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【対談連載】アーティスト 市原えつこ

【対談連載】アーティスト 市原えつこ

●こぼれ話


 左耳に「酔」、右耳に「狂」。「酔狂」と思わず市原えつこさんの両耳を交互に見る。大きなイヤリングが話すたびにユラユラ揺れる。お顔周りにこれほどのインパクトを持ってきてもなお、負けない市原さんの存在感。今日の対談は、どうなっていくのか…。リードする側ではあるものの、成り行きに身を任せ、見通せない先行きを自然に楽しもうとしている自分に気が付く。「市原ワールド」に飲み込まれるか、波に乗れるか…。
 市原さんの代表する作品の一つに「都市のナマハゲ-Namahage in Tokyo」がある。秋田県男鹿市で200年以上伝承されてきている重要無形民俗文化財「ナマハゲ行事」を再解釈し、秋葉原、原宿、巣鴨など東京の街に適応させたかたちで表現したものだ。家々を回るナマハゲには「相互監視による集落の維持という合理的な機能があったのですね」と市原さんがおっしゃるので、「ナマハゲにそんな役割が」と驚いてしまった。
 男鹿市出身の私は、いつもナマハゲが見ていて、悪いことをしたら手帳にメモしているとかなんとか言われて幼少期を過ごしたし、大晦日になるとナマハゲが来る日として朝からびくびくしていた。ナマハゲの合理的な機能など考える余裕もなく、他の地域の子どもを羨ましがったりしたものだ。ナマハゲさんごめんなさい。
 こぼれ話を書いている今日は、クリスマス。ナマハゲが来る日まであと少し。だけど今の私は余裕だ。大人になったからではなく、東京にいるから。でも、その東京にもナマハゲが現れるとは…。
 市原さんの作品は、気が付かなかった視点から物事を捉えなおし、驚きと新たな発見を与えてくれるものばかりだ。独自の世界観を持ちながらも、多様な人と関わりながら作品を仕上げているからか、世界観や自分の思いを表現することにとても優れている。妄想を膨らませる部分と、言語化して伝える部分とが頭の中でとても整理されているように感じる。おかげで、決して理解できない世界に迷い込むことなく、それでいて市原ワールドを堪能しながら、対談を終えることができた。なんて聡明な変態なのだろう。
 これからも、伊達や酔狂ではなく真剣に磨いた「変態」の先に、驚きに満ちた新たな作品が誕生することを期待している。(奥田芳恵)
心に響く人生の匠たち
 「千人回峰」というタイトルは、比叡山の峰々を千日かけて駆け巡り、悟りを開く天台宗の荒行「千日回峰」から拝借したものです。千人の方々とお会いして、その哲学・行動の深淵に触れたいと願い、この連載を続けています。
 「人ありて我あり」は、私の座右の銘です。人は夢と希望がある限り、前に進むことができると考えています。中学生の頃から私を捕らえて放さないテーマ「人とはなんぞや」を掲げながら「千人回峰」に臨み、千通りの「人とはなんぞや」がみえたとき、「人ありて我あり」の「人」が私のなかでさらに昇華されるのではないか、と考えています。
奥田喜久男(週刊BCN 創刊編集長)
<1000分の第385回(下)>
※編注:文中に登場する企業名は敬称を省略しました。
配信元: BCN+R

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