老いを感じるのはちゃんと生きてきた証拠

初売りも行かなくなってきた(写真:iStock)
沙織は最後に、こう言った。
「老いってさ、急に来るんじゃなくて、正月にまとめて来る気がする」
確かにそうだ。正月三が日は、年に一度の“現実確認タイム”。
でもそれを笑い話にできるうちは、たぶんまだ、大丈夫だ。老いを感じる正月も、悪くない。ちゃんと生きてきた証拠なのだから。
そして沙織は、こんなことも言っていた。
「若い頃はさ、正月って“何かしなきゃ”って思ってたんだよね。初売り行かなきゃとか、友達に会わなきゃとか。でも今は、何もしないで終わっても、まあいいかって思える」
立ち止まれる自分を誇ろう

自分をごまかさなくていい(写真:iStock)
それを聞いて、私は少し安心した。老いを感じるということは、同時に“無理をしなくなった”ということでもある。
正月三が日に感じる体の重さも、気力のなさも、もう自分を誤魔化さなくていいというサインなのかもしれない。
若さを失った代わりに、自分のペースを知った。それだけの話だ。
正月に老いを感じる私たちは、たぶん今、ちょうどいいところにいるのだと思う。
無理に若ぶらなくても、立ち止まれる今の自分を、少し誇っていい気がした。
(おがわん/ライター)
