
『海がきこえる』静止画より (C)1993 Saeko Himuro/Keiko Niwa/Studio Ghibli, N
【画像】え…懐かしくて叫ぶ! コチラが地上波では観れない、『海がきこえる』貴重なカットです
次の地上波放送を期待する作品は?
2026年1月9日、高畑勲監督による『かぐや姫の物語』が、日本テレビ系の「金曜ロードショー」にて放送されます。地上波での放送は2018年5月以来、実におよそ8年ぶりのことで、SNS上では再放送を待ちわびていたファンから、喜びと期待の声が数多くあがっていました。
昨年も長年、地上波で放送されなかった『火垂るの墓』の放送があり、懐かしの名作に光が当たる流れが生まれています。そこで今回は、何年も、あるいは何十年も地上波で放送されていない隠れたジブリの名作を3つご紹介します。
青春の揺らぎを繊細に描く『海がきこえる』
1993年制作の『海がきこえる』は、氷室冴子さんの小説を原作とした作品です。ジブリの若手スタッフが中心となって作り上げた長編アニメーションで、「金曜ロードショー」での全国放送は過去にたった一度きりでした。まさに幻の一作といえるでしょう。
高知と東京を舞台に、10代の終わりを迎える3人の若者たちの繊細な心の揺らぎや、友情と恋の間の葛藤をみずみずしく描きます。魔法やファンタジー要素はなく、人間関係の機微や日常の情景をリアルに捉えた作風は、他のジブリ作品とは一線を画していました。
近年その価値が再評価され、2024年の都内期間限定上映では連日満席、2025年7月には全国リバイバル上映も行われ、世代を超えた新しいファンを魅了し続けています。
家族の日常に宿る温かさ『ホーホケキョ となりの山田くん』
1999年公開の高畑勲監督作品『ホーホケキョ となりの山田くん』は、2000年に「金曜ロードショー」で放送されて以降、実に25年以上も地上波で放送されていません。いしいひさいち先生のマンガを原作としたこの作品は、山田家の人びとの日常をオムニバス形式で描き、水彩画のような柔らかなタッチが特徴です。
ぐうたらな母親の「まつ子」、平凡な長男の「のぼる」、しっかり者の長女の「のの子」など、どこにでもいそうな家族の物語には、シニカルな笑いと人生の知恵が散りばめられています。大人になって観返すと、人生の支えになる言葉が多いと評価されることもある作品です。
派手なアクションはありませんが、忙しい日々のなかで見落としがちな「家族の営み」の尊さを優しく思い出させてくれる温かな作品です。
セリフなしで魅せる『レッドタートル ある島の物語』
2016年公開の『レッドタートル ある島の物語』は、ジブリが初めて海外クリエイターと共同製作した長編作品です。セリフが一切ない「サイレント劇」という異例の構成をとっています。地上波では「映画天国」での深夜放送が2度あっただけで、ゴールデンタイムでの全国放送はまだ実現していません。
この作品は、無人島に漂着した男性が、脱出を阻む赤い亀と出会い、やがてその亀が姿を変えた女性と家族になっていく物語です。セリフの代わりに風の音や波の音、そして美しい音楽が物語を紡ぎます。ひとりの人間の誕生から死までを「生命の循環」として静かに描き出す映像美は、観る人に深い余韻を残します。
かつての名作が再びお茶の間に届けられつつある今、2026年はこれらの「幻の名作」が地上波で放送される可能性も期待できるのではないでしょうか。かつて劇場で感動した世代も、まだ知らない若い世代も、家族そろってこれらの隠れた名作に触れられる日が来ることを願わずにはいられません。
