あっという間に正月が過ぎ、はや7日。七草粥を食べてお屠蘇気分が抜けてくると、否応なしに「日常」と向き合わなければならず、なんとも気が重い。
そんな中、気になる新番組が1月6日から始まった。「銀座 de 火曜祭 ~Let's sing a song from GINZA~」(TOKYO MX)だ。放送時間は毎週火曜日の17時59分から18時30分。
番組公式サイトによると、以下のような内容である。
「昭和と令和が交差する“新音楽エンタメ番組”。昭和歌謡を愛する者たちが集う銀座のバーを舞台に、前半は名曲メドレーで、後半は実力派アーティストによるライブステージで盛り上がる!俳優、声優、芸人など個性豊かなメンバーも続々登場!」
司会は元AKB48の大島麻衣。グループ卒業後はバラエティー番組やYouTubeチャンネルなどで港区界隈のゴシップをぶっちゃけ、「女版ガーシー」と呼ばれていたあの大島麻衣がMCという時点で、ゲスい香りがぷんぷん。
しかも「歌好きの皆さん」として出演するメンバーの中で、パッと見てわかったのは、元外資系金融機関勤務の経歴を持つドラァグクイーンの肉乃小路ニクヨと、浜田雅功の「結果発表!」のモノマネでちょっとは知られたハリウリサくらい。いちいち名前を挙げると余計な原稿スペースを食いそうなのでやめるが、この頭数だけ揃えた地味すぎる顔ぶれは、どうやらホリプロ所属の「ちょっと格下タレント」で固められている様子だ。
そんな彼らが素人レベルの歌唱力で1988年のヒット曲メドレーをカラオケで歌う姿を見せられた前半が終わり、CMを挟んでの後半は、クラシック歌手・岡本知高の熱唱を聞かされる。なんか、時間と空間が緩やかに歪んでいくような錯覚に陥る30分だった。
「何を見せられていたんだろう」と呆気に取られたまま、「銀座 de 火曜祭」に続いて始まったのは、懐かしの特撮番組「ウルトラマン80」の、HDリマスター版による再放送だ。
主人公の矢的猛(ウルトラマン80が地球人に変身した姿)は、中学校の教師とUGM(過去作における、科学特捜隊やウルトラ警備隊のようなもの)の隊員を兼任という、今までのウルトラシリーズとは少々毛色が違うところが見どころで、本放送当時、私はそこそこの年齢になっていたけれど、楽しみに見ていた記憶がある。
「懐かしいな」と思いつつ結局、最後まで見てしまったら、続いては「仮面ライダークウガ」の第36話。「第1話から見たかったのに、いつからやってたんだよお」などと言いつつ、若々しいオダギリジョーを堪能してしまった。
なんだかんだで、平日のルーティーンである「5時に夢中!」から見続けて2時間半、ずっとTOKYO MXに釘付けだったわけだが。
そういえば以前、ヒコロヒーがコメンテーターだった頃、その「5時に夢中!」の視聴者には「無職が多い」と毒を吐いていたことを思い出した。TOKYO MXによるニート囲い込み作戦にまんまとハメられたような…。
昨年の「M-1グランプリ」で準優勝したドンデコルテの「デジタルデトックス」ネタじゃないが、ボケの渡辺銀次が言う「五里霧中、望むところ」「(嫌な現実は)スワイプ!スワイプ!」「目覚めるな!」を地で行く人間にとって、TOKYO MXの夕方からの流れは、イヤな現実から目を背けるための、格好の避難所のようだ。
もっとも、当の渡辺からは「私、厚生労働省の定めた基準によると、貧困層に属します。無職ではありません」と突っぱねられるかもしれないが。
(堀江南/テレビソムリエ)

