「2026年問題」なる言葉が俎上に載り、シーズン前だというのに早くもチーム編成を左右する事案が持ち上がっている球団がある。主力選手のフリーエージェント(FA)権取得が現実味を帯び、2026年に複数の中心選手が同時にFAとなる可能性があるからだ。
その球団、広島カープでとりわけ熱を帯びているのが、エース格の森下暢仁だ。2025年の出場選手登録日数が143日と、FA年数としてカウントされる145日にわずかに届かなかった。しかし前年に規定日数を満たしていた選手が故障で登録を外れた場合に適用される「故障者特例」により、最大60日が加算されることに。この制度が適用されれば、森下の2025年は1年分として扱われ、当初の想定より1年早く、2026年中に国内FA権を取得する見通しとなる。
昨季の森下は22試合に先発登板し、防御率2.48を記録した。6勝14敗と負けが先行したが、打線の援護に恵まれなかった影響は大きい。投球内容は先発陣の中でも安定しており、その評価を反映する形で年俸は2000万円増の推定2億円まで上がった。その投手がすでにFAを意識せざるをえない状況に置かれていることに、カープファンは不安を募らせているという。
森下の将来をめぐっては、巨人やソフトバンクといった資金力のある球団が獲得に動く可能性を指摘する声がある。そうなれば、条件面で広島が不利になるのは避けられず、国内移籍よりもポスティングによるメジャーリーグ挑戦を望む意見は少なくない。国内球団同士の争奪戦になるくらいなら、メジャーに行ってくれた方がまだいい、と…。
不安が募るのは森下だけではない。床田寛樹、坂倉将吾、島内颯太郎も今季の登録日数次第でFA取得条件を満たす可能性があり、主力4人がほぼ同じ時期にFAを迎える形になる。もしこの4人が同時に抜けたら、チームは成り立つのか。
主力のFA権取得が近づく中で、球団は本気で引き留めにかかるのか、が問題となる。2024年オフには九里亜蓮がメジャー挑戦を断念した後、オリックスへ移籍し、昨季はチームトップの11勝を挙げた。あのまま広島に残っていたら、どうなったのか。
今後も複数年契約や、成績に見合った年俸をはっきり示さなければ、残留交渉は難しくなるかもしれない。
さらに2軍の由宇球場の設備が長年、大きく変わらないことや、主力選手と早い段階で長期契約を結べなかったことへの不満はくすぶり、
「この運営のままでは、誰が監督をやっても難しい」
そんな声が出てくることに。
森下、床田、坂倉、島内…4人の去就は来季の戦力のみならず、球団の中長期的な方向性に大きくかかわってくる。2026年の戦いを見据えた、広島は年俸や契約年数を通じて主力をどう評価するのか。その姿勢を明確に示す必要がある。
(ケン高田)

