
画像は『風の谷のナウシカ』場面カット (C)1984 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, H
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大きくふたつに割れる『ナウシカ』続編論争
名作ぞろいの宮崎駿監督作品のなかでも、とりわけ評価の高い『風の谷のナウシカ』(以降『ナウシカ』)ですが、その続編の是非をめぐっては、いまなおファンの間で意見が分かれています。続編を望む声が多いのは理解できるとして、なぜ否定的な意見も根強いのでしょうか?
もともと『ナウシカ』は、「原作がない作品を映画化してもヒットしない」という映画会社の判断を受け、「それなら原作を描いちゃおう」ということでマンガ連載から始まった作品です。そうして描かれた原作マンガは全7巻におよび、映画版で描かれているのは、そのうちの2巻半ばまでにあたります。
つまり多くの人が把握している『ナウシカ』は、あくまで序章にすぎません。原作ではここから、自然と人類をめぐる壮大かつ重厚な物語が展開され、やがてナウシカたちが存在する理由そのものも明らかになります。そこで語られる衝撃的な真実を思えば、「続きが観たい」と考えるファンの心理も、当然といえば当然でしょう。
ちなみに宮崎駿監督の弟子と公言し、映画版『ナウシカ』の制作にも携わった庵野秀明監督もまた、かねてから続編を強く望んできた人物のひとりです。なかでも原作マンガの7巻については「宮さんの最高傑作」と評し、鈴木敏夫プロデューサーに会うたびに「『ナウシカ』の続編を自分に撮らせてほしい」と伝えていたといいます。
それほどまでに「続きを描く価値」が語られてきた作品でありながら、続編に対する慎重な意見も少なくありません。そこには無視できない、いくつかの理由が存在します。
まず挙げられるのが、原作と映画版とで内容が大きく異なる点です。映画では「クシャナ」たちとの戦いを物語の軸に据え、「ナウシカ」が起こした奇跡によって「風の谷」が救われるラストで幕を閉じました。
一方、原作マンガは、登場人物の数が映画版よりもはるかに多く、勢力関係も非常に複雑です。ナウシカが明確に対立するのもクシャナではなく、むしろ風の谷の代表として、同盟国のトルメキア王国軍に従軍する立場に置かれます。映画で象徴的に描かれた「巨神兵」も、原作マンガでは6巻終盤で覚醒する存在であり、2巻の時点では登場しません。
映像化された範囲だけを比べて見ても、これほど大きな違いがあるため、ネット上では「マンガ版を最後まで映像化するなら、続編じゃなくて最初からリメイクしないと無理」「最初から作り直さないと辻妻が合わなくなる」といった意見が多く見られます。
そして続編制作に慎重な意見が多い理由として、映画版『ナウシカ』の完成度が非常に高い点も見逃せません。前述した通り、映画版は原作マンガ全体の3分の1にも満たないエピソードしか描いていませんが、オリジナルの展開を巧みに取り入れ、1本の映画として見事に起承転結を成立させています。特にナウシカが身を挺(てい)して暴走する「王蟲」の前に立ち、風の谷を救うというクライマックスは、多くの人の涙を誘ったことでしょう。
ひとつの物語としてこれだけ明確な結末を描き切っているからこそ、「あれはあれで完成された作品なのだから、『ナウシカ2』のような形で続きを足すべきではない」「中途半端に続編を作るくらいならあのままでいい」といった声が根強いのも、決して不思議ではありません。
いずれにせよ、続編を望む声と、あの物語を完成形として受け止めたいという声。そのどちらにも、十分な理由があることだけは確かです。こうした議論が長年続いているところにも、『ナウシカ』という作品の特別さが表れているのかもしれません。
