こんなとんでもない人物へ血税から6000万円もの退職金が捻出されたことに、県民の怒りが爆発するのは当然のことだ。福井県の杉本達治前知事のセクハラをめぐる一連の騒動が、収まる気配がない。
杉本氏は昨年11月の記者会見で、県職員にセクハラメッセージを送ったことを認め、
「当時はセクハラにあたるとは考えていなかったが、認識が十分ではなかった」
と繰り返し、結局は12月に辞職。月末には退職金約6000万円が満額支払われたという。
そんな流れの中で年明けの1月7日、弁護士3人による特別調査委員が公表した調査報告書の内容には、県民もア然ボー然。なんと杉本氏が4人の女性職員らに、約1000通にも及ぶセクハラメールを執拗に送付。さらに体を触りまくる行為が明らかになったのである。公開されたメッセージを見てみると…。
〈二人きりでさしつさされつで楽しもうね〉
〈レオタードを着て、おっきく足を上げて…〉
〈ピンピンのぼくのとこもよろしくね〉
まさに目を疑うセクハラのオンパレード。どうやったらこんな恥ずかしい変態メールを堂々と送り付けることができるのかと、杉本氏の脳内にはアキレ返るしかないが、それで「当時はセクハラにあたるとは考えていなかった」とは、いったいどの口が言うのか。
しかも調査報告書によれば、これらのセクハラ行為は杉本氏が総務省から出向で福井県総務部長を務めた後、内閣参事官に就任した2007年頃に始まり、20年近く継続していたというのだ。
「当然、県庁職員の間で噂になっていたでしょうし、だったらなぜ、こんな人物を誰も告発できなかったのか。それも大きな問題だと言わざるをえません」(地元記者)
杉本氏は岐阜県出身。東京大学法学部を卒業後、1986年に自治省(現・総務省)に入省し、福井県総務部長などを経て、2013年から2016年には県の副知事に就任。総務省退職後の2019年に福井県知事選に出馬すると、現職らを約9万票差で破り、初当選した。いわばエリートだ。
「昨年の騒動勃発後、県庁職員らがようやく内部事情を話し始めたのですが、杉本氏は人事権を完全に掌握しているため、逆らえば自分のキャリアが絶たれる。そんな恐怖から周囲の幹部らは、知事の女好きは公然の秘密として把握していたものの、波風を立てたくない『事なかれ主義』に走りました。その結果、セクハラモンスターを野放しにしてしまいました。県トップのハラスメントを監視すべき監査部門や相談窓口が、全く機能していなかった責任は、問われてしかるべきでしょうね」(前出・地元記者)
今回の件は、昨年4月に外部窓口への通報により発覚した事案で、それまで20年近く、県庁という閉鎖空間でこの問題はタブー視されてきた。しかも、退職金まで支払われ、杉本氏はちゃっかり受け取っている。
全国の自治体が注視する中、福井県庁の「自浄作用」が今、試されている。
(灯倫太郎)

