競馬の世界では「名騎手、必ずしも名調教師にあらず」とよく言われる。1000勝以上した河内洋や南井克巳が、調教師になってからはさほどいい成績を残せずに引退した。その逆に、須貝尚介のようにジョッキー時代はパッとしなかったが、調教師として成功した例がある。だから競馬社会は面白いのだ。
開業3年目の福永祐一調教師について言えば、騎手時代同様にかなりの成功を収めるとみている。馬主に恵まれ、スタッフの質も高いからだ。乗せる騎手にも狂いがない。
正月開催で2勝、2着2回、3着1回、4着2回と好スタートを切ったが、その2勝をもたらしたのは、ベテランの岩田康誠。2勝ともに外から捲ったものだったが、追える岩田らしい、力強い騎乗ぶりだった。
ちなみに岩田のエージェントは小原靖博氏で、福永師の騎手時代のエージェントでもあった。そのつながりで、岩田に騎乗依頼を出すようだ。そして岩田を起用する際は、追わせる馬をあてがうケースが目立つ。それがバッチリ決まったのが、前記した2戦だった。
ただし、騎手の起用に偏りはなく、若手からベテランに至るまで幅広い。例えば重賞を勝った騎手を見れば明らかで、初めての重賞勝ちは2024年夏のCBC賞ドロップオブライト。騎手は幸英明だった。以下、2024年秋のデイリー杯2歳Sのランフォーヴァウでは坂井瑠星を、2025年秋の京王杯2歳Sのダイヤモンドノットではルメールを、2025年暮れのターコイズSのドロップオブライトでは松若風馬を乗せて結果を出した。簡単に言うならば、オーナーサイドの希望も採り入れながら、馬に合った騎手を選んでいるのだ。
馬の育て方については現役時代の経験則や血統、調教での走りを重視。今も自ら調教に乗って馬の個性や特質を把握するよう努めている。
そして開業時からこだわってきたのは、レースでの複勝率。厩舎の運営や馬主経済のことを考え、3着に入る可能性が高い状態にして使ってきた。事実、2024年3割5分5厘、2025年3割5分1厘と複勝率は高い。
こうした福永イズムが年を追うごとに成果を上げ、クラシックで期待できる馬も出てきている。ホープフルS3着のアスクエジンバラがそれで、スプリングSを挟み、皐月賞に向かう予定だ。福永祐一厩舎にとって、今年は飛躍の一年となりそうである。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)

