運動嫌いだった子どもにも変化が
「はす×ウォーキング」のイベントに参加された皆さん。高齢の方に好評だ鳴瀬さんの企画の特徴は、子どもから大人まで、幅広い人が参加できるという点。教師をする前は介護関係の仕事をしていたこともあって、高齢者も参加できるイベントも好評だそうだ。
「月に1回、ウォーキングイベントをやっていますが、ウォーキングですと高齢の方も参加しやすいようです。鳴瀬さんが綺麗な景色が見られたりするオリジナルコースを考えてくれるので、皆さん楽しみながら参加してくれています」(高宮さん)
オリジナルコースは、たとえば今年の7月だったら見頃のはすの花を見ながら歩く「はす×ウォーキング」を実施。隣町の上渋井ハス園をハスの会の会長のガイド付きで巡った。『地元の見慣れたハス園もガイド付きだと新鮮』と、好評だったそうだ。また、ハロウィンの時期には親子で参加できるウォーキングイベントを実施。子どもたちは仮装して商店街をお菓子をもらいながら歩いたという。
「あらゆる世代向けにバランスよいイベントを実施してくださるので、本当にありがたいですね」(高宮さん)
また、鳴瀬さんが赴任してから、運動嫌いだった子どもが放課後の運動教室を通して、学校の体育も頑張ると言うようになったり、走るのが得意だった子どもの記録がさらに伸びたりと、目に見えた変化もあったそうだ。
矢祭町を活気づけている、健康増進+社会的交流
アウトドアスポーツを楽しむ会でモルックを実演してみせる鳴瀬望さん(写真右手前)鳴瀬さんは「地域おこし協力隊」として、「いつでも」「誰でも」「好きなレベルで」「世代を超えて」「いろいろなスポーツを」「いつまでも」楽しむことができる地域のスポーツコミュニティづくりを目指しているそうだ。そのためのキーワードは「つなぐ」。
(1)家族・仲間(横) (2)子どもから大人まで(縦) (3)過去から未来へ(時間軸)この3つをつなぐ活動こそが、住民の健康増進だけでなく、社会的交流を生み出し、人口減が課題となっている矢祭町を活気づけている。こうした鳴瀬さんの成功例を受け、矢祭町は2025年度もスポーツを通じたまちづくりをしてくれる「地域おこし協力隊」を募集したという。鳴瀬さんとともに、さらにスポーツを軸にした活動を広め、継続していくそうだ。
町民の健康維持のためにスポーツに触れる機会を増やそうという思いがきっかけで募集した「地域おこし協力隊」。はじまって3年でその効果は見られるというが、同時に人々のつながりが増えるという、副産物ももたらした。
「人口減で集まる機会が減ってしまい、高齢者は外に出る機会を失って孤立するという課題もありましたが、スポーツを通して集まって話をする、何かを共有するという機会ができたのは、とても大事なことだと思います」と高宮さん。
スポーツには、高齢化社会が抱える孤立化の問題を解決する可能性があるのではないだろうか。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真提供:福島県矢祭町
