すべて私が手配した旅行
今回の旅行は、私たちにとって初めての一泊二日の温泉旅行でした。仕事の合間を縫って口コミを読み込み、料理が美味しいと評判の宿を見つけ、予約サイトを何度も比較して、ようやく理想の宿を押さえることができたのです。電車の時刻表も確認し、乗り換えのタイミングまでメモにまとめました。
彼には「予約したよ」と報告するたびに「ありがとう、助かる」と言ってもらえましたが、実際に手を動かしてくれることはありませんでした。それでも、彼が喜んでくれるならと思い、私は準備を楽しんでいたのです。
「俺が手配したことにして」
しかし、出発前日の夜。最終確認の電話で、彼が信じられない提案をしてきました。
「あのさ、もし宿の人とかに聞かれたら、今回の旅行は全部俺が手配したことにしてくれない?」 一瞬、思考が停止しました。
理由を聞くと、彼は悪びれもせずこう続けたのです。 「男が彼女に全部やらせたって思われるの、なんか格好悪いじゃん。俺がリードしたことにした方が、俺も鼻が高いし」
私の数週間にわたる努力を「自分の見栄」のために横取りしようとする彼の浅ましさに、胸の奥が冷めていくのを感じました。けれど、直前で喧嘩をしたくない一心で、私は悔しさをこらえ、力なくうなずくことしかできませんでした。
