近年、スーペルコパ・デ・エスパーニャの価値が劇的に高まっている。スペイン紙『SPORT』の編集長、ジョアン・ベイルス氏がその変貌を端的に説明している。
「長い間、スーペルコパは単なる『定例行事』に過ぎなかった。前年のラ・リーガとコパ・デル・レイの王者同士が対戦し、8月にトロフィーを争う。公式戦とはいえ、まだチームが完成していない時期のそれは、単なる“顔見せ”にすぎなかった。しかし、そんな時代はもう終わった。『ファイナル・フォー(準決勝と決勝戦)』という現行のフォーマットになってから、スーペルコパはシーズンの現在地を測る『真の体温計』へと変貌を遂げた。この大会だけで何かが決まるわけではないが、チームの傾向を浮き彫りにし、手応えを確信させ、そして何より、バルセロナとレアル・マドリーがシーズンの後半戦をどのようなメンタリティーで臨むかを決定づける。
今大会もバルサにとっての優勝は、単にトロフィーを掲げる以上の意味を持つ。チームがアイデンティティーを取り戻し、昨シーズンのような『バルサらしいサッカー』が再び機能している事実を証明する、力強い後ろ盾になるからだ。対してマドリーにとっては、失敗の余地が少なく、騒音(批判)のリスクが大きい。もし決勝進出を逃せば、永遠に繰り返される『監督解任論』が再燃し、新たな危機が幕を開けるだろう」
フォーマット変更に伴い、開催時期は8月から1月へと移行した。これも大会の価値を高めた要因のひとつだろう。1月はちょうどシーズンを折り返す時期であり、各チームの戦い方や戦略が固まってくる頃だ。その絶妙なタイミングで前年度のラ・リーガとコパ・デル・レイの上位2クラブが集結し、シーズン最初のタイトルを懸けて戦う。
結果として、この大会はシーズンの行方を占う決定的な役割を果たすようになった。2019-20シーズンにファイナル・フォー形式が導入されて以降、コロナ禍でアンダルシア地方開催となった2020-21シーズンを除き、他の5回はいずれもスーペルコパを制したチームがそのシーズンのラ・リーガも制している。昨シーズン、決勝でマドリーを5-2で粉砕したハンジ・フリック監督率いるバルサが、その勢いのまま国内3冠を達成したのは記憶に新しい。
今シーズンも、そのバルサが優勝候補の筆頭だ。一方のマドリーは、ベイルス氏が言及している通り、早くからシャビ・アロンソ監督の進退を懸ける大会として位置づけられてきた。現在、公式戦4連勝中と息を吹き返してはいるものの、状況は予断を許さない。スペイン紙『EL PAIS』も、準決勝アトレティコ・マドリーとのダービーで惨敗を喫するようなら、即座に解任が下される可能性を指摘している。
選手、監督、フロント幹部として約40年以上クラブに貢献し、「バルサの生ける伝説」と称されるカルレス・レシャック氏は、スーペルコパに臨む2強の対照的な立場を次のように分析する。
「バルサにとって、この大会は新たなトロフィーを勝ち取るという『挑戦』に満ちた刺激的な場である。対してマドリーにとっては、まるで即決裁判のような場になるだろう。バルサにとってスーペルコパを逃すことは『失望』ではあっても『破滅』ではない。だが、マドリーにとってはまさにその逆なのだ。もしバルサが優勝すれば、マドリーが抱える不信感をさらに増幅させられる。それはバルサにとって、単にタイトルを1つ手に入れるよりも、はるかに大きな収穫となるだろう」
もっとも、ここで流れが激変する可能性も秘めている。『SPORT』の副編集長、アルベル・マスノウ氏は次のように警鐘を鳴らしている。
「マドリーが足元をふらつかせながらサウジアラビアに乗り込む一方で、バルサは極めて良好な流れの中にいる。勝利の連鎖がチームに確固たる自信と、タイトルを勝ち取るためのエネルギーを充填させているのだ」
「しかし、忘れてはならない。スーペルコパは他のどんなコンペティションとも異なり、シーズンの風向きを一変させる力を持っている。だからこそ、バルサもマドリーも過信しすぎないのが賢明だ。なぜなら、今日『白(正解)』だったものが、明日には『黒(間違い)』に変わるケースだってあるのだから」
バルサは準決勝でアスレティックを5-0で下し、すでに決勝進出を決めている。はたして今夜(日本時間9日の午前4時キックオフ)、マドリーはこの重圧をはねのけられるのか。
文●下村正幸
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