作品のキーワードを歌詞に散りばめつつ、本当にポップでキャッチーなメロディで、ずっと鼻歌で歌っちゃうくらいです。
エンディングは、疾走感のあるすごくかっこいいナンバーです。作品の社会派なテーマとは少し違う、ダークな感じが、キャラクター個人の不安や孤独感といった、よりパーソナルな感情に寄り添ってくれている楽曲だなと思いました。
ーー最後に、アニメで初めて『ダーウィン事変』に触れる方へメッセージをお願いします。
特に構えずに、楽しそうなエンターテイメントだと思って見ていただけたらうれしいです。アクションもサスペンスもミステリーも、そしてコメディの部分もある。いろんなものが詰め込まれた作品として、まずは楽しんでもらいたいなと思います。
※種崎さんの「崎」は、「大」ではなく「立」が正しい表記
