登山中は“清らか”になれる
――東野登山隊は、2016年に富士山を登山したところからスタートしました。そこからちょうど10年になります。
東野 長く続いた趣味ですし。ノリとはいえ、2016年にやり始めてよかったなって思います。やってなかったら10年間、登山と向き合うこともなかったし、こんなふうに“ジャンダルム”っていう言葉すら知らなかったと思います。
健康のために始めたんですけど、それを忘れるぐらい好きな趣味になってきてる。でも、脚力とか登ってる山のレベルはずっと変わらず、そんなに冒険しないし、すごい山を縦走するみたいなことも、1回、2回しかしてません。なかなかレベルは上がってないけど、上がっていないなりに自然と山の歩き方が身についてきました。
川名(匡)さんという山岳ガイドの方がいつも来てくれるんですけど、「歩き方がよくなりましたね」と言われるから、多少は登山家の歩き方になってきてるのかなと、自分の中で思ったりもしてます。

――よく「登山すると、心が清らかになる」という話もありますね。
東野 これは不思議なことに、登山中は清らかなんです。
庄司 ははは(笑)
東野 登山中は、すれ違う人に普通に「こんにちは」とか挨拶するんですよ。それは無理しているわけでもなく、普通に出るんですけど。えらいもんで、町中では出てこないですね(笑)。
庄司 それはそうです。
東野 でも山では、道を譲るときは譲るし、挨拶するとこはするし。「もうすぐいったら、休憩場所ですよ」って、すれ違う方がぼそっと言ったりするじゃないですか。それが「あと少し歩いたら休憩できるんだ」って喜びにもなる。そういう言葉の掛け合いは普通にしています。
“人間”が出るから山は面白い
――庄司さんは、東野さんの変化を感じるところはありますか?
庄司 (一緒に登山する前の)東野さんのイメージは、「まだかいな、ほんまに、全然つかへんやん」みたいな感じだったんですけど、一言も言わないんですよ。休憩明けにザックを背負うのも、誰よりも早いし、きれいな東野さんを見ています。
東野 でも最初のころは、川名さんが「あと5分で頂上です」と言って着かなかったら、「5分経ちましたけど」「全然つかないじゃないですか」って言ってました。「今度からウソつくのやめてもらっていいですか」って。

庄司 そういう時期もあったんですね(笑)。
東野 そういう時期もあったのよ(笑)。「なんでそんなウソつくんですか」って。「こっちは5分で計算してやってるんですから、その場しのぎのウソはやめてください」みたいなことを言うてた時期もあった。
庄司 僕が入ったときは、もうそういう東野さんはいなかったんで。
東野 それを脱却して、初めて川名さんがリップサービスでウソつく気持ちもわかったというか。疲れてる人がおったら、ほんまは10分やけど「あと5分ぐらいよ」って言ったりして。「あ、オレ、川名になってるわ」って。
庄司 そのこと、川名っていうんですね(笑)。
東野 川名現象。あるあるでしょう(笑)。登山は大げさにいうと人間賛歌というか。人間劇場みたいな。人間が出るから面白いですよね。
庄司 本当に東野さんは、山小屋に来てる登山客の人とかとも、積極的に話をしたりしてるんで。
東野 山小屋に行って、こんなん(帽子を目深にかぶる)してたら、おかしいでしょう(笑)。
庄司 そのあたりも登山を通して、すごくいいなって感じましたね。スタジオでは見られない。
東野 世田谷とかでは、こうですから(帽子を目深にかぶる) 。
一同 (笑)
