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減量薬で減った体重は「2年以内」に元に戻ると判明

減量薬で減った体重は「2年以内」に元に戻ると判明

減量薬で減った体重は2年以内に元に戻る / Credit:Canva

ダイエットを決意しても、なかなか体重が落ちないと悩んでいる人は少なくありません。

食事制限や運動を続けても成果が出ず、途中で挫折してしまうケースもよく見られます。

そうした中、近年は「減量薬に頼る」という選択肢が現実的なものとして広がっています。

しかし、その効果は本当に長続きするのでしょうか。

この疑問に正面から答えたのが、イギリスのオックスフォード大学(University of Oxford)の研究チームによる大規模な分析です。

研究者たちは、減量薬の「使用中」ではなく、「服用をやめた後」に体重と健康状態がどう変化するのかを詳しく調べ、「2年以内に体重が元に戻る傾向がある」と報告しました。

この研究成果は、2026年1月7日付の医学誌『British Medical Journal(The BMJ)』に掲載されています。

目次

  • 減量薬で減った体重は服用中止後、約1.7年で元に戻る
  • 減量薬をやめると体重が増加していくのはなぜ?

減量薬で減った体重は服用中止後、約1.7年で元に戻る

これまでの減量薬研究の多くは、どれくらい体重が減るか、どの薬がより効果的かといった、服用中の効果に焦点を当ててきました。

実際、GLP-1受容体作動薬などの登場によって、臨床試験では体重が15〜20%ほど減るケースも報告されています。

一方で、肥満は短期間で解決する問題ではなく、慢性的に再発しやすい状態であることが知られています。

現実の医療現場では、減量薬の利用者の約半数が、1年以内に服用を中止していることも報告されています。

それにもかかわらず、服用をやめた後に体重や健康状態がどうなるのかについては、体系的に整理されたデータがほとんどありませんでした。

そこで研究チームは、減量薬の服用を中止した後、人の体がどのような経過をたどるのかを明らかにすることを目的に、系統的レビューとメタ解析を行いました。

研究者たちは複数の医学データベースを用い、減量薬を一定期間使用した後に中止した成人を対象とする研究を網羅的に収集。

対象となったのは、37の研究で参加者は合計9,341人にのぼります。

これらの研究について、治療終了時の体重から、その後どの程度の速さで体重が戻っていくのかを統計的に解析しました。

さらに、体重だけでなく、血糖値や血圧、脂質といった心血管・代謝リスク指標の変化も同時に評価しています。

解析の結果、減量薬をやめた人は、平均して月に約0.4kgのペースで体重が増加することが明らかになりました。

そして約1.7年で体重は治療前の水準に戻ったと判明しています。

また、体重の変化に伴って改善していた健康指標も、服用中止後に元に戻っていくことが示されました。

より詳しい結果と、その背景については、次項で解説します。

減量薬をやめると体重が増加していくのはなぜ?

この研究が注目される理由の1つは、体重だけでなく健康状態の変化も同時に分析している点にあります。

HbA1c(1~2カ月間の血糖の平均的な状態を示す)、空腹時血糖、血圧、総コレステロール、中性脂肪といった指標を追跡したところ、これらの心代謝指標は体重よりも早く悪化することが分かりました。

統計モデルによる推定では、これらの指標は服用中止から遅くとも約1.4年以内には、ほぼ治療前のレベルに戻るとされています。

つまり、体重が完全に元に戻る前に、健康面で得られていたメリットが先に失われてしまう可能性が高いのです。

なぜこのような結果になるのでしょうか。

研究者たちは、減量薬の作用の仕組みが関係している可能性を指摘しています。

GLP-1受容体作動薬などは、空腹感を抑え、満腹感を高めることで食事量を自然に減らしやすくします。

しかし、薬をやめると、その生理的なサポートが失われ、食欲や摂取量が元の状態に戻りやすくなります。

研究チームは、食事改善や運動指導を中心とした行動療法のデータとも比較しました。

その結果、行動療法をやめた後の体重増加は月あたり約0.1kg程度であるのに対し、今回の分析で示された減量薬中止後の体重増加は月あたり約0.4kgでした。

結果として、減量薬をやめた場合には、行動療法に比べて約4倍の速さで体重が戻る計算になります。

この差は、どれだけ体重を減らしたかとは関係なく見られました。

もっとも、この研究にも限界はあります。

新しいGLP-1系薬剤については、服用中止後を1年以上追跡した研究がまだ少なく、長期的な経過は推定に基づいています。

また、研究ごとに設計や質にばらつきがある点も否定できません。

それでも、複数の解析手法を用いてほぼ同じ結論が得られたことから、研究者たちは結果の信頼性は高いと判断しています。

今後は、減量薬をどのように長期的に使用するべきか、あるいは生活習慣の改善とどのように組み合わせれば効果を維持できるのかを検証する研究が求められています。

減量薬は強力な手段である一方、やめれば体重が元に戻る可能性が高いことを、今回の研究は強く示唆しています。

肥満対策には、短期的な減量だけでなく、長期的に体重と健康を維持する仕組みが不可欠だというメッセージが浮かび上がったのです。

参考文献

Weight lost on GLP-1 drugs is regained within two years of stopping
https://newatlas.com/disease/obesity/glp-1-drugs-rebound/

EXPERT REACTION: People who stop taking weight loss drugs are losing their progress in less than two years
https://www.scimex.org/newsfeed/people-who-stop-taking-weight-loss-drugs-are-losing-their-progress-in-less-than-two-years

元論文

Weight regain after cessation of medication for weight management: systematic review and meta-analysis
https://doi.org/10.1136/bmj-2025-085304

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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