錦織圭などの活躍以降、「テニス選手になりたい!」「子どもをテニス選手にさせたい!」と考えているジュニアや親が多くなりました。しかし、根本的な問題として、どうすればテニス選手になれるのでしょうか?プロになるまでの道筋を詳しく紹介していきます。
今回は、前回に引き続きスポンサー獲得方法について。解説は、プロとしてツアーを回り、引退後はMTSテニスアリーナ三鷹を運営しながらコーチとして選手を指導している増田健太郎氏です。
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将来性に加えて性格も重要な判断基準
選手と契約するスポンサーは、どのような点を重視しているのでしょうか。杉田祐一、 仁木拓人、高橋悠介とプロ契約している三菱電機で、プロとの交渉を担当している松岡信幸氏に、契約する選手選考について聞きました(※2018年当時。以下同)。まず1つは成績で、目安は全国ベスト4ぐらい。大きなジュニアの大会の最終日には見に行くそうです。注目する点は、プレーだけでなく、試合のマナーや試合後の態度。
「チームの所属になるので、応援してもらえる選手でなくてはいけません。マナーが悪いようでは企業としては難しいと思います。試合後の練習は選手の人柄や態度がよくわかるので、ふらっと見に行きます。プロになると毎日頑張る必要がありますから、試合後の練習で集中力がないとか、コーチとうまくできない子はプロに向いてないんです。プロは地味だけど毎日きっちり努力をできる子なので、そういう部分も見ています」
16、17歳ぐらいでいいなと思った選手には、三菱電機の強化合宿に招待し、選手の性格や態度を見ていきます。その合宿で一番頑張っていた選手には、3月に行なわれる三菱電機早稲田フューチャーズにワイルドカードで招待するという流れに。ちなみに、高橋に関しては、17、18歳の時には海外遠征が多く合宿などで細かいチェックができませんでした。しかし、2016年の10月時点でフリーだったため合宿に呼び、その時の取り組み方がとても良く、周りの評価も高かったため契約の話に進んだそうです。
では、企業が契約したプロに期待することは何でしょうか?「選手が日々頑張っている姿勢に我々は共感してエネルギーをもらえますし、それをフィードバックして本人も頑張ってもらう、一緒に頑張る関係を構築したいので、そういうふうにできるかという点です」と松岡氏。選手は試合後には、結果やどんな課題を持ったのか、どういうことを考えたのかなどを松岡氏に報告します。松岡氏は選手の活動を社員に伝え、選手にはその報告からアドバイスやサポートをしていきます。
2017年に大ブレークした杉田ともそういうやり取りから、目標を達成するために行ないたい希望などをくみ取り、サポートしてきました。2、3年前からそこに向けて動いていたために、ブレークしたことに大きな驚きはなかったと言います。
きめ細やかなサポートを提供している中、三菱電機が選手に具体的にお願いしているのは日本リーグ出場と社会貢献活動。チームは年間で10回ほど色々なイベントを実施しており、プロにはそのうちの2、3個のイベントに顔を出してほしいとリクエストしています。
状況に応じてプロ兼コーチの道もある
同じく日本リーグに出場しているレック興発の新堀丘代表取締役にプロとの契約について話を聞きました。テニススクールを運営しているため、つながりがあるプロも多いのでしょう。選手からの売り込みや人からのお願いなどが多いそうです。アプローチがあった中から、どのプロと契約するのかと言えば、「会社の看板を背負って試合をするので、試合態度も人格も子どもたちの手本になる選手ですね」と新堀氏。フューチャーズなどの大会に行って、選手の試合態度などを見るとのこと。
プロとの契約には、日本リーグに出場すること、お客さんを呼んで行なうイベントなどに参加することを盛り込んでおり、この辺がテニススクールらしいです。また週に1度報告書の提出も義務付けています。こういうやり取りでコミュニケーションをしっかりと取ることが後の契約にも影響してきます。手首の故障で長期間離脱していた斉藤貴史とも契約を継続していたのが好例で、彼の人柄や努力する姿勢を理解していたからでしょう。
レック興発の場合、JTA10位以下でも契約の可能性があります。20位、30位台のスポンサーが付きづらい時期をサポートしようという意図もあるそうで、逆に強くなったらレック興発を卒業してくれていいと言います。ランキングが低い選手はイベントの拘束日数を多くしたり、コーチをしてコートに立つ日を作ったりと、スクールならではの契約方法もあります。
ここでは2つの企業を取り上げましたが、他の企業も大きくかけ離れてはいないと思います。スポンサー契約も人と人とのつながりですから、マナーが良く誠実な人柄は好意的に受け入れられます。
取材・文●スマッシュ編集部
※スマッシュ2018年6月号から抜粋・再編集
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