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セリエA前半戦総括 “冬のカンピオーネ”インテル、2位ミラン、3位ナポリ 戦いぶりから見るトップ3の現在地【現地発コラム】

セリエA前半戦総括 “冬のカンピオーネ”インテル、2位ミラン、3位ナポリ 戦いぶりから見るトップ3の現在地【現地発コラム】

ミッドウィークに開催された第19節でシーズンの折り返し点を回ったセリエA。前半戦を通して、インテル、ミラン、ナポリ、ローマが数ポイント差で鎬を削る大混戦が続いてきたが、直近6試合でインテルが6連勝したのに対し、ミランは4勝2分け、ナポリは4勝1分け1敗とそれぞれ痛い取りこぼし。インテル(勝点42)が、2位ミラン(同39)に3ポイント、3位ナポリ(同38)に4ポイント差をつけて「冬のカンピオーネ」の座に輝いた。

 この「トップ3」は、12月半ばにサウジアラビアで行なわれたスーペルコッパに参加したため、揃って消化が1試合少ない。現時点での順位表では、2位ユベントス、5位ローマも勝点36で並びトップ3を追っているが、潜在的にはこの差がさらに開く可能性がある。直近6試合を見ても、ユベントスが4勝1分け1敗、ローマが3勝3敗とペースダウンしており、むしろ1試合消化が少ないが勝点33で6位にいるコモを合わせて、トップ3を追う第2集団と見る方が妥当かもしれない。

 以下、トップ3に焦点を合わせて前半戦の戦いぶりを踏まえた現在地を見て行くことにしよう。

 ●1位:インテル 42ポイント(前年比+1ポイント)/14勝0分け4敗(40得点15失点)
 OptaAIの最終勝点予想:83.09(1位)

 トップ5の中で、結果だけでなくパフォーマンスという点から見ても、ライバルに対して小さなリードを保っているように見えるのが、首位インテルである。直近6試合は6連勝。4勝2分けのミラン、4勝1分け1敗のナポリに4ポイント差をつけて単独首位に立った。

 データを見ても、総得点、ゴール期待値、決定機創出数、シュート数など、攻撃のデータ指標でほぼすべてリーグトップの数字を記録しているだけでなく、守備の指標である失点期待値、被シュート数、被決定機も最少。攻守のバランスが高いレベルで維持されている。

 今シーズンから指揮を執るクリスティアン・キブ監督は、シモーネ・インザーギ前監督から引き継いだ3-5-2の基本構造と、後方からのビルドアップを重視したポゼッション志向の強い攻撃コンセプトを維持しつつ、守備の局面では従来のリトリート志向を見直し、チームの重心を高く保って能動的にボールを奪回する「前に出る守備」を導入。常に主導権を握って敵陣で戦うより、モダンでアクティブなスタイルへの移行に取り組んできた。

 開幕当初は連携が不十分で空回りする場面も散見されたハイプレスだが、試合を重ねるに連れて機能性が高まり、相手のビルドアップを遮断するのみならず、敵陣でボールを奪回しての逆襲速攻に転じる場面も増えてきている。

 プレッシング関連のデータも、プレス開始位置(44.5m)はリーグで最も高く、プレス強度の指標であるPPDA(守備アクション1回あたりに許したパス本数)が10.1と、コモ(8.3)、ローマ(9.6)に次いでリーグ3位。さらにアタッキングサードでのボール奪回からのシュート数(24)でユベントス(33)に次いで2位、その状況での得点数(6)でリーグ1位と、ショートカウンターが機能している。

後方からのビルドアップでは傑出したクオリティーを誇ってきたセスク・ファブレガス監督のコモをハイプレスで完全に封じ込め、4-0と圧勝した試合は、戦術的な観点から見たインテルの現在地を象徴する一戦だった。

 ●2位:ミラン 39ポイント(前年比+9ポイント)/11勝6分け1敗(29得点14失点)
OptaAIの最終勝点予想:74.19(3位)

 そのインテルを勝点3差で追っているのが、11年ぶりに復帰したマッシミリアーノ・アッレーグリ監督の下で、これまでとは明確に異なる新たなアイデンティティーを確立したミラン。ボール支配には強くこだわらず、むしろボールと地域を相手に委ねてローブロック守備で受けに回ることで、撃ち合いを避けて試合のペースをスローダウンさせ、相手のミスや隙を衝いて効率的に得点を奪い僅差で勝つ指揮官の哲学が、ピッチ上に明確な形で反映されている。

 それを象徴するのは、ライバルが揃って60%近い数字を記録する中では異例に低い51.6%というボール支配率だ。アタッキングサード限定の支配率(フィールドティルト)になると48.1%と、むしろ相手に押し込まれている時間が長い。PPDAに至っては16.8とリーグ最下位であり、プレッシングはほとんど存在していない。システムは同じ3-5-2でも、スタイル的にはインテルと正反対と言ってもいいだろう。

 ボール奪取時に最優先される選択肢はカウンターだが、強引にそれを狙ってボールを失うよりは手堅くポゼッション確立を選ぶのも特徴。そこからの攻撃においては、中盤の底で自らにボールを集め、プレーの緩急を巧妙にコントロールする「司令塔」ルカ・モドリッチの存在感がきわめて大きい。

 ユースフ・フォファナ、アドリアン・ラビオという強靭なフィジカルを誇る2人の大型MFがまさに適材適所という働きで脇を固めるなかで、自陣からのビルドアップはもちろん、敵陣でのチャンスメイクでも際立った戦術眼と正確なパスワークで違いを作り出している。パス総数、パス成功数、キャリー総数のいずれもリーグ2位という数字にプレーの「量」の大きさ、ファイナルサードへのパス本数同2位、決定機創出数同6位という数字にはプレーの「質」の高さが、それぞれ端的に表れている。

 攻撃の最終局面は、ウイングからCFへのコンバートが進行中のラファエウ・レオン、やはり本職ではないセカンドトップで持ち前の創造性とゴールセンスを最大限に発揮しているクリスチャン・プリシックへの依存度がきわめて高く、とりわけ後者を欠くと決定機の質と量の両面に明らかな低下が見られた。12月末にウェスト・ハムから獲得したドイツ代表FWニクラス・フュルクルクを、指揮官がどう使いこなすかが注目される。

 ●3位:ナポリ 38ポイント(前年比−6ポイント)/12勝2分け4敗(28得点15失点)
OptaAIの最終勝点予想:75.44(2位)

 昨シーズンの王者ナポリは、10月にケビン・デ・ブライネ、11月にアンドレ・アンギサと、中盤のキープレーヤーを相次いで故障による長期離脱で失いながら、そのたびに効果的な修正を加えてチームを立て直したアントニオ・コンテ監督の手腕によって、首位戦線の主役を演じ続けている。

 開幕当初は、名目上は4-3-3の左ウイングに位置するデ・ブライネが、ビルドアップ時には中盤に下がってレジスタとして機能する可変システム。そのデ・ブライネの故障離脱を受けて、左ウイングにダビド・ネーレス(ノア・ラング)を入れた純粋な4-3-3を試行したが、アンギサの離脱を機に、CBを2枚から3枚に増やした3-4-3にシステムを変更して攻守のバランスを取り直した。

 この3-4-3も、当初は両ウイングバックに守備的な性格の強いジョバンニ・ディ・ロレンツォ(右)、マティアス・オリベラ(左)を起用した「後ろの重い」配置だったものの、12月半ばのスーペルコッパ(ミラン、ボローニャを下して優勝)以降、より攻撃的なマッテオ・ポリターノ(右)、レオナルド・スピナッツォーラ(左)にウイングバックを変えた「前輪駆動」にバージョンアップ。前線でウイングというよりはトップ下に近い位置で自由に振舞うネーレスが、中央で基準点となるCFラスムス・ホイルンドと効果的な連携を見せて、互いの持ち味を引き出し合う好循環が生まれている。

 ただ、そのネーレスが足首の故障で欠場した直近のヴェローナ戦は、7割近いボール支配率を記録しながらそれに見合った決定機が作れず、珍しく最初の30分で2失点した後、残り10分を切ったところで2-2に追いつくのが精一杯。勝点2を取りこぼす痛い結果になった。

 2026年は、この新しいシステムが軌道に乗り、安定した結果をもたらせるかどうかが最初のハードル。それを乗り越えて首位争いを続けることができれば、復帰が間近のロメル・ルカク、そして終盤戦に戦列に戻ってくるであろうアンギサ、デ・ブライネがさらなるプラスアルファをもたらすはずだ。

文●片野道郎

【動画】インテルとミランの最新試合ダイジェスト!

 
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配信元: THE DIGEST

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